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認知の方法は任意認知と強制認知の2つに分かれる

認知の方法
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非嫡出子と父親の間に親子関係を発生させる認知には、任意認知と強制認知の2つがあります。

父親が自らの意思で認知するのが任意認知で、強制的に認知させるのが強制認知です。

任意認知は認知の時期により3つに分かれますし、強制認知は父親の状態により2つに分かれます。

認知の効力自体は同じですが、認知の時期や父親の状態により手続きに違いがあります。

今回の記事では、認知の方法について説明しているので、認知を検討しているなら参考にしてください。

1.任意認知の方法は時期により3つに分かれる

父親が自らの意思で認知するので任意認知といいます。

任意認知の方法は、認知届を提出する時期により3つに分かれます。

子どもが出生前(胎児)であれば胎児認知、出生後であれば届出認知、自分が亡くなった後であれば遺言認知となります。

1-1.出生前に子どもを認知する方法

出生前(妊娠中)に子どもを認知することも可能です。

胎児認知の方法は届出認知と同じで、市役所等に認知届を提出します。

ただし、出生前に子どもを認知する場合は、母親の同意が必要になります。

(胎児又は死亡した子の認知)
第七百八十三条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法783条1項)

母親の同意が得られなければ、胎児認知をすることはできません。

また、妊娠中の女性(母親)が他の男性と婚姻関係にあると、胎児認知は認められないです。

1-2.届出をすることで認知する方法

子どもが出生しているなら、父親は母親の同意無しで認知できます。

認知の方法は認知届を提出するだけです。

ただし、子どもが成人している場合は、認知するのに子どもの同意が必要です。

(成年の子の認知)
第七百八十二条 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。

出典:e-Govウェブサイト(民法782条)

子どもの同意が得られなければ認知することはできません。

また、子どもに戸籍上の父親がすでにいる場合も、子どもを認知することができません。

1-3.遺言書で子どもを認知する方法

自分が亡くなった後で認知する方法が遺言認知です。

理由があって生前に認知できない人もいるので、最後の手段として遺言書に認知を記載することも可能です。

ただし、遺言書に記載するだけで認知の効力が発生するわけではなく、遺言執行者が認知届を提出しなければなりません。

第六十四条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従つて、その届出をしなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(戸籍法64条)

遺言書に認知を記載する場合は、必ず遺言執行者を指定しておきましょう。遺言書で遺言執行者を指定していない場合は、遺言執行者の選任申立てが必要になります。

遺言認知であっても、子どもが成人しているなら同意が必要です。

1-4.胎児認知・届出認知・遺言認知の違い

父親が自らの意思で認知する場合でも、時期により少しだけ違いがあります。

任意認知の比較
胎児認知 届出認知 遺言認知
届出人 父親 父親 遺言執行者
同意 母親 子ども
(成人)
子ども
(成人)

届出人は父親なのですが、遺言認知のみ遺言執行者が届出をします。

胎児認知には母親の同意が必要で、届出認知と遺言認知は子どもが成人しているなら同意が必要です。

任意認知の注意点

 

2.強制認知の方法は父親の状態により2つに分かれる

父親の意思に関係なく強制的に認知させるので強制認知といいます。

強制認知の方法は父親の状態により2つに分かれます。

父親が生存しているなら裁判認知で、死亡しているなら死後認知です。

2-1.裁判手続きによって強制的に認知させる方法

父親が認知を拒む場合は、裁判手続きにより強制的に認知させることも可能です。

ただし、訴訟を起こす前に調停をする必要があります。

調停
話し合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続きのこと

いきなり訴訟をするのではなく、できる限り話し合いで解決してくださいというルールです。

調停の場でも父親が認知を拒むのであれば、認知の訴えという訴訟を起こすことができます。

裁判にて認知が認められると、父親の意思とは関係なく親子関係が発生します。

2-2.父親が亡くなった後に認知を求める方法

父親が亡くなった後に認知を求める方法が”死後認知”です。

裁判認知と同じく訴訟で認知を求めるのですが、父親はすでに亡くなっているので違う部分もあります。

死後認知ができるのは、父親が亡くなってから3年以内です。すでに3年経過している場合は、死後認知を請求することはできません。

また、訴訟の相手方が父親ではなく検察官となる点も違います。

死後認知が認められると、出生時に遡って父親の子どもであったとみなされます。

2-3.裁判認知と死後認知の違い

裁判認知と死後認知は同じ強制認知ですが、父親が生きているかどうかで違う部分があります。

裁判認知と死後認知の違い
裁判認知 死後認知
調停 必要 不要
訴訟相手 父親 検察官
期間制限 無し 3年以内

父親が生存しているなら先に調停が必要ですが、死亡しているなら不要です。

認知の訴えの相手方は父親ですが、死亡しているなら検察官となります。

父親が生存している間はいつでも認知の訴えを起こせますが、死亡後は3年以内となります。

強制認知の注意点

 

3.さいごに

認知の方法は任意認知と強制認知の2つがあります。

認知認知は届出の時期により、胎児認知・届出認知・遺言認知の3つに分かれます。

強制認知は父親の状態により、裁判認知・死亡認知の2つに分かれます。

どの認知の方法でも、父親と子どもの間に法律上の親子関係が発生する点は同じです。

非嫡出子は認知が済んでいなければ、父親が亡くなっても相続人となりません。認知が済んでいない場合は、時期や父親の状態を確認して認知の方法をチェックしておいてください。