相続放棄をした相続人と連絡が取れず、次の行動に移れなくて困っていませんか。
相続人と連絡が取れなくても、相続放棄を自分で調べることはできます。
相続人や次順位の相続人は自分の権利として、家庭裁判所に対し有無照会をすることができます。有無照会をすると相続放棄をしているかどうかが分かります。
相続放棄の確認をしたい場合や事件番号を調べたい場合は、今回の記事を参考にして悩みを解決してください。
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1.相続放棄の有無照会をする理由
相続人が相続放棄申述の有無照会をする理由は2つ考えられます。
- 他の相続人の事件番号を確認するため
- 自分が相続放棄するため
1-1.他の相続人の事件番号を確認するため
相続手続をするためには、相続人全員の同意等が必要です。相続人の中に相続放棄をした人がいるなら、相続放棄申述受理通知書(証明書)を手続きで使用することになります。
相続人と連絡が取れるのであれば良いのですが、疎遠になっているなどの理由で取得することが難しい人もいます。
自分で相続放棄申述受理証明書を取得するには、事件番号を知る必要があります。申述の有無照会をすることで事件番号を確認することが可能です。
関連記事を読む『相続放棄申述受理証明書が必要になる場面は少ない』
1-2.自分が相続放棄をするための確認
後順位相続人は先順位相続人が全員相続放棄をしなければ相続人となりません。相続人でなければ相続放棄もできません。
つまり、先順位相続人と連絡が取れなければ、借金の連絡等が来るまで待つことになります。
自分で相続人になっているかを知るには、申述の有無照会で先順位相続人が全員相続放棄しているかを確認します。
先順位相続人が全員相続放棄していれば、確認した日から3か月以内に相続放棄をしましょう。
関連記事を読む『相続放棄をすると次順位の相続人に借金等が移ってしまう』
2.相続放棄申述の有無照会の方法
相続放棄しているかを確認するなら、相続放棄申述有無照会の申請書を家庭裁判所に提出します。
2-1.有無照会の管轄家庭裁判所を調べよう
亡くなった人の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄となります。死亡時の住所とは、最後の住民票上の住所です。
亡くなった人の住所が分からない場合は、自分の戸籍謄本を遡ると確認できます。
亡くなった兄弟姉妹の住所を確認する方法
- 自分の戸籍謄本を取得して親の本籍地を確認
- 親の戸籍謄本を取得して祖父の本籍地を確認
- 兄弟の戸籍の附票を取得
戸籍の附票にも住民票上の住所が記載されています。
亡くなった叔父の住所を確認する方法
- 自分の戸籍謄本を取得して親の本籍地を確認
- 親の戸籍謄本を取得して祖父の本籍地を確認
- 祖父の戸籍謄本を取得して叔父の本籍地を確認
- 叔父の戸籍の附票を取得
叔父の住所を確認するには、戸籍謄本が複数枚必要になります。
2-2.相続放棄の有無照会ができる人は限られる
相続放棄申述の有無照会ができる人は限られます。
- 相続人(後順位相続人等)
- 利害関係人(債権者、徴税官署等)
上記以外の人は確認することができません。
例えば、後順位相続人であれば、自分が相続人になっているか確認するために有無照会ができます。
あるいは、共同相続人であれば、受理証明書を取得する前提として事件番号を調べるために有無照会ができます。
2-3.相続放棄申述有無照会の手数料は無料
相続放棄申述有無照会の手数料は無料です。
ただし、実際には添付書面の収集費用や郵送費用が発生します。
例えば、先順位相続人の相続放棄を確認するなら、全員の氏名を戸籍謄本で確認する必要があります。
2-4.有無照会に必要な書類を揃えよう
以下が必要な書類です。
- 有無照会申請書
- 本人確認書類のコピー
- 亡くなった人の戸籍謄本または除籍謄本
- 亡くなった人の住民票(除票)
- 照会する人の戸籍謄本
- 照会する人の住民票
- 相続関係図
- 返信用封筒(切手付き)
利害関係人が照会する場合は、利害関係を証明する書類も必要です。
1年以内に再照会する場合は、前回の回答書写しを添付すればその他の書類は省略できます。
*照会する人に住所変更等があれば、変更を証明する資料は添付。
3.相続放棄申述有無照会の結果
相続放棄申述の有無照会の結果は書面で郵送されます。
3-1.相続放棄を受理していれば事件番号が分かる
相続放棄を受理している場合は、事件番号と受理年月日が記載された回答書が届きます。
事件番号が分かれば相続放棄申述受理証明書も取得可能です。手続き等で必要な人は交付申請を行いましょう。
3-2.相続放棄を受理していなければ該当なし
相続放棄が受理されていない場合は、該当なしと記載された回答書が届きます。
注意相続人目録に記載した氏名が間違っていると該当なしと回答されます。
4.有無照会を利用するうえでの注意点
相続放棄申述の有無照会には注意点もあります。
- 調査対象期間の違い
- 相続人目録の記載
- 有無照会のタイミング
4-1.相続放棄の調査対象期間が違う
最近亡くなった人については特に問題ありません。
それに対して、10年以上前に亡くなった人については、各家庭裁判所により調査対象期間が違います。管轄家庭裁判所に確認をお願いします。
例として、大阪家庭裁判所の調査対象期間です。
【亡くなった日が平成11年1月1日以降】
平成11年1月1日から調査日前日までが対象期間です。
【亡くなった日が平成10年12月31日以前】
第1順位の相続人については死亡日から3ヶ月以内。後順位相続人については先順位相続人の相続放棄から3ヶ月以内が調査対象期間です。
4-2.有無照会されるのは相続人目録に記載した人だけ
照会対象者を申請書の相続人目録により特定する必要があります。
なぜなら、相続人目録に記載されていない相続人については回答されないからです。
照会対象者の欄に記載された人だけ、右側に相続放棄の有無が回答されます。
先順位相続人が相続放棄しているか確認するなら、相続人全員を特定しておく必要があります。
注意照会対象者の氏名は、戸籍謄本に記載されている漢字で記入します。
4-3.相続放棄申述有無照会のタイミング
相続放棄ができる期間は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。
したがって、相続放棄申述有無照会のタイミングが早すぎると、有無照会後に相続放棄する人もいます。
また、相続の開始を知らなければ相続放棄は可能なので、相続の開始を知っているかどうかも重要になります。
あくまでも、照会時点での相続放棄の有無を確認するだけです。
5.さいごに
相続放棄をした相続人と連絡が取れなくても、自分で相続放棄を確認することはできます。
ただし、亡くなった人の住民票上の住所や、調べたい人の氏名などは調べておく必要があります。
有無照会の回答書には事件番号も記載されているので、相続放棄申述受理証明書を取得することも可能です。あるいは、先順位相続人の相続放棄を確認して、ご自身も相続放棄をするかもしれません。
どちらであっても司法書士に依頼することが可能なので、お気軽にお問い合わせください。