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不在者財産管理人の調査は2回|所在不明者が見つかるケースもある

不在者財産管理人の調査
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不在者財産管理人を選任するには、不在者の調査を済ませる必要があります。

不在者を探すタイミングは2回あり、申立人と家庭裁判所がそれぞれ探します。

  • 申立前に申立人が探す
  • 申立後に家庭裁判所が探す

調査により不在者が見つかれば、不在者財産管理人は選任できません。

今回の記事では、不在者財産管理人の調査について説明しているので、申立てを検討しているなら参考にしてください。

目次

1.不在者財産管理人の申立前に調査

不在者財産管理人の調査1回目は申立前

1回目の調査は、不在者財産管理人の申立前にする調査です。

不在者財産管理人の選任申立てをするには、あらかじめ申立人が不在者の調査をしておく必要があります。

  • 不在者の最後の住所を調査
  • 不在者の親族や知人に聞き取り調査

調査をしても見つからなければ、不在者財産管理人の申立てをします。

1-1.不在者の最後の住所を調査

まずは、不在者の最後の住所を調査するため、住民票を取得してください。

住民票の住所が分からない場合は、戸籍の附票を取得して確認します。

戸籍の附票

住民票の住所が記載されている。

戸籍の附票は本籍地の役所で取得できます。

住民票上の住所を調査する

不在者の住民票(戸籍の附票)を取得したら、住所を調査します。

  • 手紙を送る
  • 現地を確認する

住民票の住所に手紙を送っても、不在者が住んでいなければ「あて所に尋ねあたりません」というスタンプを押されて返送されます。

あて所に尋ねあたりません

もし、手紙が返送されなければ、不在者が住んでいる可能性もあります。

現地確認をして誰が住んでいるのか確認してください。

住民票が職権消除されている

住民票が職権消除されている場合、不在者の住所(記録上)は存在しません。

市役所等が住んでいないことを調査しているので、申立人が改めて確認する必要はないです。

職権消除された住民票は、申立ての際に提出します。

1-2.不在者の親族や知人に聞き取り調査

不在者の所在を調査するため、親族や知人にも聞き取りをしてください。

最後に所在が確認できた日や状況、所在不明になった経緯などは、書面にまとめて「不在の事実を証する資料」として提出します。

不在者の親族や知人から情報が聞けなかった場合は、その旨を書面に記載して提出してください。

1-3.調査が終われば不在者財産管理人の申立て

申立人が調査しても不在者が見つからなければ、家庭裁判所に不在者財産管理人の申立てをします。

したがって、不在者の調査と並行して、申立ての準備も進めておいてください。

遺産分割協議が目的なら戸籍等も複数枚必要になるので、後回しにせず収集しておきましょう。

2.不在者財産管理人の申立後に調査

不在者財産管理人の調査2回目は申立後

2回目の調査は、不在者財産管理人の申立後にする調査です。

不在者財産管理人の選任申立てがあると、家庭裁判所も不在者の調査をします。

  • 登録機関に不在者の照会
  • 申立人や親族に聞き取り調査

それぞれ説明していきます。

2-1.登録機関に不在者の情報を照会

家庭裁判所は不在者財産管理人の申立てがあると、登録機関に不在者の照会をします。

  • 運転免許証の更新履歴
  • 雇用保険の加入履歴

一般の人では調査できない部分を、家庭裁判所が調査するイメージです。

住民票の住所を変更していない場合でも、免許証の更新や雇用保険に加入している人はいます。

司法書士から一言私の受けた依頼でも、家庭裁判所の調査で見つかったケースはあります。

2-2.申立人や親族に不在者の聞き取り

家庭裁判所は申立人や不在者の親族に対しても、聞き取り調査をします。

一般的には、照会書が郵送されてくるので、記入して返送する流れです。

  • 申し立ての経緯
  • 最後に確認できた日
  • 不在者の財産
  • 失踪宣告する気があるか

照会書の内容は家庭裁判所によって違いますが、難しい内容ではありません。あなたが知っている情報を正直に記入して返送しましょう。

3.調査結果により不在者財産管理人が決まる

不在者が調査で見つかれば不在者財産管理人は選任できない

申立人と家庭裁判所の調査結果により、不在者財産管理人が選任されるか決まります。

3-1.不在者が発見できなければ選任される

調査しても不在者が発見できなければ選任される

申立人や家庭裁判所の調査でも不在者を発見できなければ、不在者財産管理人が選任されます。

財産管理人が選任されたら、申立目的(遺産分割協議・共有解消等)の手続きを進めてください。

ただし、処分行為をするには、選任後に権限外行為許可を得る必要があります。選任だけでは目的を達成できないです。

権限外行為については、下記の記事で詳しく説明しています。

3-2.不在者が見つかると選任できない

調査により不在者が発見されると選任できない

申立人や家庭裁判所の調査により、不在者が見つかるケースは少なくありません。

不在者が見つかれば要件を満たさないので、不在者財産管理人は選任できません。

見つかった不在者と連絡を取り、目的を達成するための話し合いをしてください。

不在者が申立人の目的に協力してくれる

見つかった不在者が申立人の目的に協力してくれるなら、何の問題もありません。

遺産分割協議書の作成や共有解消の登記など、目的に応じて手続きを進めてください。

気を付ける点としては、不在者は印鑑証明書を登録していないケースが多い点です。手続きでは印鑑証明書を使用するので、登録の有無は確認しておいてください。

不在者が申立人との話し合いに応じない

見つかった不在者が申立人との話し合いに応じるとは限りません。

話し合いが成立しない場合は、目的に応じて対応を考える必要があります。

例えば、遺産分割協議が目的であれば、遺産分割調停の申立てを検討します。

不在者が見つかったことにより、目的達成までの時間が余計にかかるケースもありますが、運が悪いと諦めるしかないです。

注意話し合いに応じなくても、不在者財産管理人は選任できないので注意してください。

4.まとめ

今回の記事では「不在者財産管理人の調査」について説明しました。

不在者財産管理人の調査は2回に分かれます。

回数目的実行者
1回目申立て申立人
2回目審判家庭裁判所
不在者財産管理人の調査

1回目の調査は、申立人が住民票上の住所確認や親族への聞き取りなどをして、不在者の行方が分からないか調べます。

2回目の調査は、家庭裁判所が登録機関等に照会をして、不在者の行方が分からないか調べます。

調査の結果、不在者が見つかれば不在者財産管理人は選任できません。見つかった不在者に連絡を取って、目的を達成するための話し合いをしてください。

不在者財産管理人の調査に関するQ&A

現地調査は必要ですか?

手紙が届いているなら必要です。

不在者が調査で見つかるケースはありますか?

あります。私が依頼を受けたケースでも複数回見つかっています。

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