成年後見の申立て手続き|書類が多いので効率よく集める

成年後見の申立を検討されている人からすると、どのような手続きが必要になるか気になるのではないでしょうか。

申立てに必要な資料は複数あるので、効率よく集めなければ時間がかかってしまいます。

人生で何度も申立てをする人は基本的にはいないので、今回の記事が役に立てば幸いです。

1.後見開始の申立ては家庭裁判所に行う

後見開始の申立ては家庭裁判所に対して行います。後見となっていますが、保佐・補助も同じ手続きです。

申立先の家庭裁判所や申立てができる人は決まっているので、初めに確認しておいてください。

1-1.本人が住んでいる場所が管轄となる

後見開始の申立て先は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

(管轄)
第百十七条 後見開始の審判事件(別表第一の一の項の事項についての審判事件をいう。次項及び次条第一号において同じ。)は、成年被後見人となるべき者の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

出典:e-Govウェブサイト(家事事件手続法117条)

本人の住所地となっていますが、必ずしも住民票記載の住所となるわけではありません。

住民票記載の住所地とは別の市区町村内にある介護施設などで生活している場合は、介護施設の住所地を管轄する家庭裁判所が提出先となります。

ただし、一時的な入院などであれば、自宅を管轄する家庭裁判所が提出先です。

1-2.申立てができる人は限られている

後見開始の申立てができる人は、民法により定められています。

(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法7条)
  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等以内の親族
  • 市区町村長
  • 検察官
  • その他

市区町村長は民法ではなく、別の法律により申立てができます。

本人も申立てができる

後見の申立てを本人がする可能性は低いですが、保佐や補助は本人が申請することもあります。

配偶者の申立て件数は少ない

意外かもしれませんが、配偶者が申立人になる割合は低いです。

考えられる理由としては、子どもさんが手続きをするからでしょう。

申立人は4親等以内の親族が一番多い

4親等以内の親族には、親・子ども・兄弟姉妹・叔父・叔母・甥・姪などが該当します。

ちなみに、後見開始の申立人は子どもが一番多いです。

市区町村長は別の法律に根拠がある

市区町村長も申立てをする場合があります。

  • 申立てをする親族がいない
  • 親族がいても申立てをしない

上記のような場合に、福祉施設の関係者や民生委員等の要請により、法律に基づいて市区町村長から後見の申立てができます。

市区町村長からの申立てについては、下記の記事も参考にしてください。

検察官の申立ては例外的

検察官が申立てをすることは基本的にないです。市区町村長からの申立てができないときの予防策です。

まれにですが、法律に該当しなくて市区町村長が申立人に該当しない場合があります。

その他の申立人

保佐人や補助人も後見の申立てができます。
なぜなら、本人の判断能力がさらに低下した場合、保佐や補助では対応できないからです。

任意後見人も後見申立てができます。基本的には任意後見が優先されるのですが、本人を保護するために法定後見が必要な場合もあります。

たとえば、本人に高額商品を買うなどの浪費癖があっても、任意後見人には取消権がありません。本人のために取消権がある法定後見を申し立てる等が考えられます。

2.申立てに必要な書類を揃えよう

成年後見の申立てには、複数の書類を用意する必要があります。

提出書類は2つに分けることができます。

  • 家庭裁判所で取得できる
  • 自分で取得する

2-1.家庭裁判所で書類一式を入手

家庭裁判所のホームページでダウンロードするか、または家庭裁判所の窓口で書類一式を入手できます。

家庭裁判所で取得できる書類です。

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 親族の同意書
  • 後見人候補者事情説明書(候補者がいる場合)

申立書は家庭裁判所に確認

申立書は家庭裁判所のホームページからダウンロードできるのですが、家庭裁判所ごとに書式が少し違うことがあるので、申立て先の家庭裁判所を確認してみてください。

申立事情説明書

申立にいたる事情等を書くのが申立事情説明書です。記載例は家庭裁判所のホームページにもありますので、分からなければ参考にしてください。

親族関係図は推定相続人の範囲

家庭裁判所の書式を見ると範囲が広いですが、本人の推定相続人は確実に記載して、他の人に関しては分かる範囲で大丈夫です。

たとえば、親の後見を申し立てる場合でしたら、配偶者と子どもが推定相続人になります。

相続人の範囲については、下記の記事を参考にしてください。

親族の同意書

同意が必要な親族とは、本人の推定相続人です。

連絡が取れない人や後見に反対している人に関しては、同意書が無くても申立てはできます。
ただし、家庭裁判所から親族に照会の電話が入ります。

家族を後見人候補者にしている場合は、後見に反対している親族がいると、第三者が後見人に選ばれやすくなります。

後見人候補者事情説明書

後見人候補者がいる場合は、記入して提出します。

2-2.自分で用意する書類は時間がかかる

自分で用意する書類は集めるのに時間がかかるので、効率よく集めていきましょう。

  • 戸籍謄本と住民票
  • 本人の診断書
  • 本人情報シート
  • 本人の健康状態が分かる資料
  • 本人が登記されていないことの証明書
  • 本人の財産に関する資料
  • 本人の収支に関する資料

戸籍謄本と住民票

本人の戸籍謄本と住民票が必要です。

戸籍謄本は本籍地のある役所でしか取れないので、遠方の場合は郵送で取得しましょう。

申立人が親族の場合は親族であることを証明するために、申立人の戸籍謄本も必要です。

後見人候補者がいる場合は、後見人候補者の住民票も提出します。

本人の診断書

診断書は主治医に記入してもらいます。医師は精神科医でなくても構いません。

かかりつけの医師がいない場合には、精神科医に書いてもらいましょう。作成費用は1万円ぐらいです。

本人の健康状態が分かる資料

3類型(後見・保佐・補助)のどれに相当するかを判断するために使います。

  • 精神障害者手帳
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 介護保険認定書

本人が登記されていないことの証明書

本人に対して任意後見等の登記が無いことを確認します。

全国の法務局・地方法務局の窓口で請求できます。
*支局・出張所では取得できません。

郵送で取得する場合は、東京法務局のみになります。

本人の財産目録および資料

本人の財産目録と価格等を証明する資料を提出します。財産には負債も含まれます。

  • 不動産登記事項証明書
  • 通帳のコピー
  • 保険証券のコピー

上記のような資料で財産を証明します。

本人の収支報告書および資料

本人の収入や支出に関する資料を提出します。資料のコピーを取る際は、家庭裁判所のホームページを確認してください。

収入
  • 確定申告書
  • 給与明細書
  • 年金額決定通知書

上記のような資料で収入を証明します。

支出
  • 税金の納税通知書
  • 国民健康保険料
  • 家賃
  • 医療費・施設費の領収書

3.後見の申立日に面談がある

後見の申立てをする際には、家庭裁判所で受理面接があります。

申立て書類の準備ができたら管轄家庭裁判所に電話連絡をして、申立て日時について予約をします。面接は平日に家庭裁判所で行われます。

面接は申立人および後見人候補者が行います。本人が来れる場合は本人も行いますが、後見に該当する場合は難しいでしょう。

受理面接の受け答えで申立てが拒否されることはないです。ただし、後見人候補者に関しては、判断材料にされると思います。

面接の受け答えがしっかりできても、別の理由で後見人を第三者にすることは多いです。親族間で協力できていないや、本人の財産が高額等が考えられます。

4.申立てから審判までは3ヶ月ぐらい

申立ての受付後に家庭裁判所で審理が行われます。審判まで1ヶ月から3ヶ月ほどです

審判の内容は申立人・本人・後見人等に書面で届きます。

審判が確定すれば審判内容を登記するため、家庭裁判所から東京法務局に後見登記の依頼がされます。

申立て後は家庭裁判所の許可を得ない限り、申立てを取り下げることはできません。

5.さいごに

成年後見の申立ては、申立ての準備に時間がかかります。準備さえしっかりとしておけば、後は面談に臨むだけです。

必要な申立書等は家庭裁判所で入手することもできますし、専門家に依頼した場合は用意してくれます。

ただし、自分で用意する書類については、時間がかかるので効率よく集めましょう。

後見開始の申立てを検討されている場合は、以下のボタンより料金と流れについて確認することができます。

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