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任意後見監督人は必ず存在する|報酬は1万円から2万円ぐらい

任意後見監督人は必ず選任
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任意後見を検討している人にとって、監督人という言葉は不安を感じさせます。普段の生活で監督されることはないので、不安に思われるのも当然です。

  • 誰がなるのか?
  • 監督人は何をするのか?
  • 報酬は必要なのか?
  • 解任できるのか?

任意後見監督人を選任しない方法を探している人もいます。ですが、任意後見人には必ず任意後見監督人が存在します。

なぜなら、任意後見契約の効力発生には、任意後見監督人の選任が必要不可欠だからです。

今回の記事では、任意後見監督人について一つ一つ説明していきますので、不安を和らげる手助けになれば幸いです。

1.任意後見の効力発生には監督人が必要

任意後見契約を結んでも、契約の効力は発生していません。

任意後見契約の効力を発生させるには、以下の2つを満たす必要があります。

  • 本人の判断能力が低下している
  • 任意後見監督人が選任されている

上記の2つを満たすことで、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人が就任することになります。

ですので、任意後見監督人が不要だと思っても、選任されなければ任意後見契約の効力は発生しません。

 

2.誰が任意後見監督人になるのか

任意後見監督人は、家庭裁判所が職権で選任します。

任意後見監督人には本人の親族ではなく、原則として専門家(弁護士など)が選ばれます。

なぜなら、任意後見では親族が後見人になっていることが多いので、監督者として専門家を選ぶからです。

後見監督人の候補者として親族を推薦することはできますが、家庭裁判所は候補者に縛れることなく選任します。

任意後見監督人を選ぶのは家庭裁判所

ちなみに、法律で任意後見監督人になれない人もいます。

(任意後見監督人の欠格事由)
第五条 任意後見受任者又は任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人となることができない。

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律5条)
  • 任意後見人の配偶者
  • 任意後見人の直系血族や兄弟姉妹

上記の人は法律で禁止されています。

注意候補者が選ばれなかったとしても、申立てを取り下げることはできません。

任意後見監督人選任申立てについては下記の記事をご覧ください。

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3.任意後見監督人は何をするのか

任意後見監督人の仕事には、以下のようなものがあります。

  • 任意後見人の事務を監督すること
  • 家庭裁判所に定期的に報告すること
  • 急迫の場合は必要な処分をすること
  • 利益相反行為について本人を代理すること

3-1.任意後見人の事務を監督する

任意後見人が後見契約の内容どおりに仕事をしているかを監督します。3ヶ月に1回は後見人に報告を求めます。

家庭裁判所は任意後見監督人を通じて、間接的に任意後見人を監督します

家庭裁判所は任意後見人を間接的に監督する

3-2.家庭裁判所に定期的に報告する

毎年1回は家庭裁判所に、後見事務および監督事務の状況を報告します。

3-3.急迫の場合は必要な処分をする

任意後見人が病気等により動けない場合には、任意後見監督人が任意後見人の代わりに必要な処分をします。

ただし、任意後見監督人が代理できるのも、任意後見契約の範囲内となります。任意後見人が代理できないことは、任意後見監督人も代理できません。

3-4.利益相反行為について本人を代理する

任意後見人と本人の利益が対立する行為については、任意後見人は本人を代理することができないので、任意後見監督人が本人を代理します。

利益相反なら監督人が代理する

例えば、任意後見人と本人が共同相続人で、遺産分割協議をする場合です。任意後見監督人は本人の代わりに、遺産分割協議に参加します。

特別代理人の選任申立てをする必要は無いので、間違えないように気を付けてください。

4.任意後見監督人の報酬はいくらなのか

任意後見監督人は家庭裁判所に対して、報酬付与の申立てをすることができます。

実際は専門家が選任されていれば、必ず報酬は請求されます。

任意後見監督人の報酬額は家庭裁判所が判断します。報酬の目安も公表されているので参考にしてください。

報酬額の目安
管理財産額 報酬額(月額)
5,000万円以下 1万円~2万円
5,000万円超 2万5,000円~3万円

年間の報酬額は低くて12万円ぐらいです。報酬は本人の財産から支払われます。

任意後見監督人の報酬は任意後見のデメリットになるので、任意後見を検討しているなら下記の記事を参考にしてください。

5.任意後見監督人の解任はできるのか

任意後見監督人を解任するには、不正な行為や著しい不行跡等の職務に適さない理由が必要です。

(後見人の解任)
第八百四十六条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。
(任意後見監督人の職務等)
第七条
4 民法第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、任意後見監督人について準用する。

出典:e-Govウェブサイト(任意後見契約に関する法律7条4項)

したがって、任意後見監督人が気に入らないでは、解任することは難しいです。

解任請求は以下の人ができます。

  • 本人
  • 本人の親族
  • 検察官
  • 他の任意後見監督人(複数人いる場合)

任意後見監督人を解任するかどうかを、最終的に判断するのも家庭裁判所です。
*家庭裁判所は職権で解任することも可能です。

任意後見人と任意後見監督人は、立場的に対立関係になりやすいです。監督者なので仕方がない一面もありますので、割り切って対応するしかありません。

6.さいごに

任意後見人には必ず任意後見監督人が存在します。

なぜなら、任意後見契約の効力を発生させるには、任意後見監督人の選任が必要だからです。

任意後見監督人は任意後見人の仕事を監督する人です。原則として専門家が選任されるので報酬も発生します。

一度任意後見がスタートすると、監督者を変えることは難しいので、上手く対応していくことも重要です。

任意後見契約を検討されているなら、任意後見監督人についても知っておいてください。