亡くなった人が国民年金の第1号被保険者だった場合、納付要件を満たしていると遺族は死亡一時金を受給できます。
ただし、死亡一時金を受給する権利にも時効があり、請求せずに放置していると時効により消滅します。
時効期間は死亡日の翌日からスタートするので、後回しにせず請求してください。
今回の記事では、死亡一時金の時効について説明しているので、1号被保険者が亡くなった場合は参考にしてください。
目次
1.死亡一時金を受給する権利にも時効がある
死亡一時金を受給する権利があっても、請求せずに放置しておくと時効により消滅します。
- 消滅時効
- 一定期間を経過すると権利が消滅すること
以下は、国民年金法の条文です。
死亡一時金の消滅時効を知るうえで重要なのは、「時効の起算日」と「時効期間」の2つです。
1-1.死亡日の翌日が死亡一時金の時効起算日
消滅時効は権利を行使できるときから、期間の計算が始まります。
死亡一時金の受給権を行使できるのは、被保険者が死亡してからです。
ただし、民法の規定により初日は期間の計算に含めないので、死亡日の翌日が消滅時効の起算日(スタート日)となります。
例えば、令和5年6月3日に死亡した場合、翌日の令和5年6月4日が消滅時効の起算日です。
消滅時効の起算日が確認できたら、次は時効期間を確認します。
1-2.死亡一時金の受給権は2年経過すると消滅
死亡一時金の受給権は、時効起算日から2年経過すると時効により消滅します。
2年経過してから死亡一時金を請求しても、時効により消滅しているので支給されません。
死亡一時金の時効期間は短いので、受給要件を満たしているなら直ぐに請求してください。
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2.死亡一時金と遺族年金では時効期間が違う
死亡一時金と遺族年金は、どちらも遺族に対する給付です。
ただし、消滅時効の期間は、死亡一時金と遺族年金で違います。
死亡一時金の時効期間は2年ですが、遺族年金の時効期間は5年です。
死亡一時金よりも遺族年金の時効期間は長いので、勘違いして諦めないように注意してください。
例えば、死亡から3年経過していれば、死亡一時金は時効により消滅しています。
それに対して、遺族年金は3年経過していても、請求すれば受給できます。
死亡一時金と遺族年金では時効期間が違うので、しっかりと確認しておいてください。
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3.失踪宣告による死亡一時金は時効の起算日が違う
失踪宣告により死亡とみなされた場合でも、納付要件を満たしていれば死亡一時金は受給できます。
ただし、通常の死亡と同じように、失踪宣告による死亡にも消滅時効の規定は適用されます。
3-1.死亡とみなされる日は死亡一時金の時効と無関係
失踪宣告により死亡とみなされると、戸籍には「死亡とみなされる日」が記載されます。
ですが、失踪宣告により死亡一時金の受給権が発生する場合、死亡とみなされる日は消滅時効と無関係です。
死亡とみなされる日が何年前であっても、死亡一時金とは無関係なので安心してください。
ただし、遺族年金の消滅時効については、死亡とみなされる日が関係するので注意してください。
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3-2.死亡一時金は審判確定日の翌日から2年以内に請求
死亡一時金が請求できるのは、失踪宣告の審判確定日の翌日から2年以内です。
以下は、日本年金機構ウェブサイトの記載。
たとえ死亡とみなされる日が何年前であっても、審判確定日の翌日から2年以内なら請求できます。
生計同一者の失踪宣告が認められたら、死亡一時金が受給できるか必ず確認しておきましょう。
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4.まとめ
今回の記事では「死亡一時金の時効」について説明しました。
死亡一時金の受給権にも、時効期間が定められています。
死亡日の翌日から2年経過するまでに、死亡一時金を請求しなければ、時効により消滅します。
ただし、失踪宣告による死亡一時金は、通常の死亡と違い審判確定日の翌日から2年以内です。
死亡一時金の消滅時効は、遺族年金の消滅時効(5年)よりも短いので、後回しにせず請求しましょう。