相続放棄の申述書を提出して安心していたら、見知らぬ固定電話(家庭裁判所)から着信があり驚いていませんか。
あるいは、電話に出れなかったことで、相続放棄が却下されるのではないかと、不安に思っていませんか。
結論から言えば、家庭裁判所からの電話は、相続放棄に関する簡単な確認(連絡)です。書面よりも電話の方が早いので、家庭裁判所によっては電話で済ませます。
今回の記事では、相続放棄と家庭裁判所からの電話について説明しているので、相続放棄する際の参考にしてください。
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1.裁判所からの電話は相続放棄に関する確認
相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出後、家庭裁判所から電話がかかってくる場合もあります。
あくまでも、私の経験ですが、電話の内容は相続放棄に関する確認(連絡)がほとんどです。
- 照会書を省略するため電話で確認
- 足りない戸籍謄本を電話で連絡
- 直系尊属(祖父母)の死亡を電話で確認
- 申述書の不備を電話で連絡
それぞれ説明していきます。
1-1.照会書(回答書)を省略するため電話をかける
家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出すると、照会書(回答書)が自宅に届きます。申述人の意思で相続放棄しているかや、相続財産を消費していないか確認するためです。
※省略するケースもあり。
ただし、書面ではなく電話で確認する家庭裁判所も存在します。電話で確認できれば照会書は省略です。
電話で確認できない場合は、原則どおり照会書を送ってきます。
関連記事を読む『相続放棄の照会書(回答書)を記入する際のポイントは3つ』
1-2.足りない戸籍謄本を電話で教えてくれる
直系尊属(第2順位)や兄弟姉妹(第3順位)が相続放棄申述書を提出すると、添付している戸籍謄本が足りない場合もあります。
家庭裁判所は戸籍謄本が足りなくても却下するのではなく、申述人(本人)に足りない戸籍謄本を教えてくれます。
家庭裁判所により違いますが、電話で足りない戸籍謄本を教えるケースが多いです。
ちなみに、足りない戸籍謄本を追加で提出すれば、相続放棄に影響はないので安心してください。
関連記事を読む『相続放棄に必要な戸籍謄本等|取得枚数は相続人ごとに違う』
1-3.直系尊属(祖父母)の死亡を電話で確認
兄弟姉妹(第3順位)が相続放棄する場合、両親の死亡を提出する戸籍謄本で証明します。
※両親が相続放棄した場合を除く。
ただし、両親の生年によっては、両親だけでなく祖父母の死亡も証明する必要があります。祖父母も直系尊属なので、健在であれば先順位相続人になるからです。
通常は、祖父母の死亡が記載された戸籍謄本を提出します。ですが、電話で申述人(本人)に祖父母の死亡を確認して、戸籍謄本の提出を省略する家庭裁判所もあります。
兄弟姉妹が相続放棄するなら、祖父母の死亡も確認しておきましょう。
関連記事を読む『祖父母も相続放棄が必要になる【直系尊属の相続放棄】』
1-4.相続放棄申述書の不備を電話で連絡
家庭裁判所に提出した相続放棄申述書に不備があれば、電話で連絡してくる家庭裁判所もあります。
※書面で連絡する家庭裁判所もある。
本籍地の記載を間違えている、戸籍上の漢字で記載されていない、死亡日を間違えている等です。
上記のような不備があっても、すぐに却下されるわけではなく、不備の補正(訂正)を指示してくれます。不備を補正すれば大丈夫です。
ちなみに、相続放棄の申述書を提出する前に、コピーを取って手元に残しておきましょう。家庭裁判所から指摘されたときに、自分が作成した申述書を確認できます。
注意不備を補正せずに放置していると、最終的に相続放棄は却下されます。
2.裁判所からの電話に出なければ相続放棄はどうなる?
家庭裁判所からの電話に出れなかった人が、一番心配なのは相続放棄が却下されるのかでしょう。
あくまでも、私の経験になりますが、電話だけを理由に相続放棄は却下しないはずです。
※却下された事例を知りません。
2-1.電話を理由に相続放棄を却下する可能性は低い
家庭裁判所からの電話に出なかっただけで、相続放棄を却下する可能性は限りなく低いでしょう。
なぜなら、家庭裁判所からの電話は平日の昼間なので、仕事などを理由に出れない人もいるからです。
電話に出れなかった場合、以下の3つが考えられます。
- 家庭裁判所から再度電話
- 申述人から電話を折り返す
- 電話ではなく書面で連絡
家庭裁判所から再度電話がある
家庭裁判所からの電話に出れなかった場合、再度電話をかけてくる可能性は高いです。
ただし、何回電話をかけるかは家庭裁判所により違うので、電話は1回と決めているかもしれません。
本人(申述人)から電話をを折り返す
平日の昼間に電話を折り返せるなら、空いている時間に電話しましょう。
ただし、相続放棄の担当が電話に出れない可能性もあるので、折り返しても繋がる保障はありません。
電話ではなく書面で連絡してくる
家庭裁判所は何かを確認したくて連絡しているので、電話に出れなければ書面で連絡してきます。
書面が届いた場合は内容を確認して、返送期日までに返送してください。
2-2.電話が無理なら家族や専門家に折り返してもらう
平日の昼間に電話するのが難しいなら、家族や専門家(依頼している場合)に折り返してもらい、電話の内容を確認してもらいましょう。
私が過去に電話した家庭裁判所は内容を教えてくれました。
私が内容を聞いたうえで、本人(申述人)に折り返してもらったケースや、私が電話で家庭裁判所に伝えたケースもあります。
ただし、どのような対応をするかは家庭裁判所によって違うので、折り返してもらう場合は注意してください。
3.相続放棄の回答書を返送後に電話がきた
家庭裁判所から郵送された回答書を返送後に、電話がかかってくることもあります。
おそらく、回答書の内容に関する確認です。
- 回答書に記入漏れがある
- 相続放棄の申述書と回答書に押印した印鑑が違う
- 相続放棄の申述書と回答書の内容が違う
回答書に関する確認ができなければ、相続放棄は受理されない可能性が高いです。
自分で電話をかけ直すか、家族や専門家にかけ直してもらって、電話の内容を確認してください。
4.さいごに
今回の記事では「相続放棄と家庭裁判所からの電話」について説明しました。
相続放棄の申述書を提出すると、家庭裁判所から電話がかかってくることもあります。
ほとんどの場合は、相続放棄に関する簡単な確認(連絡)です。
- 照会書を省略するための確認
- 足りない戸籍謄本を教えてくれる
- 直系尊属(祖父母)の死亡を確認
電話に出れるなら問題ないですが、仕事などが原因で電話に出れない人もいます。
ただし、電話に出れないだけで、相続放棄が却下される可能性は限りなく低いです。通常は、電話を諦めて書面での確認に切り替えます。
昼間に折り返し電話するのが難しいなら、家族や専門家に電話してもらう方法もあります。家庭裁判所によっては対応してくれるので、電話が難しいなら検討してみましょう。