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住民票が職権消除されている!失踪宣告等にも関係する記載

住民票の職権消除
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市区町村長は非居住の事実を確認した場合、職権により住民票を消除できます。

住民票が職権消除されると、国民健康保険等の行政サービスに影響があります。転出届(転居届)は忘れずに提出してください。

行方不明者の住民票が職権消除されているなら、失踪宣告等の添付書類となります。

今回の記事では、住民票の職権消除について説明しているので、疑問を解消する参考にしてください。

1.住所を変更せずに放置すると職権消除

住民票は職権抹消できる

住所を変更せずに放置しておくと、職権消除により住民票が除かれます。

1-1.市町村長は居住の事実を調査できる

市町村長は住民票の記載事項(住所等)について、必要があると認めるときは調査できます。

以下は、住民基本台帳法の条文です。

(調査)
第三十四条 市町村長は、定期に、第七条及び第三十条の四十五の規定により記載をすべきものとされる事項について調査をするものとする。
2 市町村長は、前項に定める場合のほか、必要があると認めるときは、いつでも第七条及び第三十条の四十五の規定により記載をすべきものとされる事項について調査をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(住民基本台帳法34条)

市町村長が住所について調査するケースとしては、以下があります。

  • 市役所等からの郵送物が届かない
  • 居住者からの申し出がある

市役所等が書類(税金や保険料等)を郵送しても、受け取られず返却されると、居住の事実を調査します。

また、居住者からの申し出があった場合も、居住の事実を調査します。

居住者からの申し出については、【3.不在者の住民票を職権消除してもらう】で説明しています。

1-2.非居住の事実を確認後に職権消除

市町村長の調査により、非居住(住んでいない)の事実を確認したら、職権で住民票を抹消します。

以下は、法務省令の条文です。

(職権による住民票の記載等)
第十二条 市町村長は、法第四章又は第四章の三の規定による届出に基づき住民票の記載等をすべき場合において、当該届出がないことを知つたときは、当該記載等をすべき事実を確認して、職権で、第七条から第十条までの規定による住民票の記載等をしなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(住民基本台帳法施行令12条1項)

住民票上の住所に住んでいないなら、記載と一致しないので住民票は抹消されます。

住民票が職権消除されないように、住所を変更した場合は、転出届(転居届)を出しておきましょう。
※法律上の義務があります。

 

2.職権消除された住民票が添付書類になる

職権消除された住民票が添付書類

生死不明者(行方不明者)の住民票が職権消除されている場合、以下の申し立てをする際の添付書類となります。

それぞれ説明していきます。

2-1.職権消除された住民票は失踪宣告で使用

生死不明者の住民票が職権消除されている場合、失踪宣告の申立てをする際の添付書類となります。

なぜなら、失踪宣告の申立てには「失踪を証する資料」を添付する必要があるからです。

「失踪」=「住所が存在しない」

職権消除されている住民票(除票)は、失踪を証する資料となります。

また、市役所等が所在不明であることを確認しているので、申立人が改めて所在を調べる手間が省けます。

失踪宣告の申立てを検討しているなら、まずは生死不明者の住民票を確認してください。

2-2.職権消除された住民票は不在の事実を証する資料

不在者(行方不明者)の住民票が職権消除されている場合、不在者財産管理人の申立てをする際の添付書類となります。

なぜなら、不在者財産管理人の申立てには「不在の事実を証する資料」を添付する必要があるからです。

「不在の事実」=「住所が存在しない」

職権消除されている住民票(除票)は、不在の事実を証する資料となります。

また、市役所等が不在であることを確認しているので、申立人が改めて所在を調べる手間が省けます。

不在者財産管理人の申立てを検討しているなら、まずは不在者の住民票を確認してください。

 

3.不在者の住民票を職権消除してもらう

住んでいない人の住民票が残っている

住民票の住所に住んでいなくても、職権消除されているとは限りません。そのまま住民票が残っているケースも多いです。

不在者の住民票が残っている場合は、その住所に住んでいる人から市役所等に申し出が可能です。市町村長が不在住の事実を確認すると、住民票が職権消除されます。

3-1.引越先の住所に他人の住民票が残っている

私自身の体験になりますが、引越先の住所に他人の住民票が残っており、役所の窓口で「同居ですか?」と尋ねられたことがあります。

一人暮らしであると説明しましたが、言葉だけでは納得してもらえず、賃貸借契約書を見せて納得してもらいました。

もし他人の住民票が残っているなら、市役所等に申し出をしておきましょう。

3-2.別居している家族は申し出ができない

行方不明者の住民票が残っていても、他の場所に住んでいる家族は申し出ができません。

実際、行方不明者の住民票が残っていたので、役所に相談しましたが、家族であっても無理という返答でした。

新しく住んでいる人から申し出があれば、市役所等も調べることが可能だそうです。

 

4.職権消除された住民票を回復させる

住民票が職権消除されると、住民票が存在しない状態となります。

住民票が存在しないと、国民健康保険や国民年金等の行政サービスに影響が出ます。

なぜなら、役所からの郵送物は住民票の住所に発送されるので、住民票が存在しなければ郵送物も発送されないからです。

転出届(転居届)を出さない間に住民票を職権消除された場合は、役所の窓口で事情を説明して住民票を回復しましょう。

 

5.住民票の職権消除は戸籍の附票にも記載

住民票が職権消除されると、戸籍の附票にも職権消除が記載されます。
※戸籍の附票にも住所が記載されている。

以下は、住民基本台帳法の条文です。

(戸籍の附票の記載の修正等のための市町村長間の通知)
第十九条 住所地の市町村長は、住民票の記載等をした場合に、本籍地において戸籍の附票の記載の修正をすべきときは、遅滞なく、当該修正をすべき事項を本籍地の市町村長に通知しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(住民基本台帳法19条1項)

住所地の市町村長から通知を受けた場合、本籍地の市町村長は職権で戸籍の附票を修正します。

戸籍の附票でも住所が抹消されている事実は確認できます。

ですので、失踪宣告や不在者財産管理人の申立てに添付する書類は、戸籍の附票でも大丈夫です。

 

6.まとめ

今回の記事では「住民票の職権消除」について説明しました。

市町村長は非居住の事実を確認すると、職権で住民票を抹消できます。

役所が非居住の事実を確認しているので、職権抹消された住民票は、失踪宣告や不在者財産管理人の申立てに使用します。

自分が転出届(転居届)を出さない間に、住民票が職権消除された場合は、窓口で事情を説明して回復しましょう。