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高齢者消除では相続を証明できないので相続手続も進まない

高齢者消除と相続
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行方不明者が高齢者消除により戸籍から除籍されていても、相続の証明にはなりません。

あくまでも、死亡を推定しているだけなので、戸籍に死亡日も記載されていないです。

高齢者消除が記載された戸籍では、相続を証明できないので相続手続もできません。

今回の記事では、高齢者消除と相続について説明しているので、相続の悩みを解決する参考にしてください。

1.高齢者消除されても相続とは無関係

まずは、高齢者消除されても相続とは無関係な点から説明していきます。

高齢者消除は戸籍の整理が目的であり、行方不明者の死亡を推定しているだけです。

高齢者消除された人は戸籍から除籍されますが、死亡日は記載されないので、相続の証明には使用できません。

したがって、高齢者消除されていても、相続手続上は生存扱いになります。

高齢者消除の効力を理解していないと、相続人の間違えに繋がるので注意してください。

 

2.高齢者消除と相続で間違えやすいケース

高齢者消除と相続で間違えやすいケースを3つ説明します。

  • 高齢者消除された戸籍では相続登記できない
  • 高齢者消除では遺産分割協議から除外できない
  • 高齢者消除されても代襲相続は発生しない

相続関係者に高齢者消除された人がいるなら、間違えないように注意してください。

2-1.高齢者消除された戸籍では相続登記できない

不動産の登記名義人(所有者)が高齢者消除されても、相続登記は申請できません。

あくまでも、戸籍の整理を目的として除籍しているので、高齢者消除が記載された戸籍では相続の証明になりません。

相続登記を申請するには、戸籍に死亡日または死亡とみなされた日を記載する必要があります。

届出により、死亡の日又は失踪宣告により死亡とみなされる日が戸籍に記載された後、当該相続の登記を申請すべきである。

出典:(昭和32.12.27民事三発1384回)

親族が登記名義人で長期間放置されている不動産があるなら、戸籍に死亡日が記載されているか確認してください。

2-2.高齢者消除では遺産分割協議から除外できない

亡くなってから何十年経過していても、相続人全員と連絡が取れるなら遺産分割協議は可能です。

もし相続人が亡くなっていても、相続人の相続人(再転相続人)が遺産分割協議に参加すれば問題ありません。

ですが、相続人が高齢者消除されている場合は、相続が発生していないので、遺産分割協議の参加者は行方不明者(高齢者消除された人)のままです。

高齢者消除されても遺産分割協議の参加者

高齢者消除されているからといって、遺産分割協議から除外できないので注意してください。

2-3.高齢者消除されても代襲相続は発生しない

被相続人(亡くなった人)が死亡する前に相続人が高齢者消除されていても、代襲相続は発生しません。

高齢者消除では代襲相続は発生しない

そもそも、高齢者消除では戸籍に死亡日が記載されないので、被相続人よりも先に亡くなったか不明です。

高齢者消除で代襲相続は発生しないので、行方不明者が相続人になります。

 

3.高齢者消除された後に相続を発生させる方法

高齢者消除されても相続は発生しませんが、相続を発生させる方法はあります。

  • 失踪宣告により失踪届を提出
  • 死亡の事実を証明して死亡届を提出

上記のどちらかが可能であれば、行方不明者の相続は発生します。

3-1.高齢者消除された人でも失踪宣告は可能

行方不明者が高齢者消除されていても、失踪宣告の申立てはできます。

高齢者消除された人であれば、行方不明の期間(7年間)も問題ないはずなので、認められる可能性が高いです。

そして、失踪宣告の審判が確定すれば、市役所等に失踪届を提出します。失踪届が提出されると、戸籍に「死亡とみなされた日」が記載されるので、相続も発生します。

高齢者消除された人が相続に関係するのであれば、失踪宣告を検討しましょう。

3-2.高齢者消除された人の死亡届を提出

亡くなった人の死亡届を提出せずに放置した結果、行方不明者として高齢者消除されている人もいます。

高齢者消除された後でも死亡届の提出は可能なので、死亡届の提出により相続は発生します。

ただし、死亡から長期間経過していると、死亡届の添付書面となる死亡診断書または死体検案書を用意するのが難しいです。

以下は、戸籍法の条文です。

第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
② 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所
二 その他法務省令で定める事項
③ やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法86条)

死亡診断書や死体検案書が用意できない場合は、死亡の事実を証する書面を代わりに用意します。

死亡の事実を証する書面
位牌の写真、過去帳の写し、寺院の葬儀執行証明書、死亡埋葬許可証の写し

死亡したと聞いていた親族が高齢者消除されているなら、死亡の事実を証する書面を探してみましょう。

 

まとめ

今回の記事では「高齢者消除と相続」について説明しました。

高齢者消除は戸籍の整理が目的なので、相続の証明には使用できません。

相続手続では相続を証明するために戸籍を添付しますが、高齢者消除された人は生存扱いとなります。

戸籍に高齢者消除の記載がある場合は、相続人を間違えないように気を付けてください。

 

高齢者消除と相続に関するQ&A

Q.高齢者消除された人の情報が無くても失踪宣告できますか?
A.できます。
Q.死亡届や失踪届以外の方法はありますか?
A.不在者財産管理人の選任や、行方不明者の共有持分取得などがあります。