一人暮らしをされている方にとって、見守り契約は重要となります。
何かあったときに気付いてくれる人がいなければ、色々な対策をしていても無駄になるかもしれません。
ただし、見守り契約は重要なのですが、見守りでは対応できないこともあります。
何に対して対応できないのかを確認しておきましょう。
1.身の回りの世話は頼めない
見守り契約はあくまでも見守りをすることが目的です。
ですので、自宅に訪問するついでに、スーパーで買い物をしてもらう等は対応していません。
実際にトラブルになりやすいのが、訪問面談の際に掃除や買い物等を頼むことです。どうしてもお金を払っているので、何でもしてくれると勘違いする人もいます。
トラブルを防ぐために契約書で、はっきりと見守りしかしないと記載することが多いです。
1‐1.体力の低下に対応するには
体力が低下すると銀行に行くのも大変になります。
ただし、見守り契約だけでは、代わりに銀行に行くこともできません。
見守り契約書を銀行の窓口で見せても銀行は相手にしてくれません。「委任状を持ってきてください」と言われるはずです。
毎回委任状を用意するのは大変なので、財産管理等委任契約を結ぶことが多いです。
たとえば、月に一回銀行に支払いに行く等です。
個別の行為には別の契約を結ぶことで対応できます。
2.判断能力低下後は後見で対応
あなたの判断能力が低下した後は、見守り契約では対応できません。
判断能力の低下に対応するのは後見制度です。後見は法定後見と任意後見の2つに分かれています。
法定後見人は家庭裁判所が選任し、任意後見人は本人が前もって契約で決めています。見守り契約の受任者が、自動的に後見人になるわけではないです。
判断能力が低下した人の代わりに、後見人が代理人として法律行為を行います。
法定後見については『成年後見の申立て手続き|書類が多いので効率よく集める』をご覧ください。
任意後見については『任意後見人|契約を結べるのは認知症になる前』をご覧ください。
2‐1.後見で自動的に終了するわけではない
後見人が選任されたからといって、見守り契約が自動的に終了するわけではないです。
ただし、実際には見守り契約の終了条件として、後見の開始を決めていることが多いです。
ちなみに、終了条件を設定していなかったとしても、後見人が見守り契約を解除すると思います。判断能力が低下した一人暮らしの人を、見守るだけでは意味がないからです。
3.亡くなった後の手続き
見守り契約を結んでいても、あなたが亡くなった後の手続きをすることはできません。あなたが亡くなった時点で見守り契約は終了します。
人が亡くなると様々な事務手続きが発生します。
- 死亡診断書の受取
- 死亡診断書の提出
- 病院への支払い
- 葬儀・納骨
- 公共料金等の支払い・解約
上記以外にもたくさんありますが、死後事務の手続きは見守り契約の範囲外です。
3‐1.死後事務も委任できる
あなたが亡くなった後の手続きも、生前に契約を結ぶことで委任することができます。亡くなった後の手続きを委任するので、死後事務委任契約と呼ばれています。
「自分が亡くなったら家族に伝えてください」と、前もって頼んでおくのも死後事務委任契約です。
死後事務に関しては『死後事務委任契約とは|現代社会に必要不可欠な契約』などで読むことができます。
死後事務の記事一覧は『カテゴリー死後事務』から確認できます。
4.さいごに
見守り契約は見守りをすることが目的です。
ですので、その他の契約と組み合わせて利用することが多いです。
「見守り契約+任意後見契約」「見守り契約+死後事務委任契約」「見守り契約+任意後見契約+死後事務委任契約」等があります。
それぞれの契約単体では、対応できない部分を補完する組み合わせです。何が必要となるかは人により違いますので、相談をされる際に聞いてみてください。