見守り契約のひな形を見ながら各項目について説明

見守り契約書のひな形
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インターネット上で、見守り契約のひな形を見たことはありませんか。

数は少ないですが、ひな形を見つけることもできます。ですが、ひな形の説明までしていることは、ほとんどありません。

ひな形を探しているのは、見守り契約を検討している人でしょう。ひな形を見つけても、説明が付いていないと喜びも半減します。

今回の記事では、見守り契約のひな形について説明しているので、見守り契約を結ぶ際の参考にしてください。

1.見守り契約の目的

契約書の第1条は、見守り契約の目的になります。

第1条(目的)

甲および乙は、定期的な電話連絡および訪問・面談を通じて、乙が甲の生活状況および心身の健康状態を把握することにより、甲が地域社会において安心して暮らせるように見守ることを目的として本契約を締結する。

*甲(委任者=依頼する人)乙(受任者=依頼を受ける人)

自分で契約書の案を考える際には、甲や乙ではなく名前を書いた方が分かりやすいです。

ひな形では難しく書いていますが、誰と誰が見守り契約を結んでいるかが分かれば大丈夫です。

任意後見契約と見守り契約をセットで結んでいる場合は、目的の文言を少し変えることがあります。

例えば、「任意後見契約の効力が発生するまでの間」等の文言を加えたりします。

2.見守りの内容に関する事項

見守り契約の内容に関する部分です。

  • 契約期間
  • 見守りの内容

いつから契約がスタートするのかや、どのような見守りをするのかを決めています。

2-1.契約期間や契約の更新条件

第〇条(契約期間)

1 本契約の期間は、契約締結日より〇年間とする。
2 契約期間満了日の〇カ月前までに、甲または乙から相手方に対し何らかの意思表示がなければ、同一条件で更に〇年間更新するものとし、以後も同様とする。

ひな形では、契約期間が1年間になっていることが多いです。

契約の更新は当事者から終了の意思表示がなければ、自動更新されるようになっています。

自動更新にしないのであれば、「協議により更新する」などの文言に変更しましょう。

2-2.電話連絡や訪問面談の内容

第〇条(電話・訪問)

1 本契約期間中、乙は甲に対し、定期的に電話連絡および甲の自宅を訪問して面談する。
2 前項の電話連絡は、月〇回の電話を乙から甲に対して行うものとする。
3 第1項の訪問・面談は、毎月〇日に行うものとする。
ただし、甲及び乙の協議により、適宜変更できるものとする。
4 甲は、乙の訪問・面談が、甲の身辺の世話や世間話の相手等のためではないことを承知する。

ひな形では、見守り契約の内容が電話連絡と訪問面談になっています。

電話連絡はどちらから行うのかや、訪問回数や訪問日などは契約によって変更します。

最後の部分は、見守り契約でトラブルになりやすい部分です。あくまでも、見守り(電話連絡や訪問面談)が契約内容であり、それ以外は契約の対象外であることを確認しています。

3.受任者の義務に関すること

受任者の義務に関する部分です。

第〇条(見守り義務)

1 乙は、甲との電話連絡および訪問面談を通じて様子の変化を見守り、甲が認知症の発症が疑われる状態と認めた場合は、関係機関に対応措置の要請を行うものとする。
2 前項の場合、乙は関係機関に対し、対応措置に必要と認める範囲で甲の個人情報を含む一切の情報を提供することができるものとする。
3 甲が希望する場合には、乙は甲があらかじめ指定した親族等に対し、第1項の対応措置を要請するに至った経緯を連絡する。

ひな形では、委任者の状態変化に気付いた時の行動について決めています。

あらかじめ委任者から連絡してほしい親族を聞いている場合は、状態変化や対応措置について連絡します。

第〇条(見守り義務)

乙は、電話連絡および訪問面談を通じて、家庭裁判所に対する任意後見監督人選任の請求をすべきか否かを、常に考慮し判断しなければならない。

甲(委任者)が任意後見契約を結んでいる場合は、任意後見監督人の選任についても定めておきます。

任意後見監督人
任意後見人を監督する人のこと。任意後見契約の効力発生には監督人の選任が必要。

第〇条(秘密保持)

乙は正当な理由なくして、本契約を通じて知り得た甲の個人情報および秘密等を開示または遺漏してはならない。

当たり前のことですが、個人情報等を勝手に話してはいけません。

4.金銭に関する事項

見守り契約の金銭に関する部分です。

後になって揉める可能性が高いので、必ず契約書に記載しておきましょう。

4-1.受任者の報酬額

第〇条(報酬)

1 甲は、乙に対して本契約の報酬として、月額〇万円(税込み)を支払うものとする。
2 前項の報酬は、乙が甲の自宅を訪問したときに支払うものとする。
3 本契約が月の途中で終了した場合でも、当該月の報酬は月額を支払うものとする。

ひな形では、自宅を訪問したときに支払うようにしています。銀行振込にするのであれば、振込日と振込口座等を記載します。

ひな形では、月途中で終了しても、月額を支払うようにしています。日割り計算にするのであれば、その旨を記載します。

4-2.費用を負担する人を決める

第〇条(費用)

本契約で定める事務等に必要な費用は、甲が負担するものとする。

ひな形では、見守り契約で発生する事務費用は、甲(委任者)が負担すると決めています。

例えば、関係機関への連絡費用等は、見守り契約の事務費用といえます。

第〇条(費用)

本契約で定める訪問に必要な交通費は、甲が負担するものとする。

受任者が委任者を訪問する際に発生する交通費は、甲(委任者)が負担すると決めています。交通費が高額になる場合は、契約書で決めておかなければ揉める可能性があります。

報酬に交通費を含んでいる場合は、定める必要はありません。

第〇条(費用)

本契約を締結する際の公正証書の作成費用は、甲が負担するものとする。

見守り契約を公正証書で作成する場合、作成費用を甲(委任者)が負担すると決めています。

5.見守り契約自体に関すること

契約の内容に関することではなく、契約の変更・解除・終了についての部分です。

5-1.契約を途中で変更する

第〇条(契約の変更)

本契約の内容は、甲または乙が変更の申出をしたときは、協議によりいつでも変更できるものとする。

ひな形では、見守り契約を当事者の話し合いで変更できるようにしています。

第〇条(契約の変更)

本契約を変更する場合は、公正証書により変更する。

見守り契約を変更する場合は、第3者にも分かるように公正証書で変更するようにしています。

5-2.契約の解除方法に条件を付けるのか

第〇条(契約の解除)

甲または乙は、いつでも本契約を解除することができる。

ひな形では、契約はいつでも解除できるようにしています。

第〇条(契約の解除)

甲または乙は、いつでも〇ヶ月前に通知することで本契約を解除することができる。

前もって通知することを条件にすることもできます。

5-3.終了事由が発生すると契約終了

第〇条(契約の終了)

本契約は、次の事由により終了する。
①甲または乙が死亡したとき
②甲または乙が破産手続開始決定を受けたとき
③甲または乙が後見開始・保佐開始・補助開始の審判を受けたとき
④甲または乙について、任意後見監督人選任の審判が確定したとき

上記は、ひな形で使用される基本的な終了事由です。委任者と受任者のどちらが該当しても、見守り契約は終了します。

第〇条(契約の終了)

本契約は、次の事由により終了する。
⑤任意後見契約が解除されたとき

上記は任意後見契約と見守り契約をセットで結んでいる場合です。

任意後見契約が解除されたら、自動的に見守り契約も終了するようになっています。

6.さいごに

インターネットで調べると、見守り契約のひな形を探すこともできます。

ですが、ひな形の説明をしている記事は見つかりませんでした。各項目の説明がなければ、せっかくのひな形も分かりにくいです。

ですので、見守り契約のひな形について簡単な説明を付けました。

見守り契約の細かい内容は人により違いますが、基本的な部分は同じはずです。

今回の記事が、見守り契約を締結する際の参考になれば幸いです。