事実婚の相続を知っておこう|財産を残す対策が必須となる

事実婚の配偶者は年数に関係なく、相続人になることができません。

それに対して、法律婚の配偶者は婚姻期間が1日でも相続人になります。

また、事実婚では父親と子どもの親子関係は、認知が無ければ発生しません。親子関係が発生していなければ、父親が亡くなっても子どもは相続人になりません。

事実婚では相続対策が必須となります。

今回の記事では、事実婚の相続について説明しているので、まだ相続対策が済んでいなければ参考にしてください。

1.法律上の配偶者が相続人となる

日本の法律では、生前の関係性とは無関係に相続人が決められます。

たとえ別居生活が何十年だろうと、法律上の配偶者は相続人となります。

(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法890条)

一方、事実婚の配偶者は相続人となりません。

1-1.事実婚の期間が何十年あっても相続人ではない

事実婚の期間が何十年あっても、事実婚の配偶者は相続人となりません。

なぜなら、日本の法律では婚姻の成立に届け出が必要だからです。

(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

出典:e-Govウェブサイト(民法739条)

つまり、婚姻届けを役所に提出しない限り、事実婚の配偶者が相続人となることはありません。

1-2.配偶者に財産を残すには対策が必要

法律婚の配偶者と違い、事実婚の配偶者に財産を残すには対策が必要です。

相続対策は複数あるので、2人で話し合って決めてください。

主な対策には以下があります。

  • 婚姻届けを提出する
  • 遺言書を書く
  • 生前贈与をする
  • 信託契約を結ぶ
  • 生命保険金の受取人にする

どの対策にもメリット・デメリットがあります。財産の内容や法定相続人の存在、2人の年齢や生活プランなどによって選びましょう。

 

2.子どもが父親の相続人になるには認知が必要

事実婚夫婦の間に子どもが生まれた場合、父親の相続には気を付けてください。

なぜなら、父親と生まれた子どもには、法律上の親子関係が無いからです。

(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

出典:e-Govウェブサイト(民法772条)

事実婚では婚姻中にならないので、父親の子どもにはならないのです。

法律上の親子関係を発生させるには、父親が認知をする必要があります。

2-1.認知しなければ法律上の親子ではない

父親が認知をすることにより、法律上の親子関係が発生します。

事実婚の子どもは認知が必要

子どもが認知されていないと、父親が亡くなっても相続人となりません。

ですので、まだ父親の認知が済んでいない場合は、必ず認知をしておいてください。

生前に認知する方法

生前の認知は本籍地(父親または子ども)の役所で、父親が認知届を出すことで手続きが完了します。

ただし、認知をするのに同意が必要な場合もあります。

(成年の子の認知)
第七百八十二条 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
(胎児又は死亡した子の認知)
第七百八十三条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。

出典:e-Govウェブサイト(民法782条・783条)
  • 子どもが成人なら本人の同意
  • 子どもが胎児なら母親の同意

上記の場合は認知をするのに同意が必要です。

死後に認知する方法

父親が亡くなるまでに認知が済んでいなくても、父親の死後3年間は認知が可能です。

子どもの住所地または亡くなった父親の最後の住所地を管轄する裁判所に、死後認知の訴えを申立ます。

死後認知が認められると、生まれたときに遡って父子関係が認められます。

2-2.母親は分娩の事実により認められる

事実婚夫婦の間に生まれた子どもであっても、母親と子どもの親子関係成立に認知は不要です。

 母と非嫡出子間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。

出典:最高裁判所判例集(昭和37年4月27日最高裁判所第二小法廷)

当然ですが、出産した人が母親です。

何もしなくても、子どもは母親の相続人となります。

 

3.遺言書は後回しにせず書いておきましょう

事実婚の場合は法律婚と違い、「若いからまだ大丈夫」という言葉は使えません。

なぜなら、遺言書を作成せずに亡くなってしまうと、事実婚の配偶者は相続できないからです。

事実婚と遺言書の作成は、セットで考える必要があります。

3-1.遺言書は法定相続人より優先される

正しい遺言書は法定相続人より優先されます。

遺言書とは本人の意思表示です。自分の財産を誰に残すかは本人が決めます。

亡くなった人の意思表示が遺言書

遺言書が無ければ、法律の定めに従って相続人が相続します。

ですので、財産を配偶者に残したいのであれば、必ず遺言書を書いておきましょう。

3-2.遺留分は子どもがいるなら気を付けよう

遺言書を作成する際に注意するのが、遺留分の存在です。

遺留分を分かりやすく説明するなら、相続人に保障された最低限の相続分です。

たとえ全財産を配偶者に遺贈しても、遺留分権利者は遺留分を請求することができます。

ただし、遺留分を請求できる相続人は限られます。

  • 法律婚の配偶者
  • 子ども
  • 直系尊属(両親など)

兄弟姉妹に遺留分はありません。

事実婚夫婦が遺留分に注意するケースは、別れた相手との間に子どもがいる場合や、直系尊属(両親など)が健在な場合などです。

遺留分の割合については、下記の記事で詳しく説明しています。

 

4.その他の相続に関すること

事実婚に関係する、その他の相続に関することです。

  • 生命保険金の受取人にすることもできる
  • 条件を満たせば遺族年金も受け取れる
  • 事実婚の配偶者も相続税の対象

4-1.生命保険金の受取人にすることもできる

事実婚の配偶者を生命保険金の受取人にすることもできます。

ただし、保険会社の定める条件を満たす必要があります。

  • 法律上の配偶者がいない
  • 同居している
  • 生計を同一にしている

保険会社によって条件が違うので、各保険会社にてお確かめください。

また、法律婚に比べて税制面ではデメリットがあるので、生命保険金の受取人にするなら気を付けてください。

4-2.条件を満たせば遺族年金を受け取れる

事実婚の配偶者も条件を満たせば、遺族年金を受け取ることができます。

ただし、法律婚の配偶者と違い、事実婚であることを証明しなければなりません。

日本年金機構が事実婚と認める要件は2つです。

  • 当事者間に夫婦関係を成立させる合意がある
  • 当事者間に夫婦関係と認められる事実関係がある

上記2つを証明するために、いろいろな書類を用意する必要があります。

詳しくは下記の記事をご確認ください。

4-3.事実婚の配偶者も相続税の対象

遺贈等により財産を承継すると、事実婚の配偶者も相続税の対象になります。

相続税で注意が必要な点は2つです。

  • 相続税は現金一括納付
  • 事実婚には相続税の優遇措置がない

①相続税は現金一括納付

相続税は亡くなってから10ヶ月以内に、現金一括納付です。

不動産を残してもらう場合は、相続税に充てる現金の用意も必要です。

②事実婚には相続税の優遇措置がない

法律婚の配偶者にはさまざまな優遇措置がありますが、事実婚の配偶者には適用されません。

特に不動産を遺贈する場合は、相続税が発生する可能性が高くなります。

詳細記事

事実婚の配偶者が財産を承継すると相続税の課税対象者となります。相続人でなくても遺贈や生命保険金等を受け取ることで、相続税を支払う可能性が発生します。事実婚は法律婚に比べて相続税では圧倒的に不利になっています。配偶者控除や特例[…]

 

5.さいごに

現在の法律では、事実婚の配偶者は相続人になりません。

たとえ何十年一緒に暮らしていても、相続人になることはありません。

また、父親と子どもの親子関係も、認知が無ければ発生しません。認知をしなければ父親が亡くなっても、子どもは相続人になりません。

事実婚では相続対策が必須になるので、後回しにせず2人で話し合っておきましょう。

まずは、相続の知識を得ることから始めてください。

事実婚では相続対策が必須となります。後回しにするメリットはありません。

みかち司法書士事務所は相続を専門にしております。相続に関するご相談をお待ちしております。有料相談を検討する

相続のご質問お待ちしています
📞06-6643-9269

業務時間8:00~20:00
司法書士の小嶋(こじま)が担当します

申込フォームは24時間対応ですのでご希望の時間をご記入ください。業務時間外であっても、できる限りご希望の時間にお電話をいたします。
申込フォーム入力はこちら

>相続専門の司法書士事務所

相続専門の司法書士事務所

相続に関する悩みや疑問があれば、お気軽にお問い合わせください。
遺言書に関すること。
相続登記に関すること。
相続手続に関すること。
相続放棄に関すること。
後見に関すること。
事実婚や同性カップルの相続対策。

CTR IMG