相続登記に必要な住民票についての疑問をすべて説明

相続登記に必要な住民票
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相続登記をしたいが、住民票が取得できなくて困っていませんか。あるいは、どの住民票が必要か分からず調べていませんか。

相続登記に必要な住民票は2つあります。

  • 亡くなった人の住民票
  • 相続する人の住民票

ただし、相続登記を長期間放置していると、亡くなった人の住民票が取得できない可能性があります。

そのような場合は、代わりの書類を取得して提出すれば大丈夫です。

今回の記事では、相続登記に必要な住民票について説明しているので、住民票について疑問があれば参考にしてください。

\相続登記も義務化/

目次

1.亡くなった人と登記名義人が同一人物か確認

相続登記を申請する際には、亡くなった人の住民票(除票)が必要になります。

住民票の除票

転出や死亡により住民基本台帳から除かれた住民票のこと

なぜ、亡くなった人の住民票(除票)が必要かというと、亡くなった人と不動産の登記名義人が同一人物であるかを判断するためです。

1-1.不動産登記簿と戸籍謄本では氏名しか一致しない

相続登記では相続が発生したことを証明するために、亡くなった人の死亡記載のある戸籍謄本を提出します。

ですが、戸籍謄本と不動産登記簿では記載事項が違うので、氏名しか一致しません。日本には同姓同名の人もたくさんいるので、戸籍謄本だけでは同一人物か分からないです。

そのため、亡くなった人の住民票(除票)を提出して、戸籍謄本と不動産登記簿の足りない部分を補います。

以下は記載事項の比較表です。

記載事項不動産登記簿戸籍謄本住民票
氏名
本籍地×
住所×
生年月日×
記載事項の比較

イメージとしては次のような感じです。

  1. 不動産登記簿と住民票が一致
  2. 戸籍謄本と住民票が一致
  3. なので、不動産登記簿と戸籍謄本の人物は同じ
住民票で同一人物か確認

上記の図のように住民票で足りない部分を補っています。

注意住民票は本籍地記載で取得してください。

1-2.不動産登記簿と住民票の住所が違う

不動産登記簿の住所と住民票の住所が一致しないことがあります。

亡くなった人が住所を変更した際に、不動産登記の変更をしていない場合です。住民票と不動産登記簿は連動していないので、変更登記をしなければ住所が一致しなくなります。

住所が一致しない場合は、住民票(除票)を提出しても同一人物かどうか分かりません。

そのような場合は、亡くなった人の住民票ではなく戸籍の附票を提出します。

戸籍の附票

戸籍が作成されたときから除籍されるまでの住所の履歴が記録されたもの

戸籍の附票に登記簿の住所が記載されていれば、住所の変更を確認できます。

戸籍の附票は戸籍謄本と同じく、本籍地のある役所でしか取得できないのでご注意ください。

2.亡くなった人の住民票が取得できない場合

登記名義人が亡くなってから時間が経っていると、亡くなった人の住民票が取得できない場合があります。

なぜなら、以前は住民票(除票)の保存期間が5年間だったからです。つまり、亡くなってから5年以上経っていると、住民票が取得できない可能性があります。

ちなみに、令和元年に保存期間が5年から150年に変更されています。

(都道府県における本人確認情報の保存期間)
第三十条の六 法第三十条の六第三項に規定する政令で定める期間は、次の各号に掲げる同条第一項に規定する本人確認情報(以下この条、次条及び第三十四条第三項において「本人確認情報」という。)の区分に応じ、当該本人確認情報の通知の日から当該各号に定める日までの期間とする。
二 住民票の消除が行われたことにより通知された本人確認情報 当該本人確認情報の通知の日から起算して百五十年を経過する日

出典:e-Govウェブサイト(住民基本台帳法施行令第30条の6第2項)

相続登記を長期間放置していたことにより、住民票が取得できない場合は別の書類を提出します。

  • 戸籍の附票を取得する
  • 戸籍の附票も無ければ不在籍不在住証明書を取得する

2-1.住民票の代わりに戸籍の附票を提出

住民票が廃棄されていても、戸籍の附票は取得できる場合があります。

戸籍の附票が取得できるなら、住民票の代わりに戸籍の附票を提出すれば大丈夫です。

ただし、戸籍の附票にも保存期間があるので、戸籍の附票も廃棄されているケースがあります。

住民票も戸籍の附票も取得できない場合は、不在籍不在住証明書を取得します。

2-2.戸籍の附票も無ければ不在籍不在住証明書を提出

戸籍の附票も廃棄されている場合は、不在籍不在住証明書を代わりに取得しましょう。

不在籍不在住証明書

申請された氏名・本籍・住所と一致する戸籍や住民票が存在しないことを証明する書類

申請先は調べたい住所のある市区町村役場です。

不在籍不在住証明書を取得して法務局に提出します。

その他の書類も求められる

不在籍不在住証明書だけでなく、その他の書類も求められます。

  • 廃棄済証明書
  • 不動産権利証
  • 納税通知書

法務局によって求められる書類に違いがあるので、住民票と戸籍の附票が取得できない場合は、法務局に確認してから集めた方が確実です。

不在籍不在住証明書を発行していない自治体もある

不在籍不在住証明書を発行していない自治体も存在します。

不在籍不在住証明書を発行していませんと伝えられたら、法務局にそのまま伝えてください。代わりの書類を指示されます。

3.不動産を相続する人は住所証明情報が必要

不動産登記簿には登記名義人の住所が記載されるので、不動産を相続する人の住所証明情報を提出します。

3-1.住民票以外でも住所は証明できる

不動産を相続する人の住所については、住民票以外を提出することもできます。

下記の不動産登記令を読むと分かりますが、住民票と指定されているわけではありません。

三十 所有権の移転の登記
ロ 登記名義人となる者の住所を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報)

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記令別表30)

あくまでも、住民票が一番分かりやすいので、住民票と説明しているだけです。

住民票以外には以下が該当します。

  • 戸籍の附票
  • 印鑑証明書

印鑑証明書には住所氏名が記載されているので、相続登記の住所証明情報として使用することができます。

司法書士から一言できる限り本籍地記載の住民票(戸籍の附票)を添付しましょう。印鑑証明書を住所証明書として使用すると、法務局は嫌がります。

3-2.提出する住民票に期間の定めはない

不動産を相続する人の住民票に期間の定めはありません。

手元に住民票が無ければ新しく取得するしかありませんが、すでに住民票が手元にあるなら再度取得する必要はありません。

たとえ一年前に取得した住民票であっても、住所が変更されていなければ問題ありません。

4.相続登記と住民票に関するその他の疑問

自分で相続登記の準備していると、細かい疑問が次々に湧いてきませんか。

以下は、相続登記と住民票に関するその他の疑問です。

4-1.住民票の記載は何が必要

住民票の記載に関する疑問です。

住民票には本籍地の記載が必要

相続登記に必要な住民票は、本籍地記載の住民票になります。

役所で住民票を取得する際は、本籍地記載にチェックを入れて請求してください。

住民票に世帯主や続柄の記載は不要

相続登記に必要な住民票に、世帯主続柄は不要です。

ただし、世帯主や続柄の記載があっても、相続登記には影響しません。新しく取得し直す必要はないです。

4-2.不動産を取得しない人の住民票

遺産分割協議で特定の相続人が取得すると決めた場合、不動産を取得しない人の住民票は不要です。

詳しくは【3.不動産を相続する人は住所証明情報が必要】で説明していますが、登記名義人にならない人の住民票は提出する必要がありません。

司法書士から一言法務局としては、遺産分割協議に参加した相続人の住民票(本籍地記載)も欲しいようです。

4-3.住民票コードを記載すると住民票は不要

相続登記の申請書に住民票コードを記載すると、相続人の住民票は不要となります。

住民票コード

住民票に記載される住民ごとの番号

(添付情報の一部の省略)
第九条 第七条第一項第六号の規定により申請情報と併せて住所を証する情報(住所について変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する情報を含む。以下この条において同じ。)を提供しなければならないものとされている場合において、その申請情報と併せて法務省令で定める情報を提供したときは、同号の規定にかかわらず、その申請情報と併せて当該住所を証する情報を提供することを要しない。

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記令9条)

法務省令で定める情報が住民票コードとなります。

第三十六条
4 令第九条の法務省令で定める情報は、住民票コード(住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第七条第十三号に規定する住民票コードをいう。)又は会社法人等番号(商業登記法第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下同じ。)とする。ただし、住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する情報を提供しなければならないものとされている場合にあっては、当該住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを確認することができることとなるものに限る。

出典:e-Govウェブサイト(不動産登記規則36条4項)

ただし、住民票コードを調べるには、住民票コード記載の住民票を取得する必要があるので、結果的に住民票を提出するのと変わりません。

4-4.住民票は原本還付ができる

相続登記をする際に提出した住民票は、原本還付することができます。

分かりやすく説明するなら、相続登記が完了したら住民票は返却してもらえます。

ただし、住民票を返却してもらうには、相続登記を申請する際に住民票のコピーも提出する必要があります。

住民票のコピーに「原本と相違ありません」と記入して、申請人が記名・押印します。

5.まとめ

今回の記事では「相続登記と住民票」について説明しました。

相続登記をする際には住民票を用意する必要があります。

  • 亡くなった人の住民票
  • 相続する人の住民票

2つの住民票は、それぞれ必要となる理由が違います。

亡くなった人の住民票は、不動産名義人と亡くなった人が同一人物か判断するため。相続する人の住民票は、不動産登記簿に住所を記載するためとなります。

相続登記を長期間放置していた場合は、亡くなった人の住民票を取得できない可能性があります。

住民票を取得できない場合は、戸籍の附票を取得します。戸籍の附票も取得できない場合は、不在籍不在住証明書を取得します。

相続登記は時間が経過するほど大変になります。できる限り早めに済ませておきましょう。

相続登記と住民票に関するQ&A

住民票と戸籍の附票はどちらでも良いですか?

どちらでも大丈夫です。戸籍謄本を取得する際に戸籍の附票も一緒に取得する方が楽です。

相続人の住民票にも本籍地が必要ですか?

本籍地を記載した方が登記がスムーズに進みます。

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