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遺贈と相続は何が違うのか?4つのポイントで比較説明

遺贈と相続の違い
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遺贈と相続では何が違うのかご存知でしょうか。

亡くなった人の財産を取得するという点では同じですが、遺贈と相続では違う点も多いです。

  • 取得者の決め方
  • 負債の承継
  • 放棄の方法
  • 不動産登記

遺贈と相続との違いについて知っておかなければ、遺贈の受遺者に迷惑をかける可能性もあります。

今回の記事では、遺贈と相続との違いについて説明しているので、遺贈を検討しているなら参考にしてください。

1.遺贈と相続は財産取得者の決め方に違い

遺贈と相続の違い1つ目は、相続財産の取得者を決める方法です。

遺贈の相手は自由に選べますが、相続の相手は法律で決まっています。

1-1.遺贈の受遺者は自由に選ぶことができる

誰を遺贈の受遺者にするかは、遺言者(あなた)が自由に決めることができます。

相続人以外の親族や友人でも大丈夫ですし、法定相続人に遺贈することも可能です。

ただし、正しい遺言書を作成することが条件になります。

単なる意思表示では遺贈になりませんし、遺言書を作成しても無効になると遺贈も無効です。

遺贈するには遺言書の成立が絶対条件になります。

1-2.相続は法律により定められている

誰が相続するかは法律により定められているので、あなたの意思とは無関係です。

相続人は配偶者と血族相続人の組み合わせで決まります。

  • 第1順位は子ども
  • 第2順位は直系尊属
  • 第3順位は兄弟姉妹

配偶者と相続順位の高い人が相続人となります。

たとえ相続人と絶縁状態であっても、法律にしたがって相続人となります。

 

2.遺贈と相続は債務の承継に違い

遺贈と相続の違い2つ目は、債務の承継です。

特定遺贈は特定の財産を遺贈しているので、亡くなった人の債務は引き継ぎません。

一方、相続人は亡くなった人の権利義務をすべて引き継ぐので、債務も承継することになります。

2-1.特定遺贈と包括遺贈で債務の承継に違い

遺贈の受遺者が債務を承継するかどうかは、特定遺贈と包括遺贈で違いがあります。

特定遺贈なら債務は承継しない

遺贈が特定遺贈なら、受遺者は債務を承継しません。

なぜなら、特定の財産を遺贈しているだけなので、債務の承継とは無関係だからです。

ただし、債権者を害する目的で特定遺贈を利用すると、詐害行為に該当する可能性があるので気を付けてください。

包括遺贈なら債務を承継する

包括遺贈の受遺者は相続人と同一の権利義務を有するので、亡くなった人の債務も受遺者が承継します。

例えば、包括遺贈により全財産を遺贈されているなら、亡くなった人の債務も全部承継します。

包括遺贈の受遺者になっているなら、亡くなった人の債務にも注意してください。

2-2.相続では債務(借金)も承継する

亡くなった人の相続人は、プラスの財産(預貯金や不動産)だけでなく、マイナスの財産(借金等)も引き継ぎます。

そして、マイナスの財産に関しては、遺産分割協議で債務の承継者を決めても、債権者に対抗することができません。

債権者は法定相続分の割合で、相続人に債務を請求することができます。

例えば、子どもが2人で負債が1,000万円なら、債権者は遺産分割協議の結果に関わらず500万円ずつ請求できます。

マイナスの財産に関しては、法定相続分で相続する点に注意してください。

 

3.遺贈と相続は放棄の方法に違い

遺贈と相続の違い3つ目は、放棄の方法です。

遺贈は遺言者の一方的な意思表示ですし、相続は法律により決められています。

そのため、遺贈の受遺者や相続人は、財産の取得を放棄することが認められています。

3-1.遺贈の放棄は特定遺贈と包括遺贈で違う

遺贈の放棄は特定遺贈と包括遺贈で、放棄の方法が違います。

特定遺贈の放棄は意思表示で成立

特定遺贈の放棄は意思表示で成立します。

ただし、証拠を残す意味でも、書面で意思表示した方が安全です。

意思表示の相手方は、遺言執行者または相続人になります。

包括遺贈の放棄は家庭裁判所の手続き

包括遺贈を放棄するには、家庭裁判所で手続きをする必要があります。

また、包括遺贈を知った日から3か月以内という期間制限もあるので、後回しにしていると放棄できなくなります。

遺言書の記載が包括遺贈なら、放棄の手続きには注意してください。

3-2.相続放棄は3か月以内に家庭裁判所の手続き

相続人が相続放棄するには、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。

たとえ相続する意思が無かったとしても、相続放棄しなければ相続人となります。

相続放棄した相続人は、初めから相続人ではなかったとみなされます。

そのため、先順位の相続人が全員相続放棄すると、後順位の相続人に相続が移ります。

 

4.遺贈と相続は不動産登記に違い

遺贈と相続の違い4つ目は、不動産登記です。

相続財産に不動産があるなら、不動産登記についても知っておいてください。

4-1.遺贈による不動産登記は共同申請

遺贈による不動産の所有権移転登記は、権利者(遺贈の受遺者)と義務者の共同申請となります。

所有権移転登記の義務者は、遺言執行者または相続人全員です。

遺言執行者がいれば登記義務者になりますが、いなければ相続人全員が登記義務者になります。

不動産を遺贈するなら、遺言書で遺言執行者を指定しておきましょう。

4-2.相続による不動産登記は単独申請

相続による不動産の所有権移転登記は、相続人からの単独申請となります。

遺言書や遺産分割協議により不動産を取得した相続人は、単独で不動産の名義を変更することができます。

不動産を相続させる人を決めているなら、遺言書で不動産の取得者を決めておく方が便利です。

 

5.さいごに

亡くなった人の財産を取得するという点では同じですが、遺贈と相続には違いが複数あります。

遺贈と相続の違い
遺贈 相続
取得者の
決め方
遺言書 法律
債務の承継 特定遺贈:承継しない 承継する
包括遺贈:承継する
放棄の方法 特定遺贈:意思表示 家庭裁判所
包括遺贈:家庭裁判所
不動産登記 共同申請 単独申請

財産を第3者に残すなら遺贈になるので、相続との違いを知っておいてください。

また、遺贈するには遺言書の成立が大前提なので、遺言書の作成も十分に気を付けてください。