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付言事項を遺言書に記載することもできる

付言事項
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遺言書には法律で定められている遺言事項以外に、付言事項を記載することも可能です。

付言事項の内容は決まっていないので、遺言者が自由に考えて記載できます。

ただし、付言事項に法的な拘束力はないので、相続人が考慮するかは別問題です。

今回の記事では、遺言書の付言事項について説明しているので、遺言書を書く際の参考にしてください。

1.付言事項に法的効力はない

遺言書に記載する事項は、2つに分けることができます。

  • 遺言事項
  • 付言事項

遺言事項とは遺言書に記載することで、法的な効力が発生する事項のことです。

例えば、相続割合の指定や遺贈、遺言執行者の指定や遺言認知などがあります。

それに対して、付言事項は遺言書に記載しても、法的な効力は発生しません。法的な効力は発生しないので、遺言書に記載しなくても問題ありません。

ただし、遺言書の内容によっては、付言事項を書いておくと役立つこともあります。

遺言書の記載事項

 

2.付言事項の内容は決まっていない

遺言書に記載する付言事項の内容は、特に決まっていません。

あくまでも、遺言事項とは別に記載するので、何を記載するかは遺言者の自由です。

  • 葬儀に関する希望
  • 財産分配の理由
  • 遺留分侵害額請求の抑止力

上記のような内容を記載することが多いです。

2-1.財産分配の理由を相続人に説明

相続人等が財産分配の理由を知っている場合は別ですが、付言事項で理由を説明することもあります。

なぜなら、相続割合が減っている(貰えない)相続人からすると、理由が分からず遺言書を疑うことに繋がるからです。

例えば、亡くなった人が全財産を第3者に遺贈していると、理由を知らない相続人は遺言書が本物かどうか弁護士に相談することもあります。

特定の人に財産を譲る場合などは、付言事項で理由を説明することも検討しましょう。

2-2.遺留分侵害額請求の抑止力

どうしても財産を残してあげたい人がいるなら、遺留分を侵害する遺言書を作成することもあります。

付言事項で相続人(遺留分権利者)に、遺留分侵害額請求を行使しないようにお願いします。

付言事項でお願い

遺留分侵害額請求を行使するかどうかは、本人(遺留分権利者)の気持ち次第です。

したがって、付言事項を書いておくことで、遺留分侵害額請求権行使の抑止力にはなります。
*相続人によっては気にせず行使します。

 

3.付言事項の注意点は3つ

付言事項には注意点もあるので、遺言書を書く前に確認しておいてください。

  • 葬儀に関することは先に伝えておく
  • 付言事項と分かるように記載する
  • 非難する文言は使わない

3-1.葬儀に関することは先に伝えておく

遺言書に葬儀に関する希望を、付言事項として記載することもあります。

例えば、葬儀は身内だけで質素に行ってほしいや、連絡してほしい知人がいる等です。

ですが、上記のような希望を叶えるには、葬儀を行う前に遺言書を読む必要があります。遺言書の内容を相続人等が知らなければ、遺言書を読む前に葬儀を終わらせている可能性があります。

付言事項に葬儀の希望

遺言書に葬儀に関する希望を書くなら、前もって相続人等に伝えておきましょう。

3-2.付言事項と分かるように記載する

付言事項を記載する場合は、遺言事項と区別して記載しましょう。

一般的には、文末に「付言」と記載して、付言事項を書くことが多いです。

遺言書

・・・・・・

・・・・・・

(付言)

付言事項を記載する。

付言事項を遺言事項と同じ場所に記載すると、遺言事項なのか付言事項なのか分かりにくいです。

公正証書遺言にする場合は公証人が指摘してくれますが、自筆証書遺言にする場合は気を付けてください。

3-3.非難する文言は控える

付言事項を記載するなら、非難する文言は使わないようにしましょう。

例えば、相続人が長男と次男で、分配割合を長男が3分の2で次男が3分の1。長男の割合を多くしている理由が、長男夫婦が同居して親の介護をしていたからとします。

非難する文言というのは、「親の介護をしなかったから、次男の分配割合を少なくしている」といった表現のことです。

遺言書を見た次男の不満が長男に向く恐れがあるので、非難する文言(マイナスの表現)は記載しないようにしましょう。

 

4.さいごに

遺言書には法律で定められている事項以外のことも、付言事項として記載することができます。

  • 葬儀に関する希望
  • 財産分配の理由
  • 遺留分侵害額請求の不行使

上記のような内容を記載することが多いです。

ただし、付言事項に法的な拘束力は無いので、まったく気にしない相続人もいます。

また、付言事項で相続人を非難する文言の使用は控えた方がいいです。内容によっては相続人同士の仲が悪くなります。

遺言書に付言事項を記載する場合は、内容や文言に気を付けてください。