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共同相続人が相続放棄したら自分にどんな影響があるのか?

共同相続人の相続放棄
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あなたが相続を選んでも、共同相続人は相続放棄を選ぶかも知れません。

相続放棄するのに他の相続人の同意や許可は不要なので、知らない間に終わっている可能性もあります。

共同相続人が相続放棄すると、法定相続分も変わりますし、相続手続きに必要な書類も変わります。

今回の記事では、共同相続人の相続放棄について説明しているので、相続を選ぶなら確認しておいてください。

目次

1.相続放棄に共同相続人の同意は不要

相続放棄に他の相続人の同意は不要

相続放棄するのに共同相続人(他の相続人)の同意は不要です。

あなたが相続放棄に反対しても、共同相続人は相続放棄を選べます。

1-1.相続放棄するかは各相続人が個別に判断

相続放棄するかは、各相続人が個別に判断します。

したがって、あなたが相続(単純承認)しても、共同相続人が相続放棄するのは自由です。

Aが相続を決めている場合、共同相続人の判断によって、相続人の組み合わせは以下のようになります。

○=相続(単純承認)✖=相続放棄

相続の内容ABC
全員相続
ABは相続
ACは相続
Aだけ相続
相続の組み合わせ

あなたが相続するからといって、共同相続人も相続するとは限りません。相続を判断する際は十分に注意してください。

1-2.知らない間に共同相続人が相続放棄

あなたが知らない間に、共同相続人が相続放棄している可能性はあります。

相続放棄した相続人がいても、家庭裁判所から連絡は来ないからです。

共同相続人に連絡が取れない場合、相続放棄している可能性も考慮してください。

2.共同相続人が相続放棄しているか知りたい

共同相続人が相続放棄しているか知りたい人もいます。

相続人

遺産分割協議の連絡をする必要があるのか?

共同相続人が相続放棄していなければ、遺産分割協議の参加者なので連絡が必要です。

一方、相続放棄していれば、相続人ではないので連絡は不要となります。

共同相続人と積極的に連絡が取りたくない人は、相続放棄の確認をしてから連絡するか決めてください。

2-1.相続放棄の有無照会で判断可能

共同相続人が相続放棄しているかは、家庭裁判所の有無照会で分かります。

具体的には、相続人目録に共同相続人の氏名を記入して提出すると、「相続放棄の有無」や「事件番号」等が記載されて返送されます。

以下は、相続人目録の記載例です。

共同相続人が相続放棄していれば、受理にチェックが入っています。受理日や事件番号も確認可能です。

一方、見当たらずにチェックが入っていれば、共同相続人は相続放棄していません。

共同相続人の相続放棄の有無や事件番号が知りたいなら、家庭裁判所に有無照会をしましょう。

2-2.共同相続人が相続に気付いていない可能性

相続の開始に気付いていなければ相続放棄できない

共同相続人の有無照会をする場合、相続に気付いていない可能性も考慮してください。

相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」なので、気付いていなければ有無照会しても意味がないです。

実際、有無照会後に遺産分割協議の連絡をすると、連絡後に相続放棄する人もいます。

共同相続人の相続放棄を調べるなら、相続に気付いているかも確認しておきましょう。

3.共同相続人が相続放棄すると相続に変更

共同相続人が相続放棄すると相続に変更がある

共同相続人が相続放棄すると、相続(法定相続人・法定相続分)に変更が生じます。

なぜなら、相続放棄した人は、初めから相続人ではないからです。

3-1.共同相続人を除いて法定相続分を計算

相続放棄した人は法定相続分の計算から除外

共同相続人が相続放棄したなら、法定相続分を計算し直してください。

【相続人1人が相続放棄】

被相続人|父親
相続人 |配偶者・長男・二男
相続放棄|二男

二男の相続放棄により、相続人の法定相続分が変わります。

相続人放棄前放棄後
配偶者2分の12分の1
長男4分の12分の1
二男4分の1
法定相続分の変更

【相続人2人が相続放棄】

被相続人|父親
相続人 |長男・二男・長女・二女
相続放棄|二男・二女

二男と二女の相続放棄により、相続人の法定相続分が変わります。

相続人放棄前放棄後
長男4分の12分の1
二男4分の1
長女4分の12分の1
二女4分の1
法定相続分の変更

相続放棄した共同相続人は相続人ではないので、法定相続分の計算からは除外してください。

3-2.負債の負担額も変わるので支払いに注意

共同相続人が相続放棄すると債務の負担額も増える

共同相続人が相続放棄している場合、債務の負担額には注意してください。

なぜかというと、債権者からの書面には、法定相続分の割合で負担額が記載されているケースもあるからです。

債権者は相続放棄を知らずに書面を郵送するので、当初の法定相続分で負担額を計算しています。実際の負担額とは違うので、債務の総額を確認してください。

共同相続人の相続放棄によっては、自分1人で全額を返済する可能性もあります。

4.共同相続人の申述受理証明書が必要

相続放棄は戸籍に記載されない

相続人が相続手続きをするには、共同相続人の申述受理証明書が必要になります。

なぜなら、戸籍には相続放棄が記載されないので、共同相続人の相続放棄を証明する必要があるからです。

4-1.申述受理証明書は相続手続きの添付書面

通常の相続手続きでは、戸籍一式と印鑑証明書を提出します。

ですが、共同相続人が相続放棄している場合は、申述受理証明書も添付書面です。

【相続登記を申請する場合】

被相続人|父親
相続人 |配偶者・長男・二男
相続放棄|二男
取得者 |長男

相続登記に必要な書面は、以下になります。

  • 父親の出生から死亡までの戸籍
  • 相続人の戸籍
  • 住民票(長男)
  • 遺産分割協議書
  • 印鑑証明書(配偶者・長男)
  • 申述受理証明書(二男)

二男は遺産分割協議に参加しないので印鑑証明書は不要ですが、相続放棄を証明するため申述受理証明書は必要です。

簡単にいえば、印鑑証明書の代わりに申述受理証明書を添付するイメージです。

申述受理証明書を添付しなければ、遺産分割協議が有効に成立しているか判断できません。

共同相続人が相続放棄していると、申述受理証明書が必要になると覚えておきましょう。

4-2.共同相続人の申述受理証明書は取得できる

共同相続人の申述受理証明書は、他の相続人(相続放棄しなかった人)でも取得できます。

ただし、証明書の取得には「事件番号」が必要です。

事件番号が分かっているかで、その後の対応が違います。

事件番号は分かっている

共同相続人の事件番号が分かっているなら、家庭裁判所に申述受理証明書を請求してください。

申述受理証明書は1通150円ですが、現金ではなく収入印紙で納付します。前もって、郵便局の窓口で購入しておきましょう。

事件番号が分からない

共同相続人の事件番号が分からないなら、先に調べる必要があります。

  • 共同相続人に教えてもらう
  • 家庭裁判所に有無照会する

共同相続人と連絡が取れるなら、事件番号を教えてもらいましょう。

一方、共同相続人と連絡が取れない(交流がない)場合は、家庭裁判所に相続放棄申述有無照会をしてください。

家庭裁判所に有無照会すると、共同相続人の事件番号が分かります。

有無照会については【2-1.相続放棄の有無照会で判断可能】で説明しています。

5.まとめ

今回の記事では「共同相続人の相続放棄」について説明しました。

相続放棄するかは各相続人の判断であり、共同相続人が相続放棄するのも自由です。

相続人の中に相続放棄した人がいると、法定相続分が変わるので計算し直してください。

相続手続では共同相続人の申述受理証明書が必要になります。事件番号が分からないと取得できないので、有無照会等で確認しておきましょう。

共同相続人が相続放棄しているなら、今回の記事を参考に手続きを進めてください。

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