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遺言書で認知できるの?最後まで存在を隠すことは可能

遺言書で認知
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子どもを認知してあげたいが、生前に認知すると揉め事が発生すると悩んでいる人もいます。

死後に認知の効力を発生させるなら、遺言書で認知することも可能です。遺言書で認知しても認知の効力に違いはないので、子どもは法定相続人になります。

ただし、遺言認知には注意点もあるので、安易に利用するのはお勧めできません。注意点を理解したうえで、遺言書で認知するか決めてください。

今回の記事では、遺言書での認知について説明しているので、認知で悩まれているなら参考にしてください。

1.遺言認知は法律で認められている

遺言書で認知することを“遺言認知“と言います。

遺言認知は任意認知の一種で、父親が自らの意思で認知の意思表示をします。

認知を遺言書ですることは、民法により認められています。

(認知の方式)
第七百八十一条 (省略)
2 認知は、遺言によっても、することができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法781条2項)

認知を遺言書でしているだけで、認知の効力は通常の認知と変わりません。

  • 法定相続分の変更
  • 法定相続人の変更

認知により法定相続分や法定相続人が変更になるので、あらかじめ計算しておく必要があります。

 

2.遺言書に認知を記載する【具体例】

遺言書に認知を記載するなら、具体的には以下のようになります。

遺言書

第〇条 遺言者は、本籍〇〇・氏名(平成〇〇年〇月〇日生)を認知する。

誰を認知するのかが分かれば大丈夫です。

ちなみに、遺言書で胎児を認知することも可能です。

遺言書

第〇条 遺言者は、本籍〇〇・氏名(平成〇〇年〇月〇日生)の胎内に在る子を認知する。

遺言書で胎児認知をする場合でも、母親の承諾は必要になります。
※認知届の提出時までに承諾を得れば大丈夫です。

遺言書に認知を記載する前提として、個人を特定する情報が必要になるので、あらかじめ調べておく必要があります。

 

3.遺言書で認知するなら注意点もある

遺言書で認知する場合、効力が発生するのは自分の死後になります。

そのため、生前に注意点を確認しておく必要があります。

遺言認知の注意点

3-1.遺言認知でも子どもの承諾は必要

遺言認知の注意点1つ目は、遺言認知でも子どもの承諾は必要です。

勘違いしやすいのですが、遺言書に認知を記載した場合でも、子どもが成人していれば本人の承諾が必要です。
※認知届の提出時までに承諾を得れば大丈夫です。

したがって、遺言書に認知を記載しても、子どもに認知を断られる可能性は有ります。

3-2.認知した子どもに相続させる財産

遺言認知の注意点2つ目は、認知した子どもに相続させる財産です。

遺言書で子どもを認知する場合、認知した子どもに相続させる財産も記載しておいてください。

なぜなら、相続させる財産を記載しておかなければ、相続人全員(認知した子ども含む)で遺産分割協議が必要になるからです。

せっかく遺言書で認知しても、遺産分割協議で揉めると意味がありません。遺産分割協議を発生させないためにも、財産の分割について記載しておいてください。

3-3.遺言書が無効になると認知も無効

遺言認知の注意点3つ目は、遺言書が無効になると認知も無効です。

大前提として、遺言書が有効でなければ、遺言認知の効力は発生しません。

遺言認知の効力が発生しないケースは、2つ考えられます。

  • 遺言書の成立が無効
  • 遺言書が見つからない

遺言書の成立が否定される

遺言書の成立を巡って争うのは珍しくありません。

例えば、「本人の意思ではなく強制されて遺言書を書かされた」や「遺言書を書いた時期には認知症で判断能力が無かった」等が、遺言書の成立を巡って争われます。

裁判で遺言書が無効になると認知も無効になります。

遺言書の成立で争うことを防ぐなら、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言で作成することをお勧めします。
※公正証書遺言でも争うことはあります。

遺言書が見つからない

自筆証書遺言に認知を記載した場合、遺言書が見つからないというリスクがあります。

たとえ遺言認知のことを伝えていても、遺言書が無ければ遺言認知にはなりません。

公正証書遺言であれば原本は公証役場で保管されるので、見つからないというリスクは防げます。

3-4.認知届を提出するのは遺言執行者

遺言認知の注意点4つ目は、認知届を提出するのは遺言執行者です。

遺言認知により認知届を提出するのは、法律により遺言執行者と決まっています。

第六十四条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従つて、その届出をしなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法64条)

そのため、遺言書で遺言執行者を指定していない場合、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てが必要になります。

余計な手間が発生するので、遺言認知をするなら遺言執行者を指定しておきましょう。

 

4.さいごに

どうしても生前に認知することができなければ、遺言書での認知も可能です。

認知により子どもは相続人になるので、法定相続分を主張することができます。

ただし、遺言書で認知する場合は、遺言書が無効にならないように気をつけてください。遺言書が無効になると認知も無効になります。

また、遺言認知により認知届を提出できるのは遺言執行者だけなので、遺言書で指定しておくことをお勧めします。