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死後離縁のデメリットは4つ|欠点も把握して利用しよう

死後離縁のデメリット
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死後離縁を検討しているが、デメリットは無いのか調べていませんか。

どんな制度にも欠点があるように、死後離縁にもデメリットは存在します。

  • 家庭裁判所の許可が必要
  • すでに発生している相続には影響しない
  • 死後離縁の撤回はできない
  • 養子縁組の期間によっては苗字が使えない

今回の記事では、死後離縁のデメリットについて説明しているので、死後離縁を検討しているなら参考にしてください。

1.死後離縁には家庭裁判所の許可が必要

1つ目のデメリットは、死後離縁には家庭裁判所の許可が必要です。

亡くなった人との養子縁組を解消するには、家庭裁判所に申立てをして許可を得る必要があります。

第八百十一条
6 縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法811条6項)

つまり、死後離縁がしたいと思っても、家庭裁判所の許可を得ない限り養子縁組は解消できません。

1-1.申立てをするには手続費用や書類の準備

家庭裁判所に死後離縁の申立てをするには、費用や添付書類の準備も必要です。

  • 収入印紙(800円)
  • 予納郵券(家庭裁判所により違う)
  • 申立書
  • 養親の戸籍謄本
  • 養子の戸籍謄本

書類の作成を専門家に依頼すると、専門家報酬も発生します。

死後離縁をするのに費用が発生するのはデメリットです。

1-2.許可を得た後で市役所等に届出をする

家庭裁判所に死後離縁の許可を得ても、戸籍謄本の記載は変更されません。

家庭裁判所の許可審判が確定したら、市役所等に離縁届を提出しなければなりません。離縁届を提出しなければ、養子縁組は解消されません。

養子縁組を解消するのに手間がかかるのは、死後離縁のデメリットです。

 

2.すでに発生している相続には影響しない

2つ目のデメリットは、すでに発生している相続には影響しないです。

死後離縁が認められても、すでに発生している相続には関係ありません。

死後離縁は相続に影響しない

ですので、養親が亡くなって死後離縁をしても、養親の相続人であることに変わりはありません。

2-1.養親の相続を放棄するなら相続放棄が必要

亡くなった養親の相続を放棄するなら、死後離縁ではなく相続放棄の手続きが必要です。

間違って死後離縁の手続きを進めていると、その間に3ヶ月が経過してしまいます。

相続の開始を知ってから3ヶ月が経過すると、相続放棄は認められなくなります。

2-2.死後離縁をした後に代襲相続に気付くこともある

死後離縁をした後に、代襲相続が発生していることに気付くこともあります。

例えば、養親が亡くなった後に養親の親族と疎遠になっていれば、代襲相続が発生していることに気付いていないこともあります。

すでに発生している相続に死後離縁は影響しないので、代襲相続人であることに変わりはありません。

 

3.死後離縁を撤回することはできない

3つ目のデメリットは、死後離縁を撤回することはできないです。

養子縁組を解消すると、理由に関わらず後から撤回することはできません。

例えば、死後離縁をした後で養親の親に財産があると気付いても、死後離縁を撤回することはできません。

ですので、死後離縁をした結果、財産を相続するチャンスを失う可能性はあります。

 

4.養子縁組の期間によっては苗字が使えない

4つ目のデメリットは、養子縁組の期間によっては苗字が使えないです。

原則として、死後離縁をすると元の苗字に戻ります。

(離縁による復氏等)
第八百十六条 養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
2 縁組の日から七年を経過した後に前項の規定により縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離縁の際に称していた氏を称することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法816条)

例外として、養子縁組より7年以上経過している場合は、今の苗字を使用することができます。

したがって、7年経過していなければ、死後離縁により元の苗字に戻ってしまいます。

仕事関係などで苗字を変えたくない場合は、死後離縁はデメリットになります。

7年経過するまで待てば問題ありませんが、その間に代襲相続が発生する可能性はあります。

 

5.さいごに

死後離縁をすることにより、亡くなった養親または養子との関係を解消することができます。

ただし、死後離縁にもデメリットはあります。

  • 家庭裁判所の許可が必要
  • すでに発生している相続には影響しない
  • 死後離縁の撤回はできない
  • 養子縁組の期間によっては苗字が使えない

上記のデメリットも把握したうえで、死後離縁の手続きをしましょう。