兄弟姉妹の相続放棄は用意する書類が多いので早めに準備

兄弟姉妹の相続放棄
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亡くなった人の兄弟姉妹が相続放棄を検討しているなら、知っておくべきポイントが複数あります。

人生で一度も会ったことがない兄弟姉妹であっても、法律により相続人となります。

亡くなった人に子どもがいても、全員が相続放棄すると、兄弟姉妹に相続権が移ってきます。
※配偶者の存在は無関係。

兄弟姉妹の相続放棄は用意する戸籍が多く、準備に時間がかかります。3ヶ月以内という期間は同じなので、後回しにせず手続きを始めてください。

今回の記事では、兄弟姉妹の相続放棄について説明しているので、しっかりと確認しておいてください。

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目次

1.相続放棄が必要になる兄弟姉妹

まずは、相続放棄が必要になる兄弟姉妹について説明します。

なぜなら、兄弟姉妹を間違えている人が多いからです。

『兄弟姉妹=被相続人と親が同じ人』

  • 被相続人と両親が同じ人
  • 被相続人と片親が同じ人
  • 被相続人と養親が同じ人
  • 被相続人の実親と養子縁組している人

上記に該当する人が、被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹になります。

会ったことがない、一緒に暮らしたことがない、苗字が違うなどは一切関係ありません。

1-1.被相続人と両親が同じ人

被相続人と両親が同じであれば兄弟姉妹

被相続人と両親が同じであれば兄弟姉妹です。

両親が同じであれば間違える人も少ないと思います。

ですが、結婚して名字が変わっている、後継ぎである兄が存在する、兄弟姉妹とは絶縁しているなど、相続人にならないと勘違いする人もいるので注意してください。

1-2.被相続人と片親が同じ人

被相続人と片親が同じであれば兄弟姉妹

被相続人と片親が同じであれば兄弟姉妹です。

亡くなった人と父親・母親どちらかが同じであれば、会ったことが無くても兄弟姉妹になります。

父親や母親が兄弟姉妹の存在を教えていなければ、相続の連絡で兄弟姉妹の存在を知るケースも珍しくありません。

異父(異母)兄弟姉妹も相続人になるので、無関係だと勘違いしないよう注意してください。

1-3.被相続人と養親が同じ人

被相続人と養親が同じであれば兄弟姉妹です。

法律上、実親と養親に違いはないので、養親が同じであれば兄弟姉妹になります。

養親が養子縁組を複数回しているかは、養親の戸籍を確認しなければ分かりません。別の養子に気付いていない人も多いので、相続の連絡が来た際は養親の戸籍を取得してください。

被相続人と養親が同じであれば、兄弟姉妹として相続人になります。

1-4.被相続人の実親と養子縁組している人

被相続人の実親と養子縁組している人も兄弟姉妹です。

養親に実子がいれば兄弟姉妹になるので、養親縁組とは親だけでなく、兄弟姉妹も増える可能性がある法律行為になります。

養親の戸籍を出生から死亡まで取得すれば、実子の有無は確認可能です。

実子と養子も兄弟姉妹になるので、相続放棄を忘れないよう注意してください。

2.兄弟姉妹が相続人になるケースは2つ

被相続人の兄弟姉妹が、相続人になるケースは大きく分けると2つあります。

  1. 初めから兄弟姉妹が相続人
  2. 先順位相続人の相続放棄により相続人

どちらのケースも、兄弟姉妹が相続人になります。

1-1.初めから兄弟姉妹が相続人

初めから兄弟姉妹が相続人とは、以下のケースです。

  • 被相続人に子がおらず、かつ、直系尊属は死亡している
  • 被相続人の子は亡くなっており、かつ、直系尊属も死亡している
    ※代襲相続人も存在しない

第1順位(子ども)と第2順位(直系尊属)がいなければ、第3順位(兄弟姉妹)が初めから相続人となります。

ちなみに、配偶者がいても兄弟姉妹は相続人になるので、間違えないように気を付けてください。

1-2.先順位相続人が全員相続放棄した

先順位相続人が全員相続放棄すると兄弟姉妹に相続が移る

先順位の相続放棄により兄弟姉妹が相続人とは、以下のケースです。

  • 被相続人の子どもと直系尊属が相続放棄
  • 被相続人の子どもは相続放棄、かつ、直系尊属は死亡している
  • 被相続人に子どもはおらず、かつ、直系尊属が相続放棄
    ※代襲相続人も存在しない

相続開始時に先順位相続人が存在しても、全員が相続放棄すると兄弟姉妹が相続人になります。

ちなみに、配偶者の相続放棄は順位変更に関係しないので、間違えないよう注意してください。

3.兄弟姉妹の相続放棄も3ヶ月以内

相続放棄できる期限は、相続の開始を知った日から3ヶ月以内です。

ただし、兄弟姉妹が相続人の場合、相続の開始を知った日を間違えやすいので注意してください。

相続人相続の開始を知った日
初めから
兄弟姉妹が相続人
死亡を知った日
先順位の相続放棄で
兄弟姉妹が相続人
先順位相続人の
相続放棄を知った日

どちらに該当するかで、相続の開始を知った日が違います。

3-1.被相続人の死亡を知った日

初めから兄弟姉妹が相続人なら死亡を知った日から3ヶ月以内

兄弟姉妹が初めから相続人だった場合、相続放棄の期限は「死亡を知った日」から3ヶ月以内となります。

被相続人|兄
相続人 |弟
死亡日 |令和7年8月22日
知った日|令和7年9月3日

令和7年9月3日から3ヶ月以内が、相続放棄の申述ができる期間です。

被相続人の死亡日から3ヶ月以内ではないので、勘違いしないよう注意してください。

被相続人と疎遠であれば、死亡を知るのが遅くなりますが、死亡を知った日からなので問題ありません。死亡日から何年経過しても、知った日から3ヶ月以内なら大丈夫です。

3-2.先順位相続人の相続放棄を知った日

先順位相続人全員の相続放棄を知った日から3ヶ月以内

被相続人の死亡時に第1順位や第2順位が存在した場合、相続放棄の期限は「先順位相続人の相続放棄を知った日」から3ヶ月以内となります。

なぜなら、先順位相続人が存在する限り、兄弟姉妹は相続人ではないからです。先順位相続人が1人でも相続放棄していなければ、兄弟姉妹は相続放棄できません。
※相続放棄できるのは相続人だけ。

先順位相続放棄した人後順位
3人1人
2人
3人相続人

先順位相続人が全員相続放棄したら、後順位(兄弟姉妹)が相続人になります。

そして、先順位相続人全員の相続放棄を知った日が「相続の開始を知った日」です。死亡を知った日ではないので、勘違いしないよう注意してください。

4.兄弟姉妹の相続放棄に必要な戸籍

家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する際は、戸籍が必要書類となります。

なぜなら、相続放棄できるのは相続人だけなので、兄弟姉妹が相続人だと戸籍で証明する必要があるからです。

4-1.相続人が兄弟姉妹だと証する戸籍

兄弟姉妹が相続放棄する場合、提出する戸籍は多くなります。

なぜなら、第1順位と第2順位の相続人を確認する必要があるからです。

具体的には、以下の戸籍で確認します。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍
  • 直系尊属の死亡戸籍
  • 兄弟姉妹の戸籍

各戸籍について簡単に説明します。

被相続人の出生から死亡までの戸籍

被相続人の出生から死亡までの戸籍で、子ども(第1順位)の有無や人数を確認します。

被相続人に子どもがいる場合は、全員が相続放棄しているか家庭裁判所がチェックします。1人でも相続放棄してなければ、兄弟姉妹は相続人ではありません。

被相続人の子どもが亡くなっている場合は、亡くなっている子どもの出生から死亡までの戸籍も必要です。
※代襲相続人の有無や人数を確認するため。

直系尊属の死亡戸籍

直系尊属(第2順位)の死亡も戸籍で確認します。

ただし、両親の生年によっては、祖父母の死亡戸籍も必要になります。

相続人の第2順位は直系尊属なので、両親が亡くなっていても、祖父母が健在であれば相続人になるからです。

兄弟姉妹(相続放棄する人)の戸籍

兄弟姉妹(相続放棄する人)の戸籍で、親が一致するかを確認します。

父親と母親どちらかでも一致すれば、被相続人と兄弟姉妹になるからです。
※養親も含む。

4-2.子や親が提出済みの戸籍は省略できる

兄弟姉妹の相続放棄に必要な戸籍は多いですが、すでに提出済みの戸籍は省略できます。

  • 先順位相続人が提出している戸籍
  • 他の兄弟姉妹が提出している戸籍

上記の戸籍は家庭裁判所にあるので、再度提出する必要はありません。

もちろん、同じ戸籍を提出しても、相続放棄に影響はないので安心してください。

先順位相続人が提出した戸籍

上記の図は、母が相続放棄した後で、弟が相続放棄する場合の戸籍を表しています。

母が「出生から死亡までの戸籍」を提出しているので、弟は省略して問題ありません。

ただし、直系尊属(母以外)の死亡戸籍は必要なので、忘れないように注意してください。

他の兄弟姉妹が提出した戸籍

上記の図は、兄が相続放棄した後で、弟が相続放棄する場合の戸籍を表しています。

兄が「出生から死亡までの戸籍」と「直系尊属の死亡戸籍」を提出しているので、弟は省略して問題ありません。

司法書士から一言兄弟姉妹が同時に相続放棄する場合も、同じ戸籍は1枚で大丈夫です。

5.兄弟姉妹が亡くなっている場合の相続放棄

相続人である兄弟姉妹が亡くなっている場合、亡くなった時期によって甥姪の立場が変わります。

死亡時期甥姪
被相続人よりも先代襲相続人
被相続人よりも後で
3ヶ月経過する前
再転相続人

5-1.被相続人よりも先に亡くなっている

代襲相続人である甥姪が2人いる場合

被相続人の兄弟姉妹が先に亡くなっている場合、甥姪がいれば代襲相続が発生します。

代襲相続

相続人が先に亡くなっている場合、相続人の子どもが代わりに相続人となる

甥姪が代襲相続人になるので、甥姪も相続放棄が必要です。

兄弟姉妹が先に亡くなっているなら、甥姪の有無を必ず確認してください。

甥姪の相続放棄に関しては、下記の記事で詳細に説明しています。

5-2.被相続人よりも後で3ヶ月経過する前に亡くなった

兄弟姉妹が相続の開始を知った日から3ヶ月経過する前に亡くなった場合、甥姪は再転相続人になります。
※相続の開始を知る前に亡くなった場合を含む。

再転相続

法定相続人が熟慮期間中に亡くなった場合の相続

兄弟姉妹が相続放棄する権利を持ったまま亡くなると、相続人(甥姪)が引き継ぎます。
※相続人はすべての権利義務を引き継ぐ。

被相続人相続人相続
1次相続
子(甥姪)2次相続

再転相続人である甥姪は、1次相続を相続放棄できます。1次相続を相続放棄しても、2次相続は相続を選べるので安心してください。

被相続人が高齢だと、再転相続が起こりやすいので、間違えないよう注意してください。

6.相続放棄するかは各兄弟姉妹が決める

亡くなった人に兄弟姉妹が複数人いる場合、相続放棄するかは各兄弟姉妹がそれぞれ決めます。

  • 兄弟姉妹で判断が違っても問題ない
  • 他の兄弟姉妹の同意は不要

6-1.兄弟姉妹で判断が違っても問題ない

亡くなった人の兄弟姉妹が複数人いる場合、相続放棄の判断は各相続人がします。

したがって、兄弟姉妹で相続と相続放棄の判断が違っても問題ありません。

例えば、亡くなった人の兄弟姉妹が3人(A・B・C)の場合です。

ABC
相続相続相続
相続相続相続放棄
相続相続放棄相続放棄
相続相続放棄相続
相続放棄相続相続
相続放棄相続相続放棄
相続放棄相続放棄相続
相続放棄相続放棄相続放棄

相続人が3人でも、さまざまなパターンがあります。

他の相続人に合わせる必要はないので、相続放棄するかは自分で決めて問題ありません。

6-2.他の兄弟姉妹の同意は不要

相続人(兄弟姉妹)が相続放棄する場合、他の兄弟姉妹の同意は不要です。

相続放棄の判断は各相続人が単独でするので、兄弟姉妹が複数人であっても同意は要件ではありません。

したがって、反対している兄弟姉妹や、連絡が取れない兄弟姉妹がいても、相続放棄の手続きは可能です。

勘違いして同意を得るのに時間をかけると、3ヶ月経過する恐れがあるので注意してください。

7.兄弟姉妹が相続放棄する場合のデメリット

兄弟姉妹が相続放棄する場合、子どもや親に比べるとデメリットが多いです。

  • 必要書類が多いので手間がかかる
  • 先順位が終わらないと手続きできない

7-1.必要書類が多いので手間がかかる

【4-1.相続人が兄弟姉妹だと証する戸籍】で説明したとおり、兄弟姉妹の相続放棄には多くの戸籍が必要になります。

ただし、集める戸籍の枚数は多いですが、相続の開始を知った日から3ヶ月以内という期限は同じです。

被相続人の本籍が遠方にある場合、郵送で戸籍を取得する必要があるので、後回しにする余裕はありません。

兄弟姉妹が相続放棄する場合は、速やかに戸籍の収集を開始してください。

7-2.先順位が終わらないと手続きできない

亡くなった兄弟姉妹に借金があっても、子ども(第1順位)や直系尊属(第2順位)が存在する限り、兄弟姉妹(第3順位)は相続放棄できません。

先順位相続人と交流があれば、いつ相続放棄が終わったか知ることができます。

一方、先順位相続人と交流がなければ、いつ相続放棄が終わったか分かりません。

先順位相続人が全員相続放棄したことを知った日から3ヶ月以内なので、分からなければ兄弟姉妹は相続放棄できないです。

先順位相続人と交流が無い場合は、先順位相続人の相続放棄を調べてから、自分の相続放棄をする人もいます。

先順位相続人の相続放棄を調べる方法は、下記の記事で詳しく説明しています。

8.相続放棄の費用は兄弟姉妹まとめてが得

相続放棄を専門家(司法書士・弁護士)に依頼するなら、兄弟姉妹まとめてした方が費用は得になります。

なぜかというと、同じ戸籍は省略できるので、2人目以降を割引にする事務所が多いからです。
※戸籍収集の手間が省ける。

みかち司法書士事務所に、まとめて依頼する場合と、個別に依頼する場合の費用比較です。

相続人まとめて個別
1人目34,00034,000
2人目25,00034,000
3人目25,00034,000
合計84,000102,000
相続放棄の費用

1人目の費用に差がなくても、2人目以降に差があるので合計額が違います。

兄弟姉妹で連絡が取れているなら、まとめて依頼した方が得になります。

もちろん、相続放棄は単独の手続きなので、1人だけ依頼しても問題ありません。

9.まとめ

今回の記事では「兄弟姉妹の相続放棄」について説明しました。

被相続人の兄弟姉妹とは、以下の人たちです。

  • 被相続人と両親が同じ人
  • 被相続人と片親が同じ人
  • 被相続人と養親が同じ人
  • 被相続人の実親と養子縁組している人

被相続人と苗字が違う、会ったことが無い、絶縁しているなどは、一切関係ありません。

兄弟姉妹が相続人になるケースは、大きく2つあります。

  1. 初めから兄弟姉妹が相続人
  2. 先順位相続人の相続放棄により相続人

どちらに該当するかで、相続放棄できる期間の起算日が違うので、間違えないよう注意してください。

被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合、亡くなった時期により甥姪の立場が変わります。

死亡時期甥姪
被相続人よりも先代襲相続人
被相続人よりも後で
3ヶ月経過する前
再転相続人

甥姪が代襲相続人なのか再転相続人なのかで、相続放棄も変わるので、死亡時期の先後を確認してください。

兄弟姉妹の相続放棄は、必要な戸籍も多いので、後回しにせず早めに始めてください。

兄弟姉妹の相続放棄に関するQ&A

異母兄弟でも相続放棄は必要ですか?

異母(異父)でも兄弟なので必要です。

兄は相続するようですが、私は相続放棄したいです。可能でしょうか?

相続放棄できます。相続の判断は個別に行います。

兄弟の死亡日は3年前ですが、死亡を知ったのは先週です。相続放棄は可能でしょうか?

相続放棄は可能です。知った日から3ヶ月以内なので問題ありません。

上記以外にも、相続放棄のQ&Aは100以上あるので参考にしてください。

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