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任意後見監督人の選任申立て手続きでは書類の準備が大変

任意後見監督人の選任申立て
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本人の判断能力が低下したら、任意後見監督人の選任申立てを行ってください。

任意後見監督人が選任されなければ、せっかく契約を結んでいても効力は発生しません。

すでに本人の判断能力が低下しているなら、選任申立てに必要な書類等を集めてください。

今回の記事では、任意後見監督人の選任申立て手続きについて説明しているので、申立ての参考にしてください。

1.任意後見監督人の選任申立てには条件が2つある

まず初めに確認するのは、任意後見監督人の選任申立て条件を満たしているかです。

たとえ本人が任意後見契約の効力を発生させたくても、条件を満たしていなければ却下されます。

(任意後見監督人の選任)
第四条 任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。(省略)

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律4条)

任意後見監督人の選任申立て条件

1-1.任意後見契約を結んでいる

1つ目の条件は、任意後見契約を結んでいるです。

当たり前のことですが、任意後見監督人の選任申立てができるのは、任意後見契約を結んでいることが前提となります。

選任申立てをしてから契約を結ぶのではなく、契約を結んでから選任申立てという流れです。まだ契約を結んでいなければ、判断能力が低下する前に結んでおいてください。

ただし、任意後見契約は公正証書で作成しなければ成立しないので、口約束や私文書では任意後見契約は成立していません。

1-2.本人の判断能力が低下している

2つ目の条件は、本人の判断能力が低下しているです。

任意後見監督人の選任申立てができるのは、本人の判断能力が低下してからです。

判断能力が低下しているかは自己申告ではなく、医師の診断書で判断することになります。

ですので、判断能力が低下していなければ、任意後見監督人の選任申立てはすることができません。

注意本人の身体能力が低下していても、判断能力が低下していなければ申立てはできません。

 

2.任意後見監督人の申立人は限られている

任意後見監督人の選任申立て条件を満たしているなら、次は申立人を確認してください。

なぜかというと、任意後見監督人の申立人は、法律で決められているからです。

(任意後見監督人の選任)
第四条 任意後見契約が登記されている場合において、精神上の障害により本人の事理を弁識する能力が不十分な状況にあるときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により、任意後見監督人を選任する。(省略)

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律4条)

任意後見監督人の選任申立てができるのは以下の人です。

  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等内の親族
  • 任意後見受任者

2-1.選任申立には本人の同意が必要

任意後見監督人の選任申立を本人以外がする場合、原則として本人の同意が必要になります。

(任意後見監督人の選任)
第四条 (省略)
3 第一項の規定により本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには、あらかじめ本人の同意がなければならない。ただし、本人がその意思を表示することができないときは、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律4条3項)

ただし、本人の判断能力が低下していて、意思表示ができないときは除きます。

本人の同意が必要な理由としては、任意後見契約は本人の意思で結んでいるので、効力発生にも本人の意思を尊重すべきだからです。

2-2.4親等内の親族にほとんど含まれる

4親等内の親族は範囲が広いのですが、現実的に申立てに関係するのは以下の人です。

  • 親・祖父母
  • 子ども・孫
  • 兄弟姉妹・甥姪
  • 配偶者の親
  • 配偶者の兄弟姉妹

基本的には本人の親族なら申立てできると思って大丈夫です。

2-3.親族以外でも任意後見受任者なら申立てできる

任意後見契約の相手方である任意後見受任者も、選任申立をすることが可能です。

また、任意後見契約で受任者に申立て義務を定めることもあります。

即効型の任意後見契約を結んでいる場合は、契約締結後すぐに選任申立をする必要があるので注意してください。

 

3.家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立をする

家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立をするなら、以下の3つを確認してください。

  • 申立先の確認
  • 申立て費用の確認
  • 申立て書類の確認

3-1.本人の住所地を管轄する家庭裁判所

原則として、本人の住民票上の所在地を管轄する家庭裁判所です。

ただし、本人が住民票の住所とは別の病院に入院している等の事情があれば、管轄家庭裁判所が違う可能性があります。申立てをする前に家庭裁判所への確認をしておいてください。

3-2.切手や収入印紙の内訳に注意

申立に必要な費用は以下になります。

  • 申立て用の収入印紙(800円)
  • 登記申請用の収入印紙(1,400円)
  • 連絡用切手代(家庭裁判所により違う)
  • 鑑定費用(必要な場合有り)

収入印紙の購入

収入印紙は郵便局等で購入することができます。コンビニでも購入できるのですが、基本的に200円の額面しか扱っていません。

郵便局の窓口で購入する際は1,000円×1枚と400円×3枚と伝えれば大丈夫です。

登記申請用の収入印紙(1,400円分)は、申立書に貼らないように気をつけてください。

連絡用切手代は家庭裁判所により違う

家庭裁判所に提出する連絡用切手は家庭裁判所により違います。

切手の内訳も指定されていますので、必ず家庭裁判所に確認しておいてください。

鑑定が必要なら費用発生

本人の判断能力を確認する必要があれば鑑定を行います。鑑定を行う場合は家庭裁判所から連絡があります。

鑑定費用は10万円から20万円ぐらいです。

任意後見監督人の選任申立てでは、基本的に鑑定は不要になります。

3-3.申立て書類の準備が一番大変

任意後見監督人の選任申立てで一番大変なのが、申立て書類の準備になります。

必要書類は2つに分かれます。

家庭裁判所で一式入手できる

以下の書類に関しては、家庭裁判所で一式貰うことができます。記入例も貰えますので参考にしましょう。

  • 任意後見監督人選任申立書
  • 申立事情説明書
  • 任意後見受任者事情説明書
  • 親族関係図
  • 本人の財産目録および資料
  • 本人の収支状況報告書および資料
  • 診断書
  • 本人情報シート

診断書は本人の判断能力が低下していることを確認するための書類です。

役所や法務局で入手

戸籍謄本や登記事項証明書はそれぞれ収集する必要があります。

登記事項証明書については下記の記事を参考にしてください。

 

4.さいごに

任意後見監督人が選任されてからが、任意後見契約の本番となります。

任意後見契約をスムーズに開始するためにも、選任申立て手続きの手順や必要書類等を前もって確認しておきましょう。

任意後見契約を結ぶ際に専門家に相談されている方は、申立てについて相談されてみるのも良いと思います。