相続放棄を専門家に依頼すると費用が増えるので、手続きを自分でするためにネットを検索しているのではないでしょうか。
実際、相続放棄を自分ですることは可能です。もちろん時間に余裕があるなどの条件付きにはなります。
家庭裁判所のホームページを読めば基本的なことは書いています。
ただし、家庭裁判所のホームページを読んでも、イマイチ分かりにくい部分や詳しく書いていない部分があるのも事実です。
今回の記事では、家庭裁判所のホームページでは詳しく書かれていない部分について説明しているので、自分で相続放棄をする際の参考にしてください。
目次
1.まずは相続放棄の期限を確認する
まず初めにするのは、相続放棄の期限を確認します。自分でする際に1番注意しなければならないのは、いつから3ヶ月なのかを確認することです。
基本は自分が相続人になったことを知った日から3ヶ月です。
1-1.亡くなったことを知った日
亡くなられた人が親であれば、基本的には亡くなった日に知ることになるでしょう。
例外は、亡くなった人と生前に疎遠な場合です。亡くなったことを知った日からなので、死亡日からではないことに注意しましょう。
親が離婚していて何十年も連絡を取っていないケース等が該当します。
1-2.先順位の相続人が全員相続放棄
先順位の相続人が全員相続放棄をすると、後順位の相続人に相続が回ってきます。
先順位が全員相続放棄した場合は、亡くなったことを知った日からではないです。全員の相続放棄を知った日から3ヶ月です。
全員の相続放棄を知るケースは2つ考えられます。
- 債権者等からの連絡
- 先順位相続人からの連絡
債権者等からの連絡で知った
亡くなった人にお金を貸していた会社等が書面で連絡してきます。
送付された書面は相続放棄をする際に、証拠として使うこともあるので保管しておきましょう。
先順位相続人からの連絡で知った
先順位相続人と連絡を取っていると、相続放棄の手続きを取ったことを教えてくれる場合もあります。
先順位相続人が自分で手続きをしたのか、専門家に依頼したのかも聞いてみてください。同じ専門家に依頼する場合は、料金の割引等があると思います。
2.亡くなった人の最後の住所地
亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書を提出します。
そのため、最後の住所地を知る必要があります。
最後の住所地を証明する書類も必要なので、住所を知っていても取得しますのでご注意ください。
「住民票の除票」または「戸籍の附票」のどちらかが必要です。
亡くなった人の本籍地が判明している場合は、戸籍の附票をついでに取得する方が楽です。
なぜなら、戸籍謄本と同じ役所で取得できるからです。
本籍地は不明だが住民票上の住所を知っている場合は、住民票の除票を取得します。取得する際に本籍地の記載を請求することにより、戸籍謄本の取得に繫ぐことができます。
関連記事を読む『相続放棄の管轄は亡くなった人の最後の住所地で決まる』
3.必要な戸籍謄本を集める
相続放棄の手続きで一番手間がかかるのが、必要な戸籍謄本の収集です。
なぜかというと、本籍地の役所でなければ取得できないので、郵送で取得することも多いからです。
郵送だと1枚の戸籍謄本を取得するのに、数日はかかってしまいます。
3-1.戸籍謄本の枚数は相続人ごとに違う
誰が相続放棄をするかにより、戸籍謄本の枚数は違います。
- 配偶者
- 子ども
- 孫
- 親
- 兄弟姉妹
- 甥・姪
基本的には上記の順番で枚数が増えていきます。
戸籍謄本については下記の記事をご確認ください。
関連記事を読む『相続放棄に必要な戸籍謄本等|取得枚数は相続人ごとに違う』
3-2.必要な戸籍謄本等が分からない
相続放棄に必要な戸籍謄本等が分からない場合は、基本的には専門家に依頼することをお勧めします。
ただし、料金等の問題もありますので、アドバイスだけ依頼するでもいいと思います。「戸籍謄本の取得方法」等だけであれば、有料相談の時間内で可能です。
4.相続放棄申述書を作成する
相続放棄申述書を作成するのは、必要な戸籍謄本等が集まっていれば難しくないです。戸籍謄本等を見ながら本籍地や最後の住所地を記入していきます。
記載例も家庭裁判所のホームページで確認できますので、分からない部分があれば参考にしてください。
自分で手続きをするときに分かりにくいのが、相続放棄の理由と資産・負債ではないでしょうか。
4-1.相続放棄の理由は自由
一般的には借金が相続放棄の理由ですが、それ以外でも特に問題ないです。
生前に縁を切っているや、プラスの財産が無いので安全の為に相続放棄するなど、理由は人それぞれですので正直に記入して大丈夫です。
相続放棄が受理されるかどうかと、相続放棄の理由は無関係です。
関連記事を読む『相続放棄の理由は疎遠・借金・安全の3つが多い』
4-2.資産・負債は分かる範囲
資産・負債については分かる範囲で記入します。不明なら不明と記載して大丈夫です。借金の額がいくら以上ないと相続放棄ができないといったルールもありません。
相続放棄することを決めているなら、わざわざ借金の額を調べる必要はありません。
5.家庭裁判所に提出
申述書が完成したら、戸籍謄本等と一緒に管轄家庭裁判所に提出します。直接窓口に提出しに行ってもいいですし、郵送で提出することもできます。
郵送で提出する場合は、家庭裁判所に電話で確認しておくことをお勧めします。家庭裁判所によるのですが、管轄が間違っていないか等の確認をしてくれます。
郵送する際はレターパックプラスを利用した方が安心できます。到着していることがネットで確認できるからです。
以下の確認を最後にしてください。
- 申述書の記入漏れがないか
- 戸籍謄本等は揃っているか
- 収入印紙(800円)は貼付しているか
- 連絡用切手は用意しているか
- 提出先の家庭裁判所は合っているか
問題が無ければ家庭裁判所に提出します。
関連記事を読む『相続放棄は郵送での提出も可能なので遠方でも大丈夫』
6.照会書(回答書)に記入して返送
相続放棄申述書を提出すると、家庭裁判所から照会書(回答書)が届くことがあります。
*照会書は省略される場合もあります。
照会書は本人確認を兼ねて送られてくる、質問書のようなものです。
基本的なことしか聞かれませんが、「死亡を知った日」と「相続財産の消費」については、具体的に聞かれます。
被相続人(亡くなった人)の死亡日から3ヶ月を経過しているなら、死亡を知った日の経緯について記載します。
相続財産を葬儀費用の支払いに充てている場合は、相続財産に使用したと記載します。
回答書に記入したら家庭裁判所に返送してください。
7.さいごに
家庭裁判所に提出した後は、連絡が来るのを待ちましょう。提出して2週間から1ヶ月ぐらいが目安です。
相続放棄を自分でする際の流れについては以上となります。
あくまでも、自分でする際の流れについてしか説明しておりませんので、相続放棄についての疑問等は専門家に相談することをお勧めします。
自分で手続きをする時間が取れない場合は、お気軽にお問い合わせください。