養子縁組の解消は時期により相続に与える影響が違う

養子縁組の解消
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養子縁組を結ぶことにより、養親が亡くなると養子が相続人になります。

では、養子縁組を解消すると相続はどうなるのでしょうか。解消する時期により、相続に与える影響が違います。

養子縁組を解消する前に、相続について確認しておいてください。

1.養子は実子と同じ扱い

養子縁組が成立すると、養子は実子と同じ扱いになります。

養子と実子の相続順位は同じ

相続順位も実子と同じく第1順位の相続人です。当然ですが、法定相続分も実子と養子に違いはありません。

養親が亡くなると養子は第1順位なので、確実に相続人となります。

では、養子縁組を解消すると、相続はどうなるかはご存知でしょうか。養子縁組を解消する時期により、相続に違いが生まれます。

  • 生前に解消する
  • 死後に解消する

2つの違いについて知っておいてください。

 

2.生前に解消すると相続は発生しない

養親と養子が亡くなる前に養子縁組を解消すると、2人の間に相続は発生しません。

なぜなら、養子縁組を解消すると、法律的な親子関係が消滅するからです。分かりやすく言えば、元の状態に戻るということです。

予定が変わり相続を発生させたくないのであれば、2人が生存している間に解消しておきましょう。

2-1.養子縁組の解消方法

生前に養子縁組を解消する方法は3つです。自由に選ぶのではなく順番に試すことになります。

  1. 協議離縁
  2. 調停離縁
  3. 判決離縁

①協議離縁

協議離縁とは、2人の話し合いにより養子縁組を解消することです。

問題なく話し合いが成立すれば、市役所等に離縁届を提出します。

②調停離縁

調停離縁とは、調停委員会の仲介を経て養子縁組を解消することです。

2人の話し合いで解決できなければ、家庭裁判所に離縁調停を申し立てることができます。調停委員が2人の間に入ることにより、離縁の成立を目指します。

調停で話し合いが成立した場合も、市役所等への離縁届は必要です。

③判決離縁

判決離縁とは、訴訟により養子縁組を解消することです。

家庭裁判所での離縁調停が不成立になった場合は、訴訟を提起して裁判で解消を目指します。

裁判で離縁が成立した場合も、市役所等への離縁届は必要です。

2-2.相続人の確認はしておこう

養子縁組を解消する場合は、相続人が誰になるのかを確認しておいてください。

  1. 子ども
  2. 親(直系尊属)
  3. 兄弟姉妹

養子縁組を解消しても、実子は相続人のままです。ただし、法定相続分に変更が生じます。

養子も実子もいなければ親(直系尊属)が相続人です。

親もすでに亡くなっていれば、兄弟姉妹が相続人となります。

養子縁組を解消することにより、法定相続分や法定相続人に変更が生じますので、必ず確認しておいてください。

 

3.死後に解消しても発生した相続に影響はない

養親または養子のどちらかが亡くなった後でも、養子縁組は解消することができます。

ただし、すでに発生した相続には影響がありません。

例えば、亡くなった養親に借金があったので、慌てて養子縁組を解消しても相続人であることに変わりはないです。

相続を放棄する場合は、3ヶ月以内に相続放棄の手続きを取ってください。

3-1.死後離縁は家庭裁判所の許可が必要

どちらかが亡くなった後に養子縁組を解消するには、家庭裁判所に申立てをして許可を得る必要があります。

手続き自体は複雑ではないのですが、相談を含めて何かあればご依頼ください。

3-2.代襲相続の発生を防ぐことはできる

養親が亡くなった後に養子縁組を解消しても、すでに発生した相続に影響はありません。

ですが、養親の親族が亡くなった際の代襲相続を防ぐことはできます。

代襲相続とは、本来は親が相続人になるはずだった相続について、代わりに子どもが相続人になることです。養子は実子と同じ扱いなので、代襲相続人にもなります。

養親が亡くなった後に養子縁組を解消しておけば、その後に起こる代襲相続は防げます。

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4.さいごに

養子縁組は解消する時期により相続に違いが生じます。

生前に解消すれば相続は発生しません。養子縁組前の状態に戻るだけです。

それに対して、死後に解消しても、すでに発生した相続に影響はありません。

養子縁組を解消する場合は、その後の相続関係がどうなるのかを確認しておいてください。