相続放棄は単独の手続きなので、他の相続人に連絡が取れなくても、自分1人だけ放棄することも可能です。
他の相続人が全員相続を選んだとしても、あなたは相続放棄を選べます。相続の判断は各相続人がするので、どちらを選んでも問題ありません。
単独で相続放棄するなら、注意すべきポイントも複数あるので、前もって確認しておいてください。
今回の記事では、単独の相続放棄について説明しているので、悩みを解決する参考にしてください。
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1.相続放棄は各相続人が単独で行う
亡くなった人の相続放棄は、各相続人が単独で行う手続きです。
同じタイミングで放棄する相続人が多いので、共同の手続きだと勘違いしやすいですが、手続自体は各相続人が行います。
関連記事を読む『【相続放棄の手続きは家庭裁判所】その他の方法では成立しない 』
1-1.申述書は放棄する人ごとに作成する
相続放棄は単独の手続きなので、申述書も放棄する人が別々に作成します。
たとえ相続人全員が相続放棄する場合でも、1枚の申述書では放棄できません。
例えば、相続人が3人相続放棄するなら、申述書も3枚必要です。
家庭裁判所の窓口に申述書を取りに行く場合は、枚数を間違いないようにしてください。
1-2.家庭裁判所に共同で提出するのは問題ない
相続放棄の申述書は別々に作成しますが、共同で提出するのは問題ありません。
家族の代表がまとめて持参しても良いですし、同じ封筒に入れて郵送しても大丈夫です。
申述書の提出は共同でも可能なので、提出しやすい方法を選んでください。
関連記事を読む『相続放棄は郵送での提出も可能なので遠方でも大丈夫 』
1-3.専門家への依頼も相続人ごとに必要
相続放棄の手続きは専門家(司法書士・弁護士)に依頼できます。
ただし、単独の手続きなので、依頼(委任状)も相続人ごとに必要です。
例えば、3人の相続人が依頼するなら、委任状も3枚必要になります。
相続人の代表者が相談に行くのは問題ありませんが、依頼はそれぞれ必要だと覚えておきましょう。。
2.相続放棄を1人だけすることも可能
相続放棄するかは各相続人の判断なので、1人だけ放棄することも可能です。
他の相続人と考えが一致しなくても、相続放棄を選ぶことはできます。
2-1.他の相続人に連絡が取れなくても問題ない
他の相続人に連絡が取れなくても、相続放棄は問題なくできます。
なぜなら、単独の手続きなので、他の相続人の同意や許可も不要だからです。
相続放棄を決めているなら、後回しにせず申述書を提出してください。
連絡に時間がかかると期間経過の恐れ
他の相続人との連絡に時間がかかると、3ヶ月の期間が経過する恐れもあります。
連絡が取れてから相続を判断するつもりなら、期間延長の申立てをしておきましょう。
関連記事を読む『相続放棄の期間延長|財産を調査する時間は延ばせる 』
他の相続人が相続放棄を済ませている
あなたが連絡を取ろうとしている時点で、相続放棄を済ませている可能性はあります。
相続放棄を済ませても、あなたに連絡してくるとは限らないからです。
関連記事を読む『相続放棄を連絡する必要はあるのか?家庭裁判所は知らせない! 』
2-2.他の相続人が相続を選んでいても問題ない
他の相続人が相続(単純承認)を選んでいても、あなたの相続放棄には何の問題もないです。
実際、一部の相続人だけ相続放棄するのは珍しくありません。
相続人 |A・B・C
相続財産|預貯金50万円
単純承認|相続人A・Bは預貯金を消費
相続発生後に、相続人A・Bは預貯金50万円を消費したので、単純承認とみなされています。
一方、相続人Cは相続財産を消費していないので、相続放棄を選べます。
他の相続人が単純承認とみなされても、あなたは相続放棄を選べるので安心してください。
3.単独で相続放棄するなら注意すべきポイント
単独で相続放棄するなら、注意すべきポイントが4つあります。
- 期間の開始日は個々で判断
- 提出済みの戸籍は不要
- 申述書の内容は個々で違う
- 依頼は単独より共同
それぞれ説明しているので、確認しておいてください。
3-1.期間(3ヶ月)の開始日は個々で判断
相続放棄するかの判断は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。
相続人が複数人存在する場合、相続の開始を知った日は個々で判断します。
したがって、共同相続人の期間が経過していても、あなたの期間も経過しているとは限らないです。
あなたが知った日から3ヶ月過ぎているかなので、期間の確認は必ずしてください。
関連記事を読む『相続放棄の期間は3ヶ月以内【期間の開始日が重要】 』
3-2.他の相続人が提出済みの戸籍は省略できる
相続放棄の申述書には戸籍等を添付して提出します。
ただし、他の相続人が提出済みの戸籍は、省略して問題ありません。
以下は、裁判所のホームページです。
同じ戸籍は1枚で十分なので、改めて取得する必要はないです。
ちなみに、同じ戸籍等を提出しても、相続放棄に影響はありません。
関連記事を読む『相続放棄には戸籍謄本が必要!誰がするかで枚数が違う 』
3-3.申述書の内容が違っても問題ない
共同相続人が提出している申述書の内容と、あなたが提出する申述書の内容が違っても問題ありません。
※被相続人の情報は一致する。
なぜなら、相続人によって違う部分もあるからです。
- 相続の開始を知った日
- 相続放棄の理由
- 把握している相続財産
相続放棄の申述書は各相続人が作成するので、知った日や理由が違っても不思議はありません。
※一緒の場合が多いだけ。
死亡日 |3月13日
相続人 |A・B
相続財産|借金(100万円)
相続人Aは被相続人と同居していたので、借金の存在を知っていました。
一方、相続人Bは被相続人と疎遠(縁を切っている)であり、初めから相続するつもりがなく、親族からの連絡で死亡を知りました。
内容 | A | B |
---|---|---|
知った日 | 3月13日 | 5月4日 |
理由 | 債務超過 | 疎遠 |
相続財産 | 借金100万円 | 不明 |
同じ被相続人に対する相続放棄でも、申述書の内容に違いは生じます。
共同相続人と申述書の内容(知った日や理由)が違っても、相続放棄は受理されるので安心してください。
関連記事を読む『相続放棄の理由は自由|借金・安全・疎遠・不動産以外の理由も可能 』
3-4.専門家への依頼は単独より共同が得
相続放棄を専門家(司法書士・弁護士)に依頼するなら、単独より共同が得になります。
なぜなら、2人目以降の料金は、割引にしている事務所が多いからです。
相続人 |A・B・C
料金 |4万円
割引料金|3万円
同じ料金で別々の事務所に依頼するのと、共同で同じ事務所に依頼するのとでは、合計額が違います。
人数 | 単独 | 共同 |
---|---|---|
A | 4 万円 | 4 万円 |
B | 4 万円 | 3 万円 |
C | 4 万円 | 3 万円 |
合計 | 12 万円 | 10 万円 |
相続人同士で連絡が取れるなら、同じ事務所に依頼した方が得になります。
4.まとめ
今回の記事では「単独の相続放棄」について説明しました。
相続放棄は単独の手続きであり、他の相続人の同意等は不要です。他の相続人に連絡が取れなくても、問題なく放棄はできます。
相続人が複数人いる場合、各相続人で相続(相続放棄)の判断が分かれても問題ありません。
自分1人だけ相続放棄するのも自由ですし、他の相続人と一緒に相続するのも自由です。
相続放棄の期間は3ヶ月以内なので、後回しにせず行ってください。
単独の相続放棄に関するQ&A
- 他の相続人が反対しても相続放棄できますか?
-
できます。
- 自分だけ専門家に依頼するのは可能ですか?
-
可能です。