任意後見契約は解除できる|時期により方法が違うので注意

任意後見契約の解除を調べる理由は2つあります。

  • 任意後見契約を結ぶ前に確認したい
  • 任意後見契約を解除したい

任意後見契約を結んだ後に事情が変わることもあるので、解除について調べるのも当然です。

任意後見契約は解除することができます。ただし、任意後見契約の効力発生前と発生後では方法が違います。

今回の記事では、任意後見契約の解除方法と時期による違いを説明しているので、解除についてご存知なければ参考にしてください。

1.後見が開始する前は自由に解除

任意後見契約の効力が発生する前(後見が開始する前)なら、本人または任意後見受任者は、いつでも公証人の認証を受けた書面により契約を解除することができます。

(任意後見契約の解除)
第九条 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前においては、本人又は任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約を解除することができる。

出典:e-Govウェブサイト

契約の解除が合意解除なのか、一方からの解除なのかで手続きが少し違います。

1-1.当事者の合意により解除

本人と後見人双方の合意で解除する場合は、合意解除の意思表示を記載した書面に双方が署名捺印をして、公証人の認証を受けます。
書面の原本または認証のある謄本を添付書面として、後見終了の登記を申請します。

公証人の認証には5,500円必要です。

(合意解除書の記載例)

任意後見契約の合意解除書

 

委任者〇〇及び受任者〇〇は、平成30年4月23日付け大阪法務局所属公証人〇〇作成同年第〇〇号任意後見契約公正証書による任意後見契約を、本日合意解除する。

 

令和2年9月23日

大阪府大阪市北区〇〇町1丁目1番1号
委任者 〇〇 印

大阪府大阪市中央区〇〇町2丁目2番2号
受任者 〇〇 印

1-2.どちらか一方からの解除

本人または任意後見受任者の一方から解除する場合は、解除通知書に公証人の認証を受けて、配達証明付き内容証明郵便で相手方に送付します。

配達証明
相手方に到着した日を記載したハガキが配達局から送付され、そのハガキにより書留郵便物を配達した事実を証明する
内容証明郵便
郵便物の内容について「いつ」「どんな内容のものを」「誰から誰にあてて差し出したか」ということを、差出人が作成した謄本によって証明する

通知書が相手方に届くと配達証明が戻ってきますので、その後に後見終了の登記を法務局へ申請することになります。

解除通知書に記載するのは意思表示のみで大丈夫です。理由まで記載する必要はないので簡潔にしましょう。

公証人の認証には5,500円必要です。

(解除通知書の記載例)

解除書通知書

 

大阪府大阪市中央区〇〇町2丁目2番2号
(受任者) 〇〇 殿

当方は、貴殿との間で、平成30年4月23日付け大阪法務局所属公証人〇〇作成同年第〇〇号任意後見契約公正証書による任意後見契約を締結しましたが、本日公証人の認証を受けたこの書面により同契約を解除いたします。

 

令和2年9月23日

大阪府大阪市北区〇〇町1丁目1番1号
(委任者) 〇〇 印

2.後見が開始した後は許可が必要

任意後見契約の効力が発生した後(後見が開始した後)は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て解除することができます。

(任意後見契約の解除)
第九条 2 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。

出典:e-Govウェブサイト

後見開始後は、本人はすでに判断能力が低下しているので、本人を保護するためにも厳しくなっています。

正当な事由には以下が考えられます。

  • 任意後見人が高齢や病気等により困難になった
  • 任意後見人または本人が遠方に引っ越したことで困難になった

家庭裁判所の許可を得てから、相手方に意思表示をして契約を終了させます。意思表示の方法については後見開始前と同じです。
後見契約の解除は時期により違う

辞任許可の申立書は各家庭裁判所にて取得してください。

3.任意後見の終了登記を忘れずに

後見開始前・開始後を問わず、任意後見契約を解除した場合は、終了登記が必要となります。

任意後見契約を結んだ際は、公証人が代わりに登記手続きをしています。それに対して、解除した際は当事者が終了登記をします。

3-1.申立て先は東京法務局登録課

任意後見の登記申請手続は、東京法務局登録課のみで取り扱っています。
したがって、直接窓口で申請するか、郵送で申請することになります。

登記手数料は不要です。

窓口での取り扱い時間
8時30分~17時15分(12時~13時を含む)

郵送で申請する場合の送付先
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15九段第2合同庁舎
東京法務局民事行政部後見登録課

郵送してから約10日で手続きが完了します。
期間内に法務局から連絡が無ければ、問題なく手続きが終了したことになります。

3-2.添付書面はケースごとに違う

添付書面は3つのケースで違います。

①合意による解除の場合

公証人の認証を受けた書面の原本または認証ある謄本。

②一方からの解除の場合

  • 配達証明付き内容証明郵便の謄本
  • 配達証明書(はがき)

③後見開始後の解除の場合

  • ①または②の書面
  • 家庭裁判所の解除許可審判書の謄本
  • 審判の確定証明書

4.まとめ

任意後見契約の解除は、後見が開始する前なら一方からの意思表示で可能です。それに対して、後見が開始した後は、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要となります。

任意後見契約は元気なうちに結ぶので、どうしても早めに行動することになります。ですので、後になって事情が変わることも当然に考えられます。

後見開始前であれば契約を解除するのは簡単ですので、迷われていた人がいましたらご安心ください。

任意後見契約について疑問等がありましたら、お気軽にご相談ください。

任意後見契約は元気な間しか結べないので、後見に希望があれば早めにご利用ください。

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