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【死後離縁のデメリット】知っておくべき6つの欠点

死後離縁のデメリットは6つ
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死後離縁を検討しているなら、デメリットも知っておいてください。

どんな制度にも欠点があるように、死後離縁にもデメリットは存在します。

  • 家庭裁判所の許可が必要
  • 発生済の相続には影響しない
  • 当事者双方の死亡後は不可
  • 遺族年金の受給権は消滅
  • 養子縁組前の苗字に戻る
  • 死後離縁の撤回は認められない

知らずに養子縁組を解消して、後悔している人もいます。

今回の記事では、死後離縁のデメリットを6つ説明しているので、必ず確認しておいてください。

目次

1.死後離縁には家庭裁判所の許可が必要

死後離縁のデメリットは家庭裁判所の許可

1つ目のデメリットは、死後離縁には家庭裁判所の許可が必要です。

亡くなった人との養子縁組を解消するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

以下は、民法の条文です。

第八百十一条
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法811条6項)

市役所等の窓口に離縁届を提出しても、家庭裁判所の許可を得ていなければ不受理になります。

1-1.死後離縁の理由によっては却下

家庭裁判所に死後離縁の申立てをしても、離縁理由によっては却下されます。

扶養義務や祭祀逃れが理由であれば、許可を得るのは難しいでしょう。

ただし、不純な理由以外であれば、許可は得られるので安心してくだい。

1-2.許可を得た後で市役所等に届出をする

家庭裁判所に死後離縁の許可を得ても、戸籍謄本の記載は変更されません。

家庭裁判所の許可審判が確定したら、市役所等に離縁届を提出してください。離縁届を提出しなければ、養子縁組は解消されません。

養子縁組を解消するのに手間がかかるのは、死後離縁のデメリットです。

2.死後離縁は発生済の相続に影響しない

死後離縁は発生済の相続に影響しない

2つ目のデメリットは、発生済の相続に影響しないです。

死後離縁が認められても、すでに発生している相続には関係ありません。

死後離縁は相続に影響しない

したがって、養親が亡くなって死後離縁をしても、養親の相続人であることに変わりはありません。

2-1.養親の相続を放棄するなら相続放棄が必要

亡くなった養親の相続を放棄するなら、死後離縁ではなく相続放棄の手続きが必要です。

間違って死後離縁の手続きを進めていると、その間に3ヶ月が経過してしまいます。

相続の開始を知ってから3ヶ月が経過すると、相続放棄は認められないので注意してください。

2-2.死後離縁した後に代襲相続に気付くこともある

死後離縁した後に、代襲相続が発生していることに気付くこともあります。

例えば、養親が亡くなった後に養親の親族と疎遠になっていれば、代襲相続が発生していることに気付いていないこともあります。

発生済の相続に死後離縁は影響しないので、代襲相続人であることに変わりはありません。

3.当事者双方が亡くなると死後離縁できない

当事者双方が亡くなると死後離縁できない

3つ目のデメリットは、当事者双方が亡くなると死後離縁できないです。

死後離縁できるのは養子縁組の当事者なので、双方が亡くなっていると離縁できません。

以下は、民法の条文です。

第八百十一条
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法811条6項)

親族が養子縁組を解消したいと思っても、養親・養子双方が亡くなっていれば、死後離縁は利用できないです。

あくまでも、生存当事者が利用できる制度なので、離縁するつもりなら早めに申立てをしましょう。

4.死後離縁により遺族年金の受給権は消滅

死後離縁すると遺族年金の受給権は消滅

4つ目のデメリットは、遺族年金の受給権は消滅するです。

遺族年金の受給要件を満たしていれば、養子であっても受給できます。

ただし、死後離縁すると親子関係が消滅するので、遺族年金の受給権も消滅します。

遺族年金の受給権が発生しているなら、死後離縁はデメリットです。

勘違いして養子縁組を解消しないように、養子の親権者は注意してください。

5.養子縁組の期間によっては苗字が使えない

死後離縁により名字が元に戻る

5つ目のデメリットは、養子縁組の期間によっては苗字が使えないです。

原則として、死後離縁すると元の苗字(養子縁組前の苗字)に戻ります。

以下は、民法の条文です。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条)

例外として、養子縁組より7年以上経過している場合は、今の苗字を使用できます。

したがって、7年経過していなければ、死後離縁により元の苗字に戻ってしまいます。

仕事関係などで苗字を変えたくない場合、死後離縁はデメリットです。

7年経過するまで待てば問題ありませんが、その間に代襲相続が発生する可能性はあります。

6.死後離縁の撤回はできない

6つ目のデメリットは、死後離縁の撤回はできないです。

死後離縁により養子縁組を解消すると、理由に関わらず撤回できません。

例えば、死後離縁した後で養親の親に財産があると気付いても、死後離縁の撤回は認められません。

したがって、死後離縁をした結果、財産を相続する権利を失う可能性はあります。

7.死後離縁のデメリットまとめ

死後離縁のデメリットは6つ

今回の記事では「死後離縁のデメリット」について説明しました。

死後離縁することにより、亡くなった養親(養子)との関係を解消できます。

ただし、死後離縁にもデメリットは存在します。

  • 家庭裁判所の許可が必要
  • 発生済の相続には影響しない
  • 当事者双方の死亡後は不可
  • 遺族年金の受給権は消滅
  • 養子縁組前の苗字に戻る
  • 死後離縁の撤回は認められない

自分に該当するデメリットはないか確認したうえで、死後離縁してください。

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