後見の登記がされていないことの証明書を、添付書類として提出することがあります。
普段の生活で証明書を取得することは少ないので、取得方法を知らない人がほとんどです。
証明書を取得できる場所は限られているので、ご自身に合った請求方法を使用してください。
今回の記事では、登記されていないことの証明書について説明しているので、取得する際の参考にしてください。
目次
1.登記されていないことの証明書を請求できる人
成年後見の登記がされていないことの証明書を請求できるのは、以下の人です。
- 本人(証明の対象者)
- 4親等内の親族
- 本人や親族の代理人
本人が請求できるのは当たり前ですが、4親等内の親族も請求することができます。
- 4親等内の親族
- 4親等内の血族と配偶者および3親等内の姻族のこと
ご自身で請求するのが難しい場合は、代理人に取得してもらうことも可能です。
2.登記されていないことの証明申請書
登記されていないことの証明書を取得するには、証明申請書を提出する必要があります。
証明申請書は東京法務局のウェブサイトからダウンロード可能です。
『東京法務局ウェブサイト』に移動する。
2-1.登記されていないことの証明申請書の注意点
登記されていないことの証明申請書を記載する際の注意点です。
- 証明事項は利用目的により違う
- 証明を受ける方の記載
証明事項は利用目的により違う
申請書に記載する証明事項は、証明書の利用目的(提出先)により違います。
例えば、以下のケースです。
- 後見開始の申立書に添付する
- 任意後見監督人の選任申立書に添付する
後見開始の申立書に添付する
後見開始の申立書に添付するために証明書を請求するなら、証明事項は以下になります。
「成年後見人、被保佐人、被補助人、任意後見契約の本人とする記録がない」
任意後見契約に関する登記が無いことも証明します。
任意後見監督人の選任申立書に添付する
任意後見監督人の選任申立書に添付するために証明書を請求するなら、証明事項は以下になります。
「成年後見人、被保佐人、被補助人とする記録がない」
任意後見契約に関する登記はされているので、証明事項の範囲に含めないように注意してください。
証明を受ける方の記載は提出先に確認
証明申請書の下部には、証明を受ける方の記載欄があります。
申請書の説明には、住所または本籍地を記載してくださいと書いてあります。
ですが、証明書の提出先によっては、住所も本籍地も両方記載することになります。
片方だけ記載するのであれば、提出先に前もって確認しておきましょう。
2-2.証明申請書には収入印紙を貼り付ける
登記されていないことの証明申請書には、手数料として収入印紙を貼り付けます。
手数料は1通につき300円です。複数枚請求するなら、枚数×300円分の収入印紙を購入してください。
収入印紙の購入場所は郵便局や法務局
収入印紙は郵便局や法務局で購入できます。窓口で申請するなら法務局で購入すると手間が省けます。
コンビニでも収入印紙は購入できるのですが、300円という額面を売っていない可能性が高いです。
※200円の額面しか購入できない。
収入印紙に割印をしないように注意
収入印紙は手数料を支払うために貼るので、割印をしないように注意してください。
2-3.証明書の添付書類は誰が申請するかで違う
登記されていないことの証明書を請求する際には、証明申請書だけでなく添付書類も必要になります。
そして、添付書類は誰が証明書を請求するかで違います。
本人確認書類 | 戸籍謄本 | 委任状 | |
本人 | ○ | × | × |
4親等内の親族 | ○ | ○ | × |
代理人 | ○ | △ | ○ |
郵送で請求する場合は、返送用封筒(切手貼付)も必要です。
それぞれ説明していきます。
本人が請求するなら本人確認書類だけ
本人が証明書を請求するなら、申請書と本人確認書類だけです。
窓口で請求するなら本人確認書類の提示ですし、郵送で請求するならコピーを送付します。
4親等内の親族が請求するなら戸籍謄本も添付
4親等内の親族が証明書を請求するなら、本人確認書類だけでなく戸籍謄本も添付書類となります。
※本人確認書類は請求する親族の分です。
なぜなら、4親等内の親族であることを、戸籍謄本で証明する必要があるからです。
必要な戸籍謄本は請求する親族によって違うので、戸籍謄本を添付する際は気を付けてください。
注意添付する戸籍謄本は発行から3ヶ月以内になります。
代理人が請求するなら委任状も添付
本人や親族から委任された代理人が請求するなら、本人確認書類だけでなく委任状も添付書類となります。
※本人確認書類は代理人の分です。
依頼人が4親等内の親族なら、4親等内の親族であることを証明する戸籍謄本も必要です。
委任状のひな形は、法務局のウェブサイトからダウンロードできます。
『東京法務局ウェブサイト』に移行する。
3.登記されていないことの証明書の請求先
登記されていないことの証明書の請求先は、請求方法によって変わります。
- 窓口申請:法務局・地方法務局の本局
- 郵送申請:東京法務局の後見登録課
※オンライン申請は準備に手間がかかるので除外しています。
請求先は限られているので、間違えないように確認しておいてください。
3-1.証明書を窓口で申請するなら法務局・地方法務局の本局
登記されていないことの証明書を窓口で申請するなら、法務局・地方法務局の本局の窓口になります。
支局や出張所の窓口では対応していないので、窓口で申請するなら確認を忘れないでください。
法務局の所在地については、以下の法務局ウェブサイトから確認できます。
『法務局ウェブサイト』に移動する。
3-2.証明書を郵送で申請するなら東京法務局の後見登録課のみ対応
登記されていないことの証明書を郵送で申請するなら東京法務局の後見登録課のみ対応しています。
以下が、宛先になります。
〒102ー8226
東京都千代田区九段南1ー1ー15
九段第2合同庁舎
東京法務局 民事行政部 後見登録課 宛て
証明書を郵送請求するなら、返送用の封筒を忘れずに用意してください。
※切手貼付・返送先の住所記載
郵送請求については、以下の記事で詳しく説明しています。
関連記事を読む『後見登記事項証明書を郵送請求する方法を分かりやすく説明』
4.登記されていないことの証明書と登記事項証明書は違う
紛らわしいのですが、「登記されていないことの証明書」と「登記事項証明書」は別の書面になります。
- 登記されていないことの証明書
- 後見人等が付いていないことを証明する書面
- 登記事項証明書
- 後見人等が付いていることを証明する書面
どちらの書面も後見登記に関する証明書で、かつ、請求先も同じなので間違えやすいです。
また、「登記されていないことの証明書」を登記事項証明書と呼ぶ人もいるので、どちらの証明書が必要なのか確認した方が良いです。
証明書の発行手数料も違うので、請求する際は注意してください。
5.さいごに
後見開始の申立てをする場合や各種登録をする場合には、登記されていないことの証明書を提出します。
証明書を提出することで、成年後見の登記がされていないことが分かります。
主な請求方法は2つあります。
- 窓口で申請:法務局・地方法務局の本局
- 郵送で申請:東京法務局後見登録課
証明書の請求先は限られています。
登記されていないことの証明書を請求する機会は少ないので、間違えないように気を付けてください。