自分が相続放棄したことを、連絡した方が良いのか質問されることがあります。債権者(お金を貸している人)や後順位相続人に対してです。
私が実際に依頼を受けているケースでは、依頼人により答えを変えています。「教えたあげた方が良いですよ」と言うこともあれば、「ほっといても大丈夫ですよ」と伝えることもあります。
なぜ、答えが違うかには理由がありますので、連絡するか迷っていれば参考にしてください。
1.連絡する義務はない
初めにお伝えしておきたいのは、あなたが相続放棄をしたことを誰かに連絡する法律上の義務はありません。ですので、連絡をしなかったからといって、罰金が発生するということもないです。
連絡をしなくても相手はあなたの相続放棄について、自分の権利として家庭裁判所に確認することができます。
もちろん、手続きには時間がかかりますので、連絡してくれた方が早いというのはあります。債権者が受理通知書を送ってくれというのも、手っ取り早く確認したいからだと思います。
2.債権者に対してはコピーを送る
亡くなった人に借金があった場合、債権者(お金を貸していた側)は相続人に返済を請求してきます。
実際に書面でお知らせ等が送られてきた人も多いはずです。ちなみに、亡くなって直ぐに相続放棄していると、債権者が請求してきた時には相続人ではないかもしれません。
私もすべての書面を見たわけではないのですが、相続放棄について書いてある書面もありました。債権者の方も相続放棄することは想定の範囲内だと思います。
債権者側で相続放棄を調べることもできるのですが、相続放棄申述受理通知書のコピーを送る方が早いです。相続放棄の手続きが終わっているのであれば、送ってあげる方が気持ち的にスッキリするかもしれません。
3.相続放棄をしなかった相続人
あなたが相続放棄をしても、相続を選択する相続人も当然います。
他の相続人が相続手続をするには、あなたが相続放棄したことを証明する必要があります。
*遺言書を作成していない場合です。
具体的には、銀行での手続きや相続登記をする際に、相続放棄申述受理証明書や相続放棄申述受理通知書が必要となります。
相続放棄をした後に、相続放棄申述受理証明書の提出を求められときがあります。相続放棄申述受理通知書と名称が似ているので、間違えやすいのですが別の書類になります。使う機会が限られているので、相続放棄をした人でも取得されていないことが[…]
相続放棄申述受理通知書のコピーを渡しておけば、他の相続人は自分で証明書を取得することができます。
4.後順位相続人への連絡は分かれる
相続放棄したことを連絡するかで判断が分かれるのが、後順位相続人についてです。人により考えが違うので、あくまでも参考程度に留めておいてください。
4‐1.親しい関係であれば連絡する
あなたと後順位相続人が親しければ、相続放棄したことを連絡しても良いと思います。
理由は2つあります。
- 相続放棄の可能性が高い
- 事務所を探す手間が省ける
相続放棄の可能性が高い
あなたが相続放棄を選んだように、後順位相続人も相続放棄を選ぶ可能性が高いです。ですので、前もって連絡を受けていれば、慌てることなく手続きをすることができます。
ちなみに、私なら自分の相続放棄が完了する前に伝えておきます。後順位相続人が実際に相続放棄できるのは、先順位相続人の相続放棄が終わった後です。早めに伝えておけば、準備等に時間がかけれるからです。
事務所を探す手間が省ける
相続放棄を専門家(弁護士・司法書士)に依頼すると報酬が発生します。注意点は事務所によって金額が違うことです。
この記事を読んでいる人は、ネットで検索することができる人だと思います。ただし、世の中にはネット検索に慣れていない人もいます。間違って料金が高い事務所に依頼する可能性もあります。
あなたが依頼した事務所に不満(報酬等)が無ければ、後順位相続人に事務所を紹介してあげても良いと思います。
4‐2.親しくなければ連絡しない
後順位相続人と親しくなければ、無理してまで連絡をする必要もないです。
債権者等は自分で調べて相続人に連絡を取ります。後順位相続人が相続放棄をする場合は、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内です。
あなたが連絡をしなかったからといって、後順位相続人の3ヶ月の期間が短くなることはないです。
4‐3.連絡先を知らない人には教えようがない
後順位相続人の連絡先を知らなければ、教えようがないので気にする必要もないです。
5.さいごに
相続放棄したことを連絡した方が良いのか気にされる人も多いです。
債権者等であれば、相続放棄申述受理通知書のコピーを送ってあげれば話が早いです。後順位相続人であれば、関係性によって答えが分かれます。
連絡するかどうかに正解は別にないので、今回の記事等を参考にしてみてください。