住民票の世帯主とは、世帯の代表者のことです。
ただし、原則として住民票に世帯主は記載されないので、記載が必要な場合は請求時に意思表示(チェック)をしてください。
世帯主が変わった場合は、世帯主変更届の提出も必要になります。
今回の記事では、住民票の世帯主について説明しているので、住民票を取得する際の参考にしてください。
目次
1.住民票の世帯主とは世帯の代表者
まずは、住民票の世帯主について説明します。
住民票の世帯主を簡単にいうなら、世帯の代表者です。
- 世帯
- 居住と生計をともにする社会生活上の単位のこと
以下は、住民基本台帳事務要領の記載です。
世帯を構成する者のうちでその世帯を主宰する者、主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当と認められる者をいう。
世帯の代表者なので、各世帯に世帯主は1人しかいません。
1-1.主として生計を維持する人が世帯主
一般的には、主として生計を維持する人が世帯主になっています。
例えば、夫婦で世帯を形成していれば、夫を世帯主にしているケースが多いです。
ただし、夫婦で共働き世帯も多くなっているので、どちらを世帯主にするかは当事者の自由です。
必ずしも収入が多い方を世帯主にするわけではありません。
1-2.一人暮らしであれば自分が世帯主
一人暮らしであれば、一人世帯なので自分が世帯主です。
たとえ別世帯の人から支援を受けていても、別世帯なので自分が世帯主となります。
【例題】
両親と子は別住所で、両親からの仕送りで生計を立てている場合。
子の生計を維持しているのは両親ですが、住所が違うので世帯は別です。
子が一人暮らしであれば、世帯主は子になります。
子が一人暮らしであっても、住民票を実家に置いていれば、親が世帯主になっています。
※現住所に住民票が移っていない。
住民票上の住所が変わっていなければ、世帯主も変わっていません。実家から住所を移転させると、自分が世帯主になります。
2.住民票の世帯主は原則として省略される
市役所等に住民票の写しを請求しても、原則として世帯主は省略されて発行されます。
- 世帯主および続柄
- 個人番号(マイナンバー)
- 本籍と筆頭者
上記については、住民票を請求する際に、請求者が希望しなければ記載されないです。
以下は、住民基本台帳法の条文です。
(本人等の請求による住民票の写し等の交付)
第十二条 (省略)
5 市町村長は、特別の請求がない限り、第一項に規定する住民票の写しの交付の請求があつたときは、第七条第四号、第五号及び第八号の二から第十四号までに掲げる事項の全部又は一部の記載を省略した同項に規定する住民票の写しを交付することができる。
住民票に世帯主の記載が必要な場合は、請求書にチェックを入れて提出してください。何も記載せずに請求書を提出すると、第七条第四号(世帯主および続柄)を省略した住民票の写しが交付されます。
以下は、チェック欄の見本です。
※自治体によって様式や文言等は違います。
世帯主との続柄にチェックを入れると、世帯主の氏名も住民票に記載されます。
原則として、住民票に世帯主は記載されないので、請求する際は注意してください。
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3.世帯主が変われば世帯主変更届
住民票の世帯主は世帯の代表者なので、代表者が変われば世帯主も変わります。
原則として、世帯主が変わった場合、市役所等に世帯主変更届を提出する必要があります。
以下は、住民基本台帳法の条文です。
(世帯変更届)
第二十五条 第二十二条第一項及び第二十三条の場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令で定める者を除く。)は、その変更があつた日から十四日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた年月日を市町村長に届け出なければならない。
世帯主変更届にも期間(14日以内)の定めがあるので、世帯員は気をつけてください。
3-1.住民票の世帯主が変わるケース
住民票の世帯主が変わるケースは複数あります。
- 世帯主が死亡した
- 世帯主が引越しをした
- 生計を維持する人が変わった
それぞれ簡単に説明していきます。
世帯主の死亡による変更
世帯主が死亡すると、世帯主は世帯から抜けるので、世帯主も変更になります。
死亡届を提出する際に、世帯主変更届も一緒に提出しておきましょう。
ちなみに、戸籍の筆頭者は死亡しても変わりません。住民票の世帯主とは違うので、間違えないように気を付けてください。
関連記事を読む『【死亡届の書き方】図を用いて記入のポイントを説明』
世帯主の転居・転出による変更
世帯主が転居・転出すると、世帯主は世帯から抜けるので、世帯主も変更になります。
※現住所に残る世帯員がいる場合。
例えば、世帯主だった父親が施設等に入居するので、父親だけが転出した場合です。
現住所に残る世帯員の中から、新しい世帯主を決めます。
生計を維持する者が変わった
世帯の生計を維持する者が変わった場合も、世帯主は変更できます。
例えば、世帯主だった父親が定年退職して、子が主として生計を維持する者になった場合です。
新たに生計を維持する者を世帯主とする、世帯主変更届を提出します。
3-2.世帯主の変更は住民異動届で行う
世帯主の変更は、市役所等の窓口に置いてある住民異動届で行います。
- 住民異動届
- 転出・転入をする際に使用する届出書のこと
住民異動届の中に世帯変更という項目があるので、チェックを入れて記入します。
※自治体によって書式が違います。
書き方が分からない場合は、窓口で聞いてから記入しましょう。
3-3.世帯主変更届の届出が不要な場合
世帯主が死亡・転居・転出しても、世帯主変更届が不要な場合もあります。
- 一人世帯だった場合
- 二人世帯だった場合
- 次の世帯主が明確な場合
それぞれ簡単に説明していきます。
一人世帯であれば届出は不要
一人世帯であれば、世帯主が死亡・転居・転出しても、世帯主変更届は不要です。
新しい世帯主は存在しないので、世帯主の変更は発生しません。
二人世帯であれば届出は不要
二人世帯であれば、世帯主が死亡・転居・転出しても、世帯主変更届は不要です。
以下は、住民基本台帳法施行令の条文です。
(世帯変更届を要しない者)
第二十五条 法第二十五条に規定する政令で定める者は、世帯主以外のその世帯に属する者が一人になつた場合におけるその者とする。
新しい世帯主には世帯員が自動的になるので、変更届を出す必要がありません。
例えば、夫が世帯主で妻が世帯員であれば、自動的に妻が世帯主になります。
二人世帯から一人世帯に変わる場合は、世帯主変更届の提出は不要です。
次の世帯主が明確な場合は不要
三人世帯以上であっても、次の世帯主が明確な場合、世帯主変更届は不要です。
新しい世帯主を自治体が明確に判断できれば、変更届を出す必要がありません。
例えば、両親と子(未成年)が同世帯で、父親が世帯主だった場合。
世帯主である父親が亡くなると、自動的に母親が世帯主になります。社会通念上、未成年の子が世帯主になるとは考えられないからです。
ただし、原則どおり、世帯主変更届を出しても問題ありません。
4.まとめ
今回の記事では「住民票の世帯主」について説明しました。
住民票の世帯主とは、世帯の代表者のことです。一般的には、主に世帯の生計を維持する人がなっています。
市役所等に住民票を請求しても、原則として世帯主は記載されません。世帯主の記載が必要であれば、請求書にチェックを入れてください。
世帯主が変更した場合は、世帯主変更届の届出が必要です。
ただし、世帯人数によっては、世帯主変更届の届出は不要になります。
住民票の世帯主を気にする機会は少ないですが、疑問を解消する手助けになれば幸いです。
住民票と世帯主に関するQ&A
- Q.住民票の世帯主と戸籍の筆頭者は同一人物ですか?
- A.別になっている場合もあります。
- Q.住民票を取得する際に世帯主は必要ですか?
- A.住民票の提出先によって違います。