任意後見契約は公正証書で作成しなければ、成立しないのはご存知でしょうか。
任意後見契約の締結方法は、法律により公正証書と決まっています。
公正証書は公証人が作成するので、自分たちで作成するわけではありません。
今回の記事では、任意後見契約と公正証書について説明しているので、任意後見契約を検討しているなら参考にしてください。
目次
1.任意後見契約の締結方法は決まっている
任意後見契約の締結方法は、法律により決められています。
任意後見契約は公正証書で作成しなければ成立しません。
- 公正証書
- 公証人がその権限において作成する公文書のこと
- 公証人
- 国の公務である公証事務を担う公務員のこと
任意後見契約を締結するには、公証人に任意後見契約書を作成してもらう必要があります。
当然ですが、口頭や私文書(自分で作成した書面)では、任意後見契約は不成立となります。
2.公正証書を作成するのに公証人手数料が必要
公証人に公正証書を作成してもらうには、公証人手数料が必要となります。
任意後見契約公正証書の公証人手数料は、1契約につき1万1,000円と決められています。
任意後見人の報酬を定めている場合でも、公証人手数料は1万1,000円です。
ただし、任意後見契約を結ぶ際に必要な費用は、公証人手数料以外にも存在します。
- 登記嘱託手数料(1,400円)
- 印紙代(2,600円)
- 郵便切手代(約600円)
- 正本謄本の作成料(1枚250円)
任意後見契約書を作成するのに、約2万2,000円ぐらいかかります。
*契約書の枚数により違います。
3.任意後見契約公正証書を作成する流れ
公証人に任意後見契約公正証書を作成してもらう場合、以下のような流れになります。
- 任意後見契約の内容を考える
- 公証役場に連絡して文案を提出
- 公証役場にて任意後見契約書を作成
3-1.任意後見契約の内容を考える
まずは、任意後見契約の内容を考えます。
任意後見契約の内容を考えるとは、委任する代理権の範囲を決めるということです。
自分たちで調べて決めても良いですし、専門家に相談しながら決めても良いです。
3-2.公証役場に連絡して文案を提出する
任意後見契約書の文案が完成したら、公証役場に連絡して文案を提出します。公証役場に管轄はないので、どこの公証役場でも問題ありません。
公証人が文案を確認して、内容に問題があれば修正していきます。
文案の確認が済めば、作成日を予約することになります。
3-3.公証役場で任意後見契約公正証書を作成する
任意後見契約公正証書の作成当日は、2人で公証役場に行きます。
必要書類としては以下があります。
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票
- 本人の印鑑証明書(免許証など)
- 受任者の住民票
- 受任者の印鑑証明書(免許証など)
上記書類は発行後3ヶ月以内となります。
任意後見契約書の作成が終われば、本人と受任者それぞれに任意後見契約書の謄本が渡されます。
4.任意後見契約公正証書を作成する際の注意点
任意後見契約公正証書を作成する際の注意点を3つ説明します。
- 判断能力が低下していると診断書が必要
- 公正証書遺言とは違い証人は不要
- 契約書の作成と効力発生は別もの
4-1.判断能力の低下を疑われると診断書が必要になる
任意後見契約も通常の契約と同じく、成立には判断能力が必要です。
本人の判断能力が低下していると、公証人から診断書の提出を求められます。
診断書の内容によっては、任意後見契約書の作成を断られます。
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4-2.公正証書遺言とは違い証人は不要です
公正証書で作成する書面には公正証書遺言もあります。
ただし、公正証書遺言とは違い、任意後見契約公正証書に証人は不要です。
証人が必要だと勘違いして、任意後見契約を諦めないように気をつけてください。
4-3.任意後見契約公正証書の作成と効力発生は別もの
任意後見契約公正証書を作成しても、任意後見契約の効力が発生するわけではありません。
任意後見契約の効力発生には2つの要件があります。
- 判断能力の低下
- 任意後見監督人の選任申立て
上記2つを満たさなければ、任意後見契約の効力は発生しません。
5.さいごに
任意後見契約は公正証書で作成しなければ、有効に成立しません。
たとえ契約書の内容に問題が無かったとしても、公正証書で作成していなければ何の効力も発生しません。
公正証書は公証役場で勤務している、公証人が作成してくれます。
公証人手数料は1万1,000円です。その他の費用と合わせて約2万2,000円が必要となります。
まずは、任意後見契約の文案を考えることから始めましょう。