不在者財産管理人に関する費用は、大きく分けると4つあります。
- 申立費用
- 予納金
- 専門家報酬
- 管理人報酬
申立費用・予納金・専門家報酬は申立てに関する費用です。
一方、管理人報酬は不在者財産管理人を選任した後の費用になります。
今回の記事では、不在者財産管理人の費用を4つに分けて説明しているので、申立前に確認しておいてください。
1.不在者財産管理人の申立て費用
1つ目の費用は、不在者財産管理人の選任申立て費用です。
家庭裁判所に申立てをする費用は3つに分かれます。
- 申立手数料|800円
- 予納切手 |約3,000円
- 書類収集費|事情により違う
1-1.申立手数料は収入印紙800円分
不在者財産管理人の申立手数料は800円ですが、現金ではなく収入印紙で納めます。
ただし、800円という額面は販売していないので、「200円×4枚」や「400円×2枚」など800円分用意してください。
収入印紙はコンビニでも購入できますが、200円の額面しか販売していないようです。
郵便局なら400円の額面も購入できるので、予納切手と一緒に購入すると手間が省けます。
※切手と同じ窓口で購入できます。
関連記事を読む『収入印紙800円分を購入する【家庭裁判所申立書に貼付】』
1-2.予納切手は家庭裁判所ごとに違う
家庭裁判所に申立書を提出する際は、予納切手を添付する必要があります。
ただし、予納切手の額は家庭裁判所により違います。券面の内訳も指定されているので、申立前に必ず確認してください。
【大阪家庭裁判所】
- 100円×5枚
- 84円×20枚
- 10円×20枚
- 2円×10枚
合計で2,400円必要です。内訳も指定されています。
【大阪家庭裁判所堺支部・岸和田支部】
- 500円×2枚
- 100円×5枚
- 84円×20枚
- 10円×20枚
- 2円×10枚
- 1枚×10枚
合計で3,410円必要です。同じ大阪でも堺支部および岸和田支部は予納切手が違います。
切手が余った場合は、不在者財産管理人の選任後に返却されます。
1-3.提出書類の収集費用は事情により違う
不在者財産管理人の選任申立てには、複数の書類を用意する必要があります。
- 不在の事実を証する書類
- 利害関係を証する書類
- 不在者の財産に関する書類
不在者の事情によって書類の枚数が違うので、収集費用も違います。
何万円もかかることは少ないですが、数千円はかかると思っておきましょう。
2.予納金も不在者財産管理人の費用
2つ目の費用は、家庭裁判所に納める予納金です。
不在者財産管理人の選任申立てをすると、家庭裁判所から予納金を求められるケースがあります。
予納金は申立人の負担であり、不在者財産の管理費用に充てられます。
2-1.予納金の額は家庭裁判所が決める
不在者の財産だけでは管理費用(報酬含む)が足りない場合、家庭裁判所は申立人に予納金を請求します。
予納金の額は家庭裁判所により違うので、申立前に確認してください。一般的には、30万円から80万円ぐらいです。
予納金を納めなければ、不在者財産管理人は選任されません。金銭を用意できない場合は別の方法を考えましょう。
関連記事を読む『不在者財産管理人のデメリット6選|欠点を確認しておこう! 』
2-2.不在者に財産があれば0円もあり得る
不在者の財産だけで管理費用が支払えるなら、予納金が0円もあり得ます。あくまでも、足りない分を予納金で補うイメージです。
遺産分割協議で不在者が財産を取得する場合、家庭裁判所によって扱いが違います。
※取得額が管理費用を満たす場合。
- 予納金は不要になる
- 遺産分割協議後に予納金を返却する
申立前に家庭裁判所に確認しておいてください。
関連記事を読む『不在者財産管理人の予納金は申立人の負担となる 』
3.申立てを専門家に依頼すると報酬も費用
3つ目の費用は、申立てを依頼した場合の専門家報酬です。
不在者財産管理人の申立ては専門家(弁護士・司法書士)に依頼できます。
- 不在者財産管理人に関する相談
- 不在者財産管理人の選任申立書作成
- 申立てに必要な戸籍謄本等の取得
ただし、専門家に依頼すると報酬が発生します。
3-1.専門家報酬は事務所により違う
報酬額は自由に設定できるので、事務所により金額が違います。
したがって、あなたの相談・依頼した事務所が、平均よりも高い可能性はあります。
※金額が高いから悪いわけではない。
思っているよりも報酬額に差はあるので、ホームページなどから金額を確認して、まずは相談してみることをお勧めします。
3-2.専門家報酬は申立人の負担になる
専門家に手続きを依頼するのは申立人なので、専門家報酬も申立人の負担となります。
不在者の財産からは支払えないので、専門家に依頼する際は気を付けてください。
どうしても専門家報酬が用意できない場合は、相談だけに留めておき、手続き自体は自分で行いましょう。
4.選任された不在者財産管理人の報酬も費用
4つ目の費用は、不在者財産管理人の報酬です。
1つ目から3つ目までの費用と違い、不在者財産管理人の選任後に発生します。
意外と気付いていない人もいるので、忘れずに確認しておいてください。
4-1.専門家が選任されると確実に請求する
家庭裁判所は不在者の財産から、不在者財産管理人に報酬を付与できます。
以下は、民法の条文です。
不在者財産管理人が報酬を請求しなければ、家庭裁判所も付与しません。
ただし、専門家(弁護士・司法書士等)が選任されていると、確実に報酬を請求します。無報酬で働く専門家は存在しません。
報酬は毎月発生するので、不在者の財産は減り続けます。
※請求は1年単位が多い。
関連記事を読む『不在者財産管理人の報酬は不在者の財産から支払われる 』
4-2.報酬を支払い続けると財産を失う
不在者に財産があっても、財産管理人に報酬を支払い続けると財産を失います。
【事例】
不在者 |共同相続人(二男)
申立人 |共同相続人(長男)
管理人 |弁護士
管理財産|遺産分割協議で取得した金銭(100万円)
遺産分割協議により不在者が財産を取得しても、弁護士への報酬で1年から2年で失います。
不在者財産管理人を選任すると、不在者の財産が減ると知っておいてください。
不在者の生死不明が7年以上なら、失踪宣告を選択した方が良いかもしれません。
5.まとめ
今回の記事では「不在者財産管理人に費用」について説明しました。
不在者財産管理人に関する費用は、大きく分けると4つあります。
- 申立費用
- 予納金
- 専門家報酬
- 管理人報酬
申立費用は申立手数料・予納郵券・書類収集費の合計です。
予納金は申立人の負担であり、不在者の財産が少ないと家庭裁判所から請求されます。
申立て手続きを専門家に依頼すると、専門家報酬も発せします。事務所により金額が違うので注意してください。
選任された財産管理人は家庭裁判所に報酬を請求できます。報酬は不在者の財産から支払うので、選任され続ける限り、財産も減り続けます。
不在者財産管理人の費用は思っている以上に発生するので、申立前に必ず確認しておいてください。
不在者財産管理人の費用に関するQ&A
- 申立費用が増えるケースを教えてください。
-
不在者の現地調査が必要だと費用も増えます。
- 不在者の財産が0円になると報酬はどこから支払いますか?
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管理する財産が無いので終了となります。