自分が相続放棄したことを、連絡した方が良いのか悩まれていませんか。
私が実際に依頼を受けているケースでは、依頼人により答えを変えています。
「教えたあげた方が良いですよ」と言うこともあれば、「ほっといても大丈夫ですよ」と言うこともあります。
なぜ、答えが違うかというと、連絡する法律上の義務はないので、相手との関係性で決めているからです。
今回の記事では、相続放棄の連絡について説明しているので、連絡で悩まれているなら参考にしてください。
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1.相続放棄を連絡する法律上の義務はない
まずは、相続放棄を連絡する義務について説明します。
法律上、相続放棄を連絡する義務はありません。相続放棄を連絡しなくても、罰金等は発生しません。
相続放棄を連絡しなくても、債権者や他の相続人(後順位相続人含む)は相続放棄を確認できます。
なぜなら、家庭裁判所に「相続放棄の有無照会」をすれば、相続放棄の有無は分かるからです。
もちろん、確認には時間がかかるので、連絡してくれた方が楽です。債権者等が受理通知書のコピーを送ってくれというのも、自分で調べるのが面倒だからです。
相続放棄を連絡するかどうかは、あたなが自由に決めて問題ありません。
関連記事を読む『相続放棄の有無照会|事件番号は自分で調べることができる』
2.連絡が取れなくても相続放棄できる
相続放棄の手続きは、各相続人がそれぞれ行います。
したがって、他の相続人に連絡が取れなくても、相続放棄は問題なくできます。
相続放棄の申述期間(3ヶ月)は各相続人ごとに判断されます。他の相続人を探している間に3ヶ月経過すると、相続放棄できなくなるので注意してください。
2-1.他の相続人を探すなら期間伸長の申出
どうしても、他の相続人と相談したうえで相続放棄したい場合は、期間伸長の申立てをしておきましょう。
期間伸長の申立てが認められると、申述期間が1ヶ月から2ヶ月ほど伸びます。
ただし、期間伸長の申立ても3ヶ月以内にする必要があります。
他の相続人が見つかっても、相談がまとまる保障はないので、最終的には自己の判断で相続放棄を決めてください。
関連記事を読む『相続放棄の期間延長|財産を調査する時間は延ばせる』
2-2.限定承認なら他の相続人に連絡が必要
相続放棄ではなく限定承認を選ぶなら、他の相続人に連絡が必要になります。
なぜなら、限定承認は相続人全員でする手続きだからです。
自分一人だけで限定承認の申立書を提出しても、限定承認は認められません。
限定承認を選ぶなら、他の相続人への連絡が必須です。
関連記事を読む『限定承認は全員で行う必要がある|連絡を忘れずにしておこう』
3.債権者に相続放棄を連絡する
債権者に相続放棄を連絡するかは、本人が決めます。
ただし、債権者に連絡した方が、余計な手間は省けると思います。
3-1.家庭裁判所は相続放棄を連絡しない
勘違いしている人も多いのですが、家庭裁判所は債権者に相続放棄を連絡しません。
※市役所や法務局にも連絡しません。
あくまでも、家庭裁判所は相続放棄を受理しているだけです。
債権者が相続放棄を知るには、「自分で調べるか」または「相続人が連絡するか」のどちらかです。
3-2.債権者は調べずに連絡してくる
亡くなった人に借金があった場合、債権者は相続人に返済を請求してきます。
実際に書面が送られてきた相続人も多いはずです。
一般的に、債権者は相続放棄を調べません。戸籍で相続人を確認して書面を郵送してきます。
したがって、相続放棄が終了している人にも、債権者からの書面は届きます。
債権者に相続放棄を連絡するかは自由です。ただし、連絡しないと書面が何回も届く可能性はあります。
3-3.債権者には受理通知書のコピーで十分
相続放棄を債権者に連絡する場合は、「相続放棄申述受理通知書」のコピーを渡しましょう。
市役所や銀行から送られてくる書面には、「相続放棄申述受理証明書」を指示しているケースもあります。
ですが、相続放棄は受理通知書のコピーで確認できるので、無理して受理証明書を取得する必要はありません。
実際、当事務所で依頼を受けているケースでは、受理通知書のコピーで特に問題は発生していません。
関連記事を読む『相続放棄受理通知書が届けば相続放棄は完了です』
4.相続放棄を後順位相続人に連絡する
相続放棄を後順位相続人に連絡するかは、人により考えが違います。
ですので、今回の記事も参考程度に留めておいてください。
4-1.後順位相続人との関係性で連絡を判断
相続放棄を連絡するかは、後順位相続人との関係性で判断する人が多いです。
後順位相続人と親しければ連絡する
後順位相続人と親しければ、相続放棄を連絡した方が良いでしょう。
連絡する理由は、2つ考えられます。
- 相続放棄の可能性が高い
- 事務所を探す手間が省ける
それぞれ簡単に説明していきます。
①相続放棄の可能性が高い
あなたが相続放棄を選んだように、後順位相続人も相続放棄を選ぶ可能性が高いです。
ですので、前もって連絡を受けていれば、慌てることなく相続放棄ができます。
ちなみに、私なら自分の相続放棄が完了する前に伝えておきます。
後順位相続人が実際に相続放棄できるのは、先順位相続人の相続放棄が終わった後です。早めに伝えておけば、準備等に時間がかけれます。
②事務所を探す手間が省ける
相続放棄を専門家(弁護士・司法書士)に依頼すると報酬が発生します。
この記事を読んでいる人は、ネットで検索できる人だと思います。
ですが、世の中にはネット検索に慣れていない人もいます。間違って料金が高い事務所に依頼する可能性もあります。
あなたが依頼した事務所に不満(報酬等)が無ければ、後順位相続人に事務所を紹介してあげましょう。
2人目以降の相続放棄に関しては、割引にしている事務所も多いです。
後順位相続人と親しくなければ連絡しない
後順位相続人と親しくなければ、無理して連絡をする必要はないです。
債権者等は自分で戸籍等を調べて、後順位相続人に連絡を取ります。
後順位相続人が相続放棄をする場合は、自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月以内です。
あなたが連絡をしなくても、後順位相続人の申述期間は短くなりません。
4-2.相続放棄の連絡により3ヶ月がスタート
相続放棄を後順位相続人に連絡すると、3ヶ月の熟慮期間がスタートします。
相続放棄の手続きを自分でする人は別ですが、専門家への依頼には報酬が必要です。
後順位相続人の中には、相続放棄の費用を先順位相続人に要求する人もいます。もちろん、支払う義務はありません。
相続放棄の連絡をすることにより、後順位相続人とトラブルになる可能性はあります。
関連記事を読む『相続放棄の期間は3ヶ月以内【期間の開始日が重要】』
5.まとめ
今回の記事では「相続放棄の連絡」について説明しました。
相続放棄が受理されても、家庭裁判所は債権者に連絡しません。
ですので、相続放棄終了後に、債権者から書面が届くことは珍しくありません。
相続放棄を連絡する義務は無いのですが、受理通知書のコピーを送ると債権者は喜びます。受理証明書をわざわざ取得する必要はないです。
他の相続人や後順位相続人については、関係性によって答えが分かれます。親しければ連絡する、親しくなければ連絡しない。
連絡するかどうかに正解は別にないので、今回の記事を参考にしてください。
相続放棄の連絡に関するQ&A
- 先順位相続人から相続放棄を知らせる書面が届きました。
-
書面が届いた日から3ヶ月以内が相続放棄の期間になります。
- 自分の相続放棄が済んでから連絡しても問題ないですか?
-
他の相続人が相続の開始を知らなければ問題ありません。