遺留分の割合を把握しておくことは、相続対策において重要となります。
遺留分は誰が相続人になるのかで全体割合が変わるのと、複数人存在する場合は法定相続分で案分します。
9つの組み合わせで割合計算をしていますので、相続対策する際の参考にしてみてください。
目次
1.財産全体に対する遺留分の割合
財産全体に対する遺留分の割合は、誰が相続人かによって2通りあります。
- 直系尊属だけの場合
- その他の場合
1-1.相続人が直系尊属だけの場合
直系尊属とは一般的に両親が該当します。
ただし、両親が亡くなっていても、祖父母が健在なら祖父母が該当します。
相続人が直系尊属だけの場合は、遺留分の割合は財産全体の3分の1です。相続人が直系尊属だけの場合のみなので、計算する前にご確認ください。
1-2.その他の場合
その他の相続人の場合は、遺留分の割合は財産全体の2分の1です。相続人が複数存在する場合は、2分の1を法定相続分で案分します。
具体的な割合は各項目でご確認ください。
2.配偶者だけなら2分の1
相続人が「配偶者のみ」と「配偶者と兄弟姉妹」の場合が該当します。
なぜなら、兄弟姉妹は相続人ですが、遺留分権利者ではないからです。
遺留分の割合は2分の1です。
あなたが配偶者で子どもがいなくて両親も亡くなっている場合は、基本的に遺留分は2分の1あると思ってください。
例外は、祖父母が健在な場合等ですが、可能性としては低いです。
3.配偶者と子ども
相続人が配偶者と子どもの場合。
遺留分は全体の2分の1です。2分の1を法定相続分で案分します。
3-1.配偶者と子ども1人
配偶者と子ども1人が相続人。
- 配偶者2分の1×法定相続分2分の1=4分の1
- 長男2分の1×法定相続分2分の1=4分の1
個別の遺留分はそれぞれ4分の1です。
3-2.配偶者と子ども2人
配偶者と子ども2人が相続人。
- 配偶者2分の1×法定相続分2分の1=4分の1
- 長男2分の1×法定相続分4分の1=8分の1
- 次男2分の1×法定相続分4分の1=8分の1
個別の遺留分は配偶者が4分の1、子どもがそれぞれ8分の1になります。
4.子どもだけ
相続人が子どもだけの場合。遺留分は全体の2分の1です。
4-1.子どもが2人
子ども2人が相続人。
- 子ども2分の1×法定相続分2分の1=4分の1
- 子ども2分の1×法定相続分2分の1=4分の1
個別の遺留分は、子どもがそれぞれ4分の1になります。
4-2.子どもの1人に代襲相続が発生
上記のケースで1人がすでに亡くなっていて、代襲相続(孫2人)が起きている場合。
個別の遺留分は子どもが4分の1、孫がそれぞれ8分の1になります。
関連記事を読む『遺留分が孫に発生するケースは2つある』
5.配偶者と直系尊属
相続人が配偶者と直系尊属の場合。遺留分は全体の2分の1です。
注意点は法定相続分の割合が違うので、案分する際に間違えないように気を付けましょう。
5-1.配偶者と両親
配偶者と両親が相続人の場合です。
- 配偶者2分の1×法定相続分3分の2=3分の1
- 父親2分の1×法定相続分6分の1=12分の1
- 母親2分の1×法定相続分6分の1=12分の1
個別の遺留分は配偶者が3分の1、両親がそれぞれ12分の1になります。
5-2.配偶者と父親(母親)
配偶者と直系尊属1人が相続人の場合です。
- 配偶者2分の1×法定相続分3分の2=3分の1
- 父親(母親)2分の1×法定相続分3分の1=6分の1
個別の遺留分は配偶者が3分の1、父親が6分の1になります。
6.直系尊属だけ
遺留分権利者が直系尊属だけの場合は、遺留分は財産全体の3分の1です。
関連記事を読む『遺留分は直系尊属にもあるので忘れずに確認しておこう』
6-1.直系尊属が1人
父親と母親のどちらかが相続人。
直系尊属が1人だけ相続人の場合は、遺留分は3分の1です。
6-2.直系尊属が2人
両親が相続人の場合。
- 父親3分の1×法定相続分2分の1=6分の1
- 母親3分の1×法定相続分2分の1=6分の1
個別の遺留分は、父母それぞれ6分の1です。
7.さいごに
遺留分の個別割合について円グラフで説明しました。
あなたの相続に該当するケースがありましたら、参考にしてみてください。
遺留分は残す側と残される側、どちらにとっても重要な要素です。相続対策を検討している場合には、必ず計算することになります。
相続対策について疑問や悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。