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事実婚の配偶者も遺族年金の遺族に含まれるが証明する資料が必要

事実婚の配偶者も遺族年金を受給できる
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事実婚の配偶者も要件を満たすことで、遺族年金を受給できることはご存知でしょうか。

ただし、法律婚の配偶者とは違い、要件だけではなく事実婚の証明も必要になります。

事実婚の証明には複数の書類が必要になるので、前もって確認しておいてください。

今回の記事では、事実婚と遺族年金について説明しているので、受給要件などをご存知なければ参考にしてください。

1.事実婚の配偶者は遺族年金の遺族に含まれる

事実婚の配偶者も遺族に該当

事実婚の配偶者が遺族年金の遺族に含まれるかは、年金法の条文を確認すれば分かります。

遺族年金
遺族が受け取る年金のこと

遺族年金は2種類あり、それぞれ別の法律により定められています。

1-1.国民年金法に事実婚の記載がある

遺族基礎年金の遺族に、事実婚の配偶者が含まれるかは、国民年金法に記載されています。

以下は、国民年金法の条文です。

(用語の定義)
第五条 (省略)
7 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法5条)

国民年金法に記載されている「配偶者」「夫」「妻」には、事実婚の配偶者を含みます。

つまり、事実婚の配偶者は、遺族基礎年金の遺族に含まれます。

遺族基礎年金の支給要件については、下記の記事で詳しく説明しています。

1-2.厚生年金保険法に事実婚の記載がある

遺族厚生年金の遺族に、事実婚の配偶者が含まれるかは、厚生年金法に記載されています。

以下は、厚生年金法の条文です。

(用語の定義)
第三条 (省略)
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。

出典:e-Govウェブサイト(厚生年金法3条)

厚生年金法に記載されている「配偶者」「夫」「妻」には、事実婚の配偶者を含みます。

つまり、事実婚の配偶者は、遺族厚生年金の遺族に含まれます。

 

2.日本年金機構に事実婚だと認定してもらう

遺族年金は事実婚の配偶者も受給できます。

ただし、遺族年金を受給するには、日本年金機構に事実婚だと認定してもらう必要があります。

事実婚の成立要件は、以下の2つです。

  • 当事者間に夫婦関係を成立させる合意がある
  • 当事者間に夫婦関係と認められる事実関係がある

当事者の一方は亡くなっているので、書面等で事実婚を判断します。

2-1.事実婚の認定には住民票の記載が重要

日本年金機構に事実婚だと認定してもらうためには、住民票の記載が重要になります。

なぜなら、事実婚および生計同一を判断する資料として、住民票が挙げられているからです。

事実婚の居住形態は、以下の4つに分かれます。

住民票の記載
住民票の住所が同じ 世帯も同じ
世帯は別
住民票の住所が違う 同居
別居

①住民票上同一世帯に属している

住民票の住所が同じで、かつ、世帯も同じであれば、住民票が事実婚を証明する資料となります。

事実婚の夫婦であっても同一世帯にできるので、理由がなければ同一世帯にしておきましょう。

事実婚と住民票の続柄については、以下の記事で詳しく説明しています。

②住民票上の住所は同じだが世帯は別

住民票上の住所は同じですが、世帯は別になっている場合です。

住民票だけでは事実婚とは判断できないので、別の書類も提出する必要があります。

③住民票上の住所は違うが同居していた

住民票上の住所は違いますが、実際は同居していた場合です。

住民票では事実婚が判断できないので、別の書類を提出する必要があります。

④事実婚だが事情があり別々に暮らしていた

事実婚の夫婦であっても、事情があり別々に暮らしている場合があります。

例えば、単身赴任中で一時的に住所が違う場合です。

あるいは、親の介護をするために、実家に戻っている場合などが考えられます。

住民票では事実婚が判断できないので、別の書類を提出する必要があります。

2-2.事実婚だと判断するための資料

住民票の記載だけでは事実婚と判断できない場合、追加で資料を提出する必要があります。

日本年金機構が事実婚を判断するための資料は、『日本年金機構のホームページ』で確認できます。

以下は、日本年金機構が具体的に指定する書類です。

事実婚を判断する書類
該当するケース 提出書類
健康保険等の被扶養者になっている 健康保険被保険者証等の写し
給与計算上で扶養手当等の対象になっている 給与簿または賃金台帳簿等の写し
他制度から遺族給付を受けている 他制度の遺族年金証書等の写し
当事者の挙式・披露宴等を1年以内に挙げている 結婚式場等の証明書
葬儀の喪主になっている 葬儀を主宰したことを証する書類

上記に該当しない場合は、その他の書類で事実婚を証明することになります。

その他の書類については、以下が例示されています。

  • 連名の郵便物
  • 公共料金の領収書
  • 生命保険の保険証書
  • 未納分の税の領収書
  • 賃貸借契約書の写し

上記以外でも、証明するのに役立ちそうな書類があれが提出します。

日本年金機構に事実婚であると認められなければ、遺族年金は受給できないので、できる限り多く用意しましょう。

 

3.事実婚の配偶者が遺族年金で注意する点

事実婚の配偶者が遺族年金で注意する点

事実婚の配偶者が遺族年金に関して、注意する点を3つ説明します。

  • 遺族年金は請求しないと貰えない
  • 遺族年金にも消滅時効の規定がある
  • 遺族年金は相続財産に含まれない

それぞれ説明していきます。

3-1.遺族年金は請求しなければ貰えない

事実婚の配偶者が遺族年金の受給要件を満たしていても、請求しなければ支給されません。

年金事務所が遺族を調べて支給するのではなく、遺族が申請書類等を準備して請求する必要があります。

遺族が何もしなければ、遺族年金も支給されないままです。

遺族年金の受給要件を満たしているなら、忘れずに請求手続きをしてください。

3-2.遺族年金にも消滅時効の規定がある

遺族年金の受給権にも、消滅時効の規定があります。

消滅時効
一定期間を経過すると権利が消滅すること

ですので、事実婚の配偶者が遺族年金を請求しなければ、一定期間(5年)経過後に権利は消滅します。

ただし、やむを得ない事情により、時効完成前に請求できなかった場合、過去5年間分は遡って請求できます。

遺族年金の受給権も放置しておくと消滅するので、受給要件を満たしているかは必ず確認してください。

3-3.遺族年金の受給と相続は別問題

事実婚の配偶者は遺族だが相続人ではない

事実婚の配偶者は遺族年金の遺族に含まれますが、相続人ではありません。

そもそも、遺族年金は相続財産に含まれないので、相続とは別問題です。

事実婚の配偶者が相続財産を取得するには、前もって相続対策をしておく必要があります。

例えば、遺言書で事実婚の配偶者に遺贈しておくです。遺贈の相手方に決まりはないので、事実婚の配偶者も相続財産を取得できます。

遺族年金と相続は別問題なので、相続財産があるなら忘れずに対策をしましょう。

 

4.まとめ

今回の記事では「事実婚と遺族年金」について説明しました。

事実婚の配偶者も受給要件を満たしていれば、遺族年金を受給することができます。

ただし、亡くなった人と生計維持関係にあったことや、事実婚であったことを証明する必要があります。

事実婚であったことを証明するには、複数の書類を提出しなければいけません。前もって、証明に使える書類の準備をしておきましょう。