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相続放棄をしても受け取れるものがある【固有の権利】

相続放棄しても受け取れる財産
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相続放棄をしても受け取れる財産があるのは、ご存知でしょうか。

相続放棄を検討されている人でも、受け取れる財産を知らない人は多いです。

相続放棄をすると相続財産を受け取ることはできません。

ですが、相続財産以外は受け取ることができます。

今回の記事では、相続放棄をしても受け取れるものについて説明しているので、忘れずに受け取ってください。

1.生命保険金は受取人で判断する

相続放棄しても受け取れるもの1つ目は、生命保険金です。

「相続放棄をしても生命保険金は受け取っても大丈夫ですか?」

実際の相談でもよく質問されます。

生命保険金に関しては、受取人が誰であるかで答えが変わります。

1-1.受取人が本人(相続放棄する人)なら受け取れる

生命保険金の受取人が本人(相続放棄する人)なら、相続放棄とは関係なく受け取ることができます。

なぜなら、生命保険金を受け取る権利は本人固有の権利だからです。

生命保険金は受取人の財産

相続人として受け取るのではなく、本人の権利として受け取ります。

ですので、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることができます。

関連記事を読む相続放棄をしても生命保険金は原則として受け取れる

1-2.受取人が亡くなった人なら受け取れない

生命保険金の受取人が亡くなった人なら、相続放棄をすると受け取ることはできません。

なぜなら、受取人の権利は相続人が引き継ぐからです。

生命保険金の請求権も引き継ぐ

相続放棄をすると相続人ではないので受け取ることができません。

亡くなった人が受け取る生命保険金があるなら、負債額と比較して相続放棄を検討してください。

 

2.葬祭費・埋葬料は喪主が受け取れる

相続放棄しても受け取れるもの2つ目は、葬祭費・埋葬料です。

一番よく聞かれる質問が「役所から5万円貰えるんですが、受け取っても大丈夫ですか?」になります。

亡くなった人が健康保険に加入していると、葬祭費・埋葬料を受け取ることができます。

第五十八条 市町村及び組合は、被保険者の出産及び死亡に関しては、条例又は規約の定めるところにより、出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給若しくは葬祭の給付を行うものとする。ただし、特別の理由があるときは、その全部又は一部を行わないことができる。

出典:e-Govウェブサイト(国民健康保険法58条)

葬祭費・埋葬料の受取人は葬儀をした人(喪主)です。相続人であるかは関係ありません。

2-1.国民健康保険なら葬祭費が受け取れる

亡くなった人が国民健康保険に加入してたなら葬祭費です。

市役所等で保険証を返還する際に、窓口で葬祭費についても確認してみてください。

各自治体により金額は違いますが、5万円が一番多いです。

2-2.社会保険等なら埋葬料が受け取れる

亡くなった人が社会保険等に加入したなら埋葬料です。

埋葬料については各保険組合等にお問い合わせください。

 

3.未支給年金は生計同一者が受け取れる

相続放棄しても受け取れるもの3つ目は、未支給年金です。

未支給年金とは死亡日までに発生していた年金で、支給前に被相続人が亡くなっていると発生します。

未支給年金の受取人は法律で決まっているので、相続人が受け取るわけではありません。

3-1.未支給年金の受取順位は決まっている

未支給年金を受け取れるのは、亡くなった人と生計を同一としていた人です。

(未支給年金)
第十九条 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
4 未支給の年金を受けるべき者の順位は、政令で定める。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法19条)

未支給年金の受取順位も決まっています。

(未支給の年金を受けるべき者の順位)
第四条の三の二 法第十九条第四項に規定する未支給の年金を受けるべき者の順位は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族の順序とする。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法施行令4条の3の2)

上記を並べると以下になります。

  1. 配偶者
  2. 子ども
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹
  6. その他(3親等内の親族)

同順位の人が複数存在する場合は人数で割ります。

3-2.年金を受給していた場合は必ず発生する

亡くなった人が年金を受給していた場合、未支給年金は必ず発生します。

なぜなら、年金は偶数月に前2ヶ月を支払うので、亡くなった月の分は必ず未支給になるからです。
※年金は死亡月まで発生。

例えば、4月20日に亡くなったとします。4月15日に2月分と3月分は支払われていますが、亡くなった4月分は未支給となります。
*偶数月の15日が支給日。

亡くなった人が年金を受給していたなら、年金事務所に連絡して未支給年金の手続きをしてください。

 

4.遺族年金等は遺族が受け取れる

相続放棄しても受け取れるもの4つ目は、遺族年金等です。

遺族年金や死亡一時金を受け取るのは相続人ではなく遺族です。

遺族年金等は法律で受取人が決まっているので、相続放棄をしても受け取ることができます。

主に以下の年金が該当します。

  • 遺族基礎年金
  • 遺族厚生年金
  • 死亡一時金
  • 寡婦年金

詳しい支給条件等は社会保険労務士等にご確認ください。

 

5.死亡退職金は規定により結論が違う

相続放棄しても受け取れるもの5つ目は、死亡退職金です。

亡くなった人の死亡退職金を受け取れるかは、退職金支給規定等で受取人を定めているかで結論が違います。

5-1.社内規定等で受取人を定めているなら受け取れる

退職金支給規定等で受取人を定めているなら、受取人固有の権利として受け取ります。

一般的には、配偶者が受け取れるようにしている規定が多いです。

5-2.社内規定等に定めがないなら受け取れない

社内規定等で特に受取人を指定していなければ、退職金は相続財産となります。

したがって、相続放棄をするなら受け取ることはできません。

 

6.祭祀財産を受け継ぐのは祭祀承継者

相続放棄しても受け取れるもの6つ目は、祭祀財産です。

祭祀財産
祖先を祀るための財産

祭祀財産は相続財産ではないので相続放棄とは無関係です。祭祀財産を受け継ぐのは祭祀承継者となります。

祭祀財産を引き継ぐのは祭祀承継者

祭祀承継者は亡くなった人の指定や慣習に従い決めます。

以下が主な祭祀財産です。

  • お墓
  • 仏壇
  • 位牌
  • 遺骨
  • 家系図

相続放棄をしても仏壇や位牌は受け取れますので大丈夫です。

 

7.お香典やご霊前は葬儀主宰者が受け取る

相続放棄しても受け取れるもの7つ目は、お香典やご霊前です。

亡くなった人の葬儀を誰がするかは自由なので、相続放棄をした人が葬儀を主宰しても大丈夫です。

相続放棄した人が喪主となって葬儀を執り行った際の、香典や霊前は相続財産ではありません。

香典や霊前は参列者から葬儀主宰者への贈与と判断されるので、相続放棄とは関係ありません。

 

8.さいごに

相続放棄をすると相続人ではありません。

そのため、相続財産を受け取ることはできません。

ただし、相続放棄をしても、相続財産以外は受け取ることができます。

  • 生命保険金
  • 葬祭費・埋葬料
  • 未支給年金

受け取れる財産に共通するのは、固有の権利や法律で受取人が決まっているということです。

相続するわけではないので相続放棄をしても関係ありません。

相続放棄を検討しているなら、受け取れる財産についても確認しておいてください。