相続放棄をした後に、相続放棄申述受理証明書の提出を求められときがあります。
相続放棄申述受理通知書と名称が似ているので、間違えやすいのですが別の書類になります。
使う機会が限られているので、相続放棄をした人でも取得されていないことが多いです。当事務所で相続放棄の依頼を受けたケースでも、ほとんど取得していないです。
普段あまり取得することはないのですが、必要になったときは記事を参考にしてください。
1.相続放棄後に貰えるのは通知書
まず初めに、相続放棄の手続き後に家庭裁判所から送ってくるのは、相続放棄申述受理通知書です。2文字しか変わらないので紛らわしいですが、証明書とは別の書面になります。
通知書は申述人に対して「相続放棄が受理されました」と、知らせるために送られてきます。
基本的には通知書があれば、相続放棄が認められていることは確認できます。通知書に書いている内容も証明書とほぼ同じです。
第3者に相続放棄をしたことを説明する際には、通知書をコピーして渡しましょう。
なぜかというと、通知書自体は1枚しかもらえないので、原本を渡してしまうと不便になるからです。
通遺書を紛失した場合や証明書が必要な時だけ、相続放棄申述受理証明書を取得することになります。
2.証明書が必要になる場面
相続放棄申述受理証明書が必要になる場面は限られます。
- 金融機関での手続き
- 通知書を失くしたとき
- その他
2-1.金融機関での手続き
相続人の中に相続放棄をしなかった人がいる場合は、金融機関での手続きが発生します。
*相続人全員が相続放棄をすると手続きもないです。
相続放棄をすると相続人の人数等が変更します。金融機関が相続人を確認するために、相続放棄申述受理証明書の提出を求めます。
金融機関によっては通知書で対応可能かもしれないので、一度確認しておくことをお勧めします。
2-2.通知書を失くしたとき
相続放棄申述受理通知書は1枚しか送付されないので、失くしたときは証明書を取得する必要があります。
*通知書の再発行はしていないです。
通知書を渡す際は原本ではなく、コピーを取って使いましょう。
2-3.その他
かつては、相続登記の際に必要だったのですが、通知書で対応可能になっています。
ただし、法務局によっては証明書の提出を求められるかもしれないです。
債権者から証明書の送付を求められることもあります。通知書のコピーで目的は達成できるのですが、通知書と証明書の区別がついていない人もいるので、説明するのが面倒なら証明書を送付しましょう。
3.証明書を取得する手続き
相続放棄申述受理証明書を取得する手続き。
- 請求できる人
- 請求先の家庭裁判所
- 請求方法は2種類
- 必要な書類等
- 事件番号が必要
3-1.請求できる人
証明書を取得できるのは以下の人です。
- 本人
- 利害関係人
利害関係人には債権者や共同相続人が該当します。
ですので、相続放棄をした人の協力が得られない場合等は、自分で取得することができます。
3-2.請求先の家庭裁判所
証明書の請求先は相続放棄を申述した家庭裁判所です。
*亡くなった人の最後の住所地を管轄する裁判所。
3-3.請求方法は2種類
窓口または郵送での取得が可能です。郵送で請求する場合は申請書を準備しておく必要があります。
取得するための申請書は『裁判所のホームページ』から、ダウンロードできます。
3-4.必要な書類等
窓口と郵送で少しだけ違います。
窓口で取得する場合
- 申請書(収入印紙150円)
- 本人確認書類
- 認印
- 利害関係疎明資料
*相続人なら戸籍謄本等
*債権者なら契約書等
郵送で取得する場合
- 申請書(収入印紙150円貼付)
- 返送用封筒(切手貼付)
- 本人確認書類のコピー
- 利害関係疎明資料
*相続人なら戸籍謄本等
*債権者なら契約書等
3-5.事件番号が必要
相続放棄申述受理証明書を取得するには、事件番号が必要になります。
事件番号は相続放棄受理通知書に記載されています。コピーを取得できるなら問題ないですが、できなければ事件番号が分かりません。
事件番号が分からない場合は、先に相続放棄申述の有無照会を済ませます。有無照会をすることで事件番号を知ることができます。
インターネットで有無照会を調べているということは、相続放棄した相続人と連絡が取れないからだと思います。連絡が取れなくても自分で確認する方法があります。それが家庭裁判所に対する有無照会の手続きです。相続放棄申述の有無照会を検討[…]
4.さいごに
相続放棄申述受理証明書を使う機会は少ないのですが、金融機関等によっては必要になります。あるいは、通知書を失くしてしまったときに取得します。
ほとんどの人は取得することがないので、いざ必要になると困ることになります。相続放棄を専門家に依頼された場合は、証明書についても聞いてみてください。
自分で相続放棄の手続きをされた場合は、今回の記事等を参考にしてください。相続放棄申述受理証明書取得の依頼も可能です。