遺言執行者を指定するメリットはあるのか?

遺言書で遺言執行者を指定しておくと、どのようなメリットがあるのかご存知でしょうか。

主なメリットとしては、以下の5つが考えられます。

  • 相続人の手間を省く
  • 遺言執行者が遺贈義務者
  • 遺言執行者の選任手続きを省略
  • 信頼する人を遺言執行者にできる
  • 遺言執行者の報酬を抑える

遺言書の内容によっては、相続人や受遺者にとってもメリットとなります。

ただし、遺言書で指定しても、必ず就任するわけではありません。

今回の記事では、遺言書で指定するメリットについて説明しているので、遺言書を書く際の参考にしてください。

1.相続人の手間を省くことができる

遺言執行者を指定するメリット1つ目は、相続人の手間を省くことができるです。

遺言執行者を指定しておけば、相続人の代わりに相続手続きをすることも可能となります。

1-1.高齢の相続人がいても大丈夫

相続人の中に高齢の人がいると、相続手続きをするのが体力的に難しい場合もあります。相続手続きをする場所が遠方にあると、行くだけでも厳しいかも知れません。

もちろん、郵送やネットで手続きが完了する場合もありますが、窓口に行かなければ手続きができない場合もあります。

遺言執行者が選任されていれば、高齢の相続人に代わり相続手続をすることが可能です。

1-2.遠方に住んでいると距離的に難しい

亡くなった人と相続人の住んでいる場所が離れていると、相続手続きをするのが距離的に難しい場合もあります。

例えば、亡くなった人が北海道に住んでいて、相続人が福岡に住んでいれば、相続手続きのためだけに何度も往復するのは現実的ではありません。

相続財産の近くに住んでいる人を遺言執行者にしておけば、相続人が遠距離を何度も往復する手間が省けます。

 

2.遺言執行者が遺贈義務者になる

遺言執行者を指定するメリット2つ目は、遺言執行者が遺贈義務者となるです。

遺言書に遺贈を記載した場合、遺贈を実行する人は相続人全員になります。

ただし、遺言執行者が存在する場合、遺贈を実行できるのは遺言執行者のみとなります。

(遺言執行者の権利義務)
第千十二条 (省略)
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法1012条2項)

2-1.相続人が遺贈に協力しない可能性がある

遺言執行者が存在しない場合、遺贈を実行するには相続人全員の協力が必要です。

ですが、遺贈に対して否定的な相続人がいると、遺贈の実行に協力しない可能性があります。

例えば、金銭の一部をお世話になった人に遺贈しても、相続財産が減ることに相続人が納得していなければ、積極的に協力するとは限りません。

遺言執行者を指定しておけば、遺贈をスムーズに実行できるメリットがあります。

2-2.受遺者を遺言執行者にすることもできる

遺言書で受遺者を遺言執行者に指定することもできます。

つまり、受遺者自身が遺言執行者として、自分への遺贈を実行することができます。

例えば、不動産を遺贈するのであれば、登記義務者(遺言執行者)と登記権利者(受遺者)を1人で兼ねることが可能です。

登記義務者と登記権利者を兼ねる

受遺者が遺言執行者であれば、確実に遺贈の登記を申請することができます。

ただし、未成年者と破産者は遺言執行者になれないので、指定する際はご注意ください。

 

3.遺言執行者の選任手続きを省略できる

遺言執行者を指定するメリット3つ目は、遺言執行者の選任手続きを省略できるです。

遺言書の内容によっては、遺言執行者でなければ実行できないことがあります。

  • 子どもの認知
  • 推定相続人の廃除
  • 一般社団法人の設立

上記は、遺言執行者でなければ実行できません。

遺言執行者のみが可能

遺言書で遺言執行者が指定されていなければ、遺言執行者の選任申立てが必要です。家庭裁判所に選任申立てをするには、書類等を準備する手間や手続費用も発生します。

最初から遺言書で遺言執行者を指定しておけば、選任手続きを省略できるメリットがあります。

遺言書の内容によっては、遺言書で遺言執行者を指定しておきましょう。

 

4.自分が信頼する人を遺言執行者にできる

遺言執行者を指定するメリット4つ目は、自分が信頼する人を遺言執行者にできるです。

遺言書で遺言執行者を指定しておけば、遺言書の効力発生後に就任承諾をするだけで遺言執行者になれます。就任するのに相続人等の同意も不要です。

一方、遺言執行者を指定していない場合、相続人や受遺者が遺言執行者の選任申立てをします。候補者を推薦することはできますが、相続人や受遺者が誰を推薦するか決めます。

つまり、遺言書なら自分で遺言執行者を決めれますが、遺言書で決めていなければ相続人等が決めることになります。

遺言執行者になってほしい人がいるなら、遺言執行者を指定しておくメリットがあります。

 

5.遺言執行者の報酬を抑えることも可能

遺言執行者を指定するメリット5つ目は、遺言執行者の報酬を抑えることも可能です。

親族を遺言執行者に指定しておけば、遺言執行者の報酬を無料にすることもできます。

それに対して、遺言執行者の選任申立てをして、専門家が遺言執行者に就任すると、間違いなく報酬を請求されます。家庭裁判所が専門家の報酬を決定しますが、数十万円は請求されるので安くはないです。

遺言執行者の報酬を抑えたい場合は、親族を遺言執行者に指定しておくメリットがあります。

 

6.遺言執行者が就任するとは限らない

遺言書で遺言執行者を指定するメリットは複数あります。

ですが、以下のケースには注意が必要です。

  • 指定しても辞退する可能性
  • 指定しても死亡する可能性

遺言書で遺言執行者を指定したからといって、遺言執行者が就任するとは限りません。

なぜなら、遺言書で指定された人は、就任を辞退する権利を持っているからです。就任を辞退されれば、遺言執行者は存在しないことになります。

また、遺言書で指定していた人が、あなたより早く亡くなることもあります。できる限り若い人を指定するか、法人を指定するぐらいしか対応策がありません。

 

7.さいごに

遺言書で遺言執行者を指定する主なメリットは3つあります。

  • 相続人の手間を省くことができる
  • 遺言執行者が遺贈義務者となる
  • 遺言執行者の選任手続きを省略できる

遺言執行者がいれば代わりに相続手続もできるので、相続人の手間を省くことができます。

遺言書で遺贈している場合は、遺言執行者がいれば遺贈義務者となります。

また、遺言執行者の選任手続きを省略できるので、遺言書の内容によっては指定しておくメリットがあります。

ただし、遺言書で指定しても、就任するとは限らないので注意が必要です。

以下のようなケースでは、遺言執行者の選任申立も可能です。

  • 遺言執行者が死亡した
  • 遺言執行者に就任を断られた
  • 相続人が遺贈に協力しない
  • 相続人同士で連携が取れない

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