相続放棄は葬儀代を支払っても認められるのか?

亡くなった人に借金があるので相続放棄を検討しているが、葬儀費用を支払ってもいいのか不安になり調べている人は多いです。

「葬儀代を支払っても相続放棄はできるのか」

「葬儀費用は誰の財産で支払うのか」

上記のような質問は頻繁に受けています。

実務上では、相続財産から葬儀費用を支払っても、相続放棄は認められています。

ただし、すべてのケースで確実に認められる保障はありません。

今回の記事では、相続放棄と葬儀費用について説明しているので、相続放棄をする際の参考にしてください。

1.相続財産から葬儀費用を支払っても相続放棄できるのか?

相続財産から葬儀費用を支払った場合、相続放棄できるのか調べている人は多いです。

結論から言えば、相続放棄は認められています。

ただし、葬儀費用が常識の範囲内ならという条件付きです。

1-1.葬儀費用が常識の範囲内なら相続放棄は受理されている

葬儀費用について弁護士や司法書士に尋ねた場合、常識の範囲内なら認めれる可能性が有ると答えるはずです。

実際、葬儀費用が常識の範囲内なら、相続放棄の申述は受理されています。

ただし、常識の範囲内という言葉で迷われる人もいます。

常識の範囲内では明確な金額が分からないと思うので、私はできるだけ低い金額と伝えています。インターネットで検索して相場よりも低い葬儀会社に頼めば、常識の範囲を超えることはないでしょう。

ちなみに、葬儀代の領収書等は必ず保管しておいてください。家庭裁判所に提出する可能性があります。

1-2.葬儀費用を相続財産から積極的に支払うのはお勧めしない

実務上は相続財産から葬儀費用を支払っても、相続放棄は認められています。

ですが、葬儀費用を相続財産から積極的に支払うのは止めておきましょう。

すでに支払っているなら別ですが、わざわざリスクを冒してまで葬儀費用を相続財産から支払うのはお勧めしません。

なぜなら、専門家(私も含めて)は過去の裁判例や経験則で判断しているだけです。

新しい裁判例が発生すると専門家の意見も変わります。絶対に大丈夫という保証があるわけではありません。

 

2.相続放棄と葬儀費用についての裁判例

葬儀費用を支払っても相続放棄が認められるという法律の条文はありません。

相続放棄と葬儀費用に関しては、過去の裁判例を元に判断しています。

相続放棄と葬儀費用については、以下の裁判例があります。

葬儀は、人生最後の儀式として執り行われるものであり、社会的儀式として必要性が高いものである。そして、その時期を予想することは困難であり、葬儀を執り行うためには、必ず相当額の支出を伴うものである。これらの点からすれば、被相続人に相続財産があるときは、それをもって被相続人の葬儀費用に充当しても社会的見地から不当なものとはいえない。また、相続財産があるにもかかわらず、これを使用することが許されず、相続人らに資力がないため被相続人の葬儀を執り行うことができないとすれば、むしろ非常識な結果といわざるを得ないものである。
したがって、相続財産から葬儀費用を支出する行為は、法定単純承認たる「相続財産の処分」(民法921条1号)には当たらないというべきである。

判例:大阪高裁平成14年7月3日決定 家庭裁判月報55巻1号82頁

上記の裁判では、相続財産から葬儀費用を支払っても、相続財産の処分(単純承認)には該当しないという結論でした。

ただし、すべてのケースで同じように認められるとは限りません。亡くなった人の財産や葬儀費用の金額等も関係するでしょう。

当然ですが、今後新しい裁判例が生まれる可能性はあります。

 

3.安全に相続放棄するなら自分のお金で葬儀代を支払う

自分のお金で葬儀代を支払っているなら、相続放棄と葬儀費用の関係で悩む必要がありません。

なぜなら、亡くなった人の財産は消費していないですし、葬儀代は誰が支払っても良いからです。

3-1.自分のお金で葬儀代を支払っても単純承認ではない

相続財産を処分すると単純承認とみなされます。相続放棄をするのであれば、一番気を付けるポイントとなります。

法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法921条)

当然ですが、葬儀代を自分のお金で支払っても、相続財産を処分(単純承認)したことにはなりません。

年間20万人以上の相続人が相続放棄をしていますが、ほとんどのケースでは自分の財産から葬儀代を支払っているはずです。

3-2.葬儀費用は相続人以外が支払ってもいい

葬儀費用を誰が支払うかについて、法律上の決まりはありません。一般的には喪主が支払っているケースが多いです。

つまり、相続人だから支払うのではなく、喪主として支払っているだけです。相続放棄をすると初めから相続人ではないとみなされますが、相続人以外が喪主になって葬儀をすることに問題はありません。

喪主として葬儀費用を自分のお金で支払っても、相続放棄には影響しません。

 

4.相続放棄しても香典は受け取って大丈夫

葬儀費用に関係する金銭に、葬儀費用の給付金や香典があります。

葬儀費用の給付金とは葬祭費や埋葬料等のことです。いずれも喪主に支払われる金銭であり相続財産ではありません。

香典は喪主への贈与と考えられているので、相続人として受け取るわけではないです。

ですので、相続放棄しても香典は受け取って問題ありません。

相続放棄をしても受け取れる財産は複数ありますので、下記の記事も参考にしてください。

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相続放棄しても受け取れる財産

 

5.相続放棄申述書に葬儀費用の支払いを記載

亡くなった人の財産から葬儀費用を支払った場合、相続放棄申述書の相続財産を記載する欄に書いておきます。

下記は相続放棄申述書の2枚目です。右下に相続財産を記入する場所があります。

相続放棄申述書に葬儀費用記載

例えば、亡くなった人の預貯金が50万円で、葬儀費用に30万円支払った場合です。

現金預貯金に50(万円)と記載して、下の空いている場所に「預貯金より葬儀費用を支払いました」などと記載します。

後日、家庭裁判所より葬儀費用の領収書を求められることもあるので、領収書は失くさないように保管しておいてください。

 

6.相続放棄の照会書(回答書)への葬儀費用の書き方

相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出すると、照会書(回答書)が届くこともあります。

相続放棄の照会書とは、家庭裁判所からの質問状のようなものです。
※返送する書面を回答書といいます。

質問の内容は難しくありませんが、「相続財産の支払い」に関する質問には注意が必要です。

以下は、相続放棄の照会書の例です。

照会事項

(省略)

あなたは、被相続人の遺産を処分したり、消費したり、隠したことがありますか。

ない。

ある。(              )

相続財産から葬儀費用を支払っている場合は、「葬儀費用に〇〇万円支払った」と記入し領収書を添付して返送してください。

もし回答書に葬儀費用の支払いを記入しないと、家庭裁判所に対して虚偽の申述をしたことになります。

 

7.さいごに

葬儀費用を支払うと相続放棄はどうなるのかと、不安に思われて調べている人は多いです。

実務上では、相続財産から葬儀費用を支払っても、相続放棄は認められています。

ただし、すべてのケースで認められる保障はないので、どうしても相続財産から支払う場合は、必要最低限の金額に抑えて領収書を保管しておきましょう。

確実に言えるのは自分の財産から葬儀代を支払っても、相続放棄とは無関係なので問題ありません。

すでに相続財産から葬儀費用を支払っていても、相続放棄を諦める必要はありません。

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