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相続放棄は公共料金を解約・支払いしても可能なのか?

相続放棄と公共料金
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相続放棄を検討している人にとって、公共料金の存在は悩みの種です。

「解約しても大丈夫なのか?」

「支払っても問題ないのか?」

不安になり相続放棄の手続きが進まない人もいます。あるいは、すでに解約や支払いをしてしまい、後悔しているかもしれません。

今回の記事では、相続放棄と公共料金の関係について説明しているので、悩みを解決する参考にしてください。

目次

1.公共料金(未払分や滞納分)も相続の対象

公共料金の未払分や滞納分も負債として相続

公共料金の未払分や滞納分も、負債として相続の対象になります。

公共料金
  • 電気
  • ガス
  • 水道
公共料金の未払分

相続発生時に支払日が到達していない

公共料金の滞納分

相続発生時に支払日を経過している

相続放棄する場合は、相続財産を一切引き継がないので、負債(公共料金)も相続しません。

ただし、相続人が気にするのは、公共料金の相続ではなく解約や支払いの部分です。

  • 公共料金を解約しても相続放棄できるのか?
  • 公共料金を支払っても相続放棄できるのか?

上記の疑問については、電話やLINEでも多くの相談を受けています。

次章からは、解約や支払いについて説明していきます。

2.公共料金を解約しても相続放棄できるのか

公共料金の解約は保存行為または処分行為どちらに該当するのか

公共料金を解約しても相続放棄できるかは、保存行為または処分行為のどちらに該当するかで結論が違います。

  • 保存行為|相続放棄できる
  • 処分行為|相続放棄できない

専門家によって考えが違うので、結論も違います。

2-1.解約が保存行為に該当するなら問題無い

公共料金の解約が保存行為に該当するなら、相続放棄は問題なく認められます。

保存行為

財産の現状を維持する行為

以下は、民法の条文です。

(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
(後略)
出典:e-Govウェブサイト(民法921条1項)

相続人が保存行為をしても、単純承認とはみなされません。

以下は、公共料金の解約を保存行為と考える理由です。
※他の考え方もあります。

電気・ガス・水道を解約せずに放置していると、基本料金(負債)が発生します。

余計な負債を増やさないために解約するので、保存行為に該当するという考えです。

ネット上で調べる限りですが、保存行為と考える専門家が多いと感じました。

2-2.解約が処分行為に該当するなら単純承認

専門家の中には、公共料金の解約が処分行為と考える人もいます。
可能性がゼロではないという意味。

もし解約が処分行為に該当するなら、単純承認とみなされるので、相続放棄は認められません。

解約手続きに関わらないで済むなら、無関係でいた方が安全です。

3.公共料金を支払っても相続放棄できるのか

相続放棄するなら公共料金の支払いには注意

公共料金を支払っても相続放棄できるかは、誰の財産で支払ったかにより結論が違います。

  • 自分の財産|相続放棄できる
  • 相続財産 |相続放棄できない

それぞれ簡単に説明していきます。

3-1.自分の財産で支払うなら相続放棄に影響なし

相続放棄するなら公共料金を支払う義務はありませんが、親族として支払いたい人もいます。

もし公共料金の支払いをするなら、自分の財産(相続財産以外)で支払ってください。

なぜなら、自分の財産で支払うのであれば、相続財産の処分とは無関係だからです。

自分の財産で第三者(被相続人)の負債を支払っても、相続放棄に影響ありません。

3-2.相続財産で支払うと単純承認の可能性

亡くなった人の財産(相続財産)から公共料金を支払うと、処分行為に該当すると考えられます。

たとえ支払いが少額であっても、法定単純承認に該当すると相続放棄できません。

相続放棄すると公共料金とは無関係なので、相続財産から支払うのは止めておきましょう。

4.相続放棄しても公共料金を支払うケース

相続放棄しても公共料金を支払うケースがある

相続放棄により公共料金とは無関係になります。

ただし、特定のケースでは、負債(未払い・滞納)を支払う必要があります。

4-1.不動産に住み続けるなら清算しておく

一般的に、亡くなった人と同居していた人が、相続放棄後も同じ不動産に住むことは少ないです。

ただし、以下のようなケースも考えられます。

  • 親族の不動産に住んでいる
  • 同じ賃貸不動産を改めて借りる

相続放棄した後も同じ不動産に住むのであれば、公共料金を清算しておきましょう。

間違って相続財産から支払わないように注意してください。

注意公共料金の契約者名義は変更してください。

4-2.配偶者は日常家事債務として責任が残る

配偶者は相続放棄しても日常家事債務として公共料金を支払う

相続放棄すると亡くなった人の負債は引き継ぎません。

ただし、配偶者は公共料金について、日常家事債務として連帯責任を負っています。

以下は、民法の条文です。

(日常の家事に関する債務の連帯責任)
第七百六十一条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
出典:e-Govウェブサイト(民法761条)

亡くなった人の配偶者に関しては、自分の負債(連帯責任)として公共料金を支払う必要があります。

5.賃貸物件や携帯も公共料金と同じ考え方

亡くなった人が契約していた賃貸物件や携帯も、公共料金と同じ考え方になります。

契約の解約が保存行為であれば、相続放棄には影響しません。一方、処分行為と判断されると、相続放棄は認められません。

また、未払分や滞納分を支払うなら、自分の財産から支払ってください。相続財産から支払うと、処分行為と判断される可能性が高くなります。

公共料金と同じく関わらなくて済むなら、賃貸物件や携帯の解約にも関わらない方が安全です。

6.まとめ

今回の記事では「相続放棄と公共料金」について説明しました。

亡くなった人が契約していた公共料金(未払分や滞納分)も、相続債務として相続の対象となります。

ただし、相続放棄すれば引き継がない点は、その他の債務と同じです。

公共料金の解約は、保存行為または処分行為のどちらに該当するかで、相続放棄への影響が違います。保存行為であれば無関係ですが、処分行為なら単純承認とみなされます。

公共料金の未払分や滞納分を支払うなら、自分の財産から支払ってください。相続財産から支払うと、処分行為と判断される可能性があります。

相続放棄するなら公共料金に関わらない方が安全です。やむを得ず関わる場合は、今回の記事を参考にしてください。

相続放棄と公共料金に関するQ&A

すでに公共料金を解約しています。相続放棄は無理でしょうか?

気にせず相続放棄してください。

相続財産から支払ってしまいました。相続放棄は無理でしょうか?

諦めるには早いので専門家に相談してください。

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