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遺産分割協議書に相続放棄した人は記載するのか?

遺産分割協議書と相続放棄
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相続放棄した人は相続人ではないので、遺産分割協議には参加しません。

したがって、遺産分割協議書に相続放棄した人の署名捺印は不要です。

相続手続きで遺産分割協議書を使用する際は、相続放棄したことを証する書面を別に添付します。

今回の記事では、遺産分割協議と相続放棄について説明しているので、相続手続きの参考にしてください。

目次

1.相続放棄した人以外で遺産分割協議書を作成

相続放棄した人は、初めから相続人ではなかったとみなされます。

したがって、相続放棄した人は遺産分割協議に参加しません。
※参加する資格がありません。

1-1.相続放棄した人の署名捺印は不要

相続放棄した人は相続人ではないので、遺産分割協議書に署名捺印は不要です。

遺産分割協議書は遺産分割協議の結果を記載する書面なので、遺産分割協議に参加していない人は署名捺印できません。

勘違いして相続放棄した人が署名捺印すると、相続人以外の人が遺産分割協議に参加したと判断されます。

遺産分割協議書を相続手続きに使用する予定があるなら、作成し直した方が良いです。

1-2.遺産分割協議書に相続放棄の記載は不要

相続放棄した人がいても、遺産分割協議書の記載は変わりません。

例えば、亡くなった人の相続人がAとBとCの3人で、Cが相続放棄した場合の遺産分割協議書です。

遺産分割協議書

AとBは被相続人の遺産について、本日、遺産分割協議を行い、本書のとおり合意した。

1 Aは下記の財産を取得する。

(省略)

2 Bは下記の財産を取得する。

(省略)

令和○年○月○日

住所 ○○○○○○
氏名 A      印

住所 ○○○○○○
氏名 B      印

相続人はAとBの2人だけなので、遺産分割協議書にCという記載はないです。

また、Cが相続放棄している点についても、遺産分割協議書に記載する必要はありません。

相続放棄は遺産分割協議書ではなく、別の書類で証明します。

2.相続手続きでは遺産分割協議書以外の書類も必要

相続放棄した人がいても、遺産分割協議書に記載しません。

その代わり、相続手続きをする際には、遺産分割協議書以外の書類を添付します。

2-1.相続登記では相続放棄申述受理証明書を添付

遺産分割協議で不動産の取得者を決めた場合、相続登記の申請には相続放棄を証明する書類も添付します。

相続放棄を証明する書類とは、「相続放棄申述受理証明書」のことです。
※法務局によっては受理通知書でも可能。

相続放棄申述受理証明書を添付することで、相続放棄している相続人を証明できます。

  • 戸籍謄本等:法定相続人を証明
  • 相続放棄申述受理証明書:相続放棄を証明
  • 遺産分割協議書:不動産の取得者を証明
    ※印鑑証明書付き

相続放棄した相続人がいると、相続登記の添付書類に違いがあるので気を付けてください。

3.遺産分割協議と相続放棄に関する注意点

相続放棄するなら遺産分割協議に注意

遺産分割協議と相続放棄には注意点が2つあります。

  • 遺産分割協議の中で相続放棄はできない
  • 遺産分割協議に合意すると相続放棄できない

上記の2つは非常に重要なので、相続放棄を検討しているなら必ず確認してください。

3-1.遺産分割協議の中で相続放棄はできない

勘違いしている人も多いのですが、遺産分割協議の中で相続放棄はできません。

相続放棄をするには、家庭裁判所に申述書を提出して受理される必要があります。

では、何と勘違いしているかというと、遺産分割協議で何も取得しないのが相続放棄だと勘違いしています。

以下は、遺産分割協議書の記載例です。

遺産分割協議書

被相続人Aの全財産は長男Bが相続する。

二男Cは全財産を放棄する。

令和○年○月○日

B 

C 

たとえ遺産分割協議書に自分の取得分は0だと記載しても、相続放棄にはなりません。

遺産分割協議の中で決めているのは、相続財産(プラスの財産)の分割方法です。

亡くなった人に負債があれば、法定相続分の割合により請求されるので注意してください。

3-2.遺産分割協議に合意すると相続放棄できない

遺産分割協議に合意した後は、相続放棄することはできません。

なぜなら、遺産分割協議の合意が単純承認とみなされるからです。

単純承認

被相続人の権利義務を全部相続すること

相続人として遺産分割協議に参加して、相続財産の分割という権利を行使しています。

相続放棄を検討しているなら、遺産分割協議に合意するのは止めておきましょう。

4.まとめ

相続人の中に相続放棄した人がいる場合、遺産分割協議は相続放棄した人以外が参加します。

したがって、遺産分割協議書に署名捺印するのも、相続放棄しなかった相続人です。遺産分割協議書に相続放棄した人について記載する必要もありません。

作成した遺産分割協議書を相続手続きで使用する際は、相続放棄申述受理証明書等を一緒に添付します。

遺産分割協議と相続放棄では間違えやすい点もあるので、相続放棄を検討しているなら注意してください。

遺産分割協議と相続放棄に関するQ&A

遺産分割協議書に相続放棄の有無を記載すると無効ですか?

無効にはなりません。

遺産分割協議書に署名捺印すると相続放棄は無理ですか?

原則として無理ですが、例外もあるので専門家に相談してください。

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