亡くなった人の財産が不明でも、相続放棄することはできます。
相続財産を知っているかどうかと、相続放棄が認められるかは無関係だからです。
相続放棄の理由が財産以外であるなら、財産を調べる必要もありません。
ただし、後から財産が見つかっても、相続放棄は撤回できないので気を付けてください。
今回の記事では、相続放棄と財産不明について説明しているので、相続放棄の参考にしてください。
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1.財産が不明でも相続放棄する人は多い
亡くなった人の財産が不明でも、相続放棄している人は多いです。
財産が不明でも相続放棄している理由としては、主に2つ考えられます。
- 相続財産の有無に関係なく相続放棄
- 生活状況からプラスの財産が無いと判断
1-1.相続財産の有無に関係なく相続放棄
相続財産の有無に関係なく相続放棄する人は、財産が不明であっても調べる必要がありません。
なぜなら、相続財産が不明であっても、相続放棄は認められるからです。
実際、当事務所にも「財産額は不明ですが相続放棄したい」という依頼があります。全員無事に相続放棄は認められています。
相続放棄の理由が財産以外であれば、財産が不明でも相続放棄しています。
関連記事を読む『相続放棄に財産調査は必須ではない|判断に不要なら調べなくてよい』
1-2.生活状況からプラスの財産が無いと判断
相続財産を調べずに不明のまま相続放棄する人もいます。
なぜかというと、亡くなった人の生活状況から、プラスの財産は無いと判断しているからです。
プラスの財産が無いのであれば、後はマイナスの財産があるかどうかです。
ですが、マイナスの財産を完璧に調べることは事実上不可能なので、財産を調べても本当に無いのか分かりません。
※個人間の借金や連帯保証は調べるのが難しい。
財産を調べても分からないので、初めから調べずに不明のまま相続放棄しています。
関連記事を読む『相続放棄と生活保護の関係|借金以外の返還義務や退去費用にも注意』
2.申述書の相続財産の概略には不明と記載
相続放棄の申述書には、相続財産の概略を記載する欄があります。
専門家に依頼する際は、申述書は専門家が作成するので気にする必要はありません。
ですが、ご自身で手続きをされる場合、申述書も自分で作成します。
以下は、財産が不明な場合の記載例になります。
相続財産の概略欄に「財産は不明」と記載するだけで大丈夫です。
※負債も不明なら「不明」と記載しています。
あくまでも知っている財産を記載するだけなので、知らなければ不明と記載しておきましょう。
3.相続放棄の回答書で財産が不明な理由を説明
相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出すると、照会書(回答書)が届きます。
※省略されることもあります。
照会書の内容は家庭裁判所により違うのですが、財産が不明な理由を聞いてくる家庭裁判所も存在します。
照会書で不明な理由を聞かれた場合、正直に記載して問題ありません。
例えば、以下のような理由が考えられます。
- 被相続人と絶縁状態なので知らない
- 被相続人と生前に交流がないので知らない
上記以外の理由であっても、相続放棄には影響しません。
ただし、不明の財産が後から見つかっても、相続放棄は撤回できないので注意してください。
関連記事を読む『相続放棄の照会書(回答書)を記入する際のポイントは3つ』
4.専門家に相続放棄を依頼するなら財産調査に注意
相続放棄を専門家に依頼するなら、財産調査に注意してください。
なぜかというと、専門家によっては、財産調査も相続放棄の料金に含んでいるからです。
財産額に関係なく相続放棄する人にとっては、亡くなった人の財産調査は不要なので、財産調査の分は料金から除外してもらいましょう。
また、すでに判明している負債額で相続放棄を決めているのに、負債の総額を調査する事務所もあるので注意してください。
5.不明の財産が見つかっても相続放棄は撤回できない
相続放棄は財産が不明でも認められますが、後から撤回することはできません。
たとえ不明だった財産が後から見つかっても、相続放棄の撤回は認められません。
ですので、亡くなった人の財産が不明なら、以下の方法も検討してみてください。
- 相続放棄の期間延長をして財産を探す
- 相続放棄ではなく限定承認をする
簡単に説明していきます。
5-1.相続放棄の期間延長をして不明の財産を探す
相続放棄は3か月以内という期間制限があるので、3カ月経過すると相続放棄できなくなります。
ですが、亡くなった人と疎遠であったり、亡くなった人が離れた場所で暮らしていると、財産を探すのに時間がかかります。
財産を探すのに時間がかかる場合は、相続放棄の期間延長の申立てをしてください。
相続放棄の期間延長が認められると、延長期間の間も財産を探すことができます。
ただし、相続放棄の期間延長の申立ても3か月以内なので、財産を探すのに時間がかかるなら早めに申立てをしてください。
関連記事を読む『相続放棄の期間延長|財産を調査する時間は延ばせる』
5-2.限定承認をすれば不明の財産も相続できる
不明の財産が見つかる可能性によっては、限定承認を選ぶメリットがあります。
なぜなら、限定承認はプラスの財産を限度にマイナスの財産を負担する相続なので、結果としてプラスの財産が多ければ得になるからです。
ただし、限定承認の手続きは手間と費用がかかるので、デメリットについても知っておいてください。
不明の財産が見つかる可能性と限定承認の費用を比較検討することが重要です。
関連記事を読む『限定承認の費用を4つに分類|財産の内容により金額が違う』
6.さいごに
相続財産が不明でも相続放棄はできます。
相続財産を知っているかどうかと、相続放棄が認められるかは無関係です。
相続放棄の理由が財産以外であれば、調べる必要もないので問題ありません。
相続放棄の申述書にも「財産は不明」と記載して大丈夫です。
ただし、後から不明だった財産が見つかっても、相続放棄を撤回することはできません。見つかる可能性があるなら、期間延長や限定承認も検討してください。
相続放棄と財産不明に関するQ&A
- 申述書に負債額を不明と書いても大丈夫ですか?
-
相続放棄が認められると相続人ではないので、負債額は関係ありません。
- 負債があるのは間違いないが、詳しい金額が分かりません。
-
「詳しい金額は不明」と書いて大丈夫です。