高齢者消除の対象となる行方不明者は、120歳以上だけでなく3つの年齢区分があります。
- 120歳以上
- 100歳以上
- 90歳以上100歳未満
行方不明者の年齢により、高齢者消除の要件が違います。
今回の記事では、高齢者消除の年齢について説明しているので、親族に行方不明者がいるなら参考にしてください。
120歳以上の高齢者消除
まずは、120歳以上の高齢者消除について説明します。
行方不明者(戸籍の附票に住所記載なし)が120歳以上であれば、生存している可能性は限りなく低いと考えられます。
なぜなら、日本で存命中の最高齢者(令和4年9月16日時点)が115歳だからです。
※2022年に119歳の女性は亡くなられました。
そのため、120歳以上の行方不明者を高齢者消除する場合は、要件が少ないです。
以下は、120歳以上の高齢者消除の要件。
- 行方不明者が120歳以上
- 戸籍の附票に住所記載なし
通常、行方不明者を高齢者消除するには、親族等の調査も必要です。
ですが、120歳以上の高齢者については、特段の事情がない限り調査は不要となります。
1 市区町村長が許可申請書に記載する「生死及び所在につき調査の資料を得ることができない事由」については、120歳以上の高齢者であり、かつ、戸籍の附票に住所の記載がない旨を記載すれば足りる。
2 上記申請書には、当該高齢者の現在戸籍及び戸籍の附票の各謄本を添付すれば足りる。
許可申請書に行方不明者の戸籍謄本と戸籍の附票を添付すれば、高齢者消除の許可を得ることができます。
高齢者消除の許可を得た後は、市区町村長が職権で行方不明者を戸籍から除籍します。
100歳以上の高齢者消除
次に、100歳以上の高齢者消除について説明します。
行方不明者(戸籍の附票に住所記載なし)が100歳以上であれば、生存している可能性は低いと考えられます。
ただし、日本には100歳以上の人が約9万人いるので、120歳以上の高齢者とは違い親族等の調査は必要です。
以下は、100歳以上の高齢者消除の要件。
- 行方不明者が100歳以上
- 戸籍の附票に住所記載なし
- 生存を証する資料が存在しない
行方不明者の親族等が見つからなければ、生存を証する資料は存在しません。
- 行方不明者の親族等が見つからない
- 親族がすでに亡くなっているや、戸籍の附票に住所の記載がない場合
許可申請書に「生存を証する資料は存在しない」と記載して、管轄法務局の長に許可を求めます。
高齢者消除の許可を得た後は、市区町村長が職権で行方不明者を戸籍から除籍します。
司法書士から一言親族等の調査をするのは、死亡を知っている人がいないか探す目的もあります。
90歳以上100歳未満の高齢者消除
最後に、90歳以上100歳未満の高齢者消除について説明します。
原則として、高齢者消除の対象は100歳以上の行方不明者です。
ただし、行方不明者の親族から申出があれば、90歳以上も高齢者消除の対象となります。
以下は、90歳以上の高齢者消除の要件。
- 行方不明者が90歳以上
- 戸籍の附票に住所記載なし
- 生存を証する資料が存在しない
- 親族から高齢者消除の申出
行方不明者の親族から申出があった場合も、生存を証する資料が存在しないかの調査は必要です。
調査をしても生存を証する資料が存在しなければ、許可申立書に親族からの申出書を添付して、管轄法務局の長に許可を求めます。
親族から高齢者消除の申出をするケースは少ないですが、戸籍に残り続けている親族がいるなら、高齢者消除も可能だと知っておいてください。
注意行方不明者が高齢者消除されても相続は発生しません。
関連記事を読む『高齢者消除では相続を証明できないので相続手続もできない』
まとめ
今回の記事では「高齢者消除の年齢」について説明しました。
120歳以上 | 100歳以上 | 90歳以上 | |
住所記載なし | ○ | ○ | ○ |
生存を証する資料 | ー | ○ | ○ |
親族からの申出 | ー | ー | ○ |
行方不明者が120歳以上であれば、戸籍謄本と戸籍の附票を添付して申請するだけです。
行方不明者が100歳以上であれば、生存を証する資料が存在しないことも条件となります。
行方不明者が90歳以上であれば、親族からの申出も条件に加わります。
一般の人が高齢者消除に関わることは少ないと思いますが、親族に行方不明者がいるなら参考にしてください。
高齢者消除の年齢に関するQ&A
- Q.行方不明者が120歳以上なら相続は発生しますか?
- A.高齢者消除では年齢に関わらず相続は発生しません。
- Q.親族が高齢者消除を申し出るメリットは何ですか?
- A.法律上のメリットはありません。