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親族が孤独死すると相続放棄も検討【原状回復費用が高額!】

孤独死と相続放棄
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親族が孤独死したとの連絡が届いたら、慌てずに相続放棄が必要か検討してください。

賃借人が孤独死すると、不動産の原状回復費用が高額になりやすいからです。賃借人の地位も相続されるので、原状回復費用も相続人が支払います。

相続放棄すると賃借人の地位も相続しないので、原状回復費用を支払う必要がありません。

ただし、相続人が連帯保証人になっていると、相続放棄しても費用は請求されます。相続放棄と連帯保証契約は別問題です。

今回の記事では、孤独死と相続放棄について説明しているので、相続放棄する際の参考にしてください。

1.賃借人が孤独死すると相続人に費用請求

不動産の賃借人が孤独死すると、不動産に関する費用は相続人が請求されます。

なぜかというと、不動産の賃貸借契約は賃借人の死亡では終了せず、賃借人の地位も相続人が相続するからです。亡くなった賃借人が親族と疎遠であっても、法律上は関係ありません。

不動産管理会社(弁護士)から書面が届いたときは、関係ないと無視するのではなく、相続または相続放棄の判断をしてください。

相続放棄は相続の開始を知った日から3ヶ月以内なので、書面を無視していると期間経過により相続放棄できなくなります。

 

2.孤独死による退去費用が原因で相続放棄

孤独死による不動産の退去費用が原因で、相続人が相続放棄することは珍しくありません。

一般的に、疎遠だった親族が孤独死すると、不動産管理会社(弁護士)から相続人に費用請求の書面が届きます。

請求書面を読めば分かりますが、あなたが想像する以上の金額が記載されています。

請求金額が高額になる原因は、以下の2つです。

  • 滞納家賃
  • 原状回復費用

それぞれ説明していきます。

2-1.賃借人の滞納家賃は負債として相続財産

賃借人の滞納家賃は負債として相続財産になります。亡くなる直前の1~2ヶ月は、家賃を滞納していることが多いです。

また、生前の滞納家賃だけでなく、賃貸借契約を解約するまでの期間も滞納家賃として請求されます。

相続人が請求される滞納家賃は2種類

家賃の支払いが口座引き落としで、かつ、亡くなった人の口座に残高がある場合以外は、家賃を滞納している可能性が高いです。

2-2.孤独死による原状回復費用は高額になりやすい

賃貸借契約を終了させる場合、賃借人(相続人)は不動産を現状に戻す義務があります。

以下は、民法の条文です。

(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法621条)

普通に賃貸借契約を解約するだけなら、原状回復費用が問題になることは少ないでしょう。

しかし、賃借人が孤独死すると、原状回復費用が高額になりやすいです。

  • 死因が自死
  • 遺体発見までの時間
    ※季節も関係
  • ペットの存在

それぞれ説明していきます。

賃借人が自死すると原状回復費用が増える

孤独死の原因が自死だと、不動産の原状回復費用は高くなります。

また、賃借人が自死すると、その後の賃貸借に影響がでるので、損害賠償請求される可能性もあります。

遺体発見までの時間が長い(季節も関係)

孤独死した人が発見されるまでの期間が長いと、原状回復費用は高額になります。

なぜなら、発見が遅れると死臭(腐敗臭)が部屋に染み付くからです。

部屋に染み付いた臭いは、特殊清掃でなければ除去できません。特殊清掃の費用は業者により違いますが、100万円から200万円請求される可能性が高いです。

賃借人がペットを飼っている

孤独死した人がペットを飼っていると、遺体発見までの間にペットが原因で部屋が損傷します。

簡単に言えば、ペットの糞尿で壁や床が汚れます。ペットの世話をする人がいないので、防ぎようがありません。

 

3.連帯保証人は相続放棄しても退去費用を請求される

相続人が相続放棄すると、初めから相続人ではなかったとみなされます。孤独死した人の不動産退去費用を引き継ぐこともないです。

ただし、相続人が賃貸借契約の連帯保証人になっていると、相続放棄しても退去費用を請求されます。

相続放棄しても連帯保証人として請求される

相続人と連帯保証人は別なので、相続放棄しても連帯保証人としての責任は残るからです。

孤独死した人の連帯保証人になっているなら、相続放棄に関係なく不動産退去費用を請求されるので気を付けてください。

 

4.孤独死の連絡を受けたら自分の財産で支払っておく

孤独死したとの連絡を受け、相続放棄を検討する前に退去費用を支払うこともあります。

退去費用を自分の財産で支払っているなら、相続財産の消費には該当しません。退去費用を支払った後でも相続放棄は可能です。

一方、孤独死した人の財産で退去費用を支払うと、単純承認に該当する可能性があります。単純承認に該当すると相続放棄は認められないです。

相続放棄を検討する前に退去費用を支払うなら、とりあえず自分の財産で支払っておいた方が安全です。何も問題が無ければ、相続財産から退去費用を回収しましょう。

 

5.さいごに

今回の記事では「孤独死と相続放棄」について説明しました。

不動産の賃借人が孤独死すると、相続人に高額の請求書が届く可能性があります。亡くなった人と疎遠だと、請求書で死亡を知ることも多いです。

  • 滞納家賃
  • 原状回復費用

上記の中でも原状回復費用は高額になりやすいので、相続または相続放棄の判断は慎重にしてください。

退去費用を支払った後で相続放棄したくなった場合、自分の財産から退去費用を支払っているなら問題ありません。

相続放棄しても連帯保証人としての責任は残るので、あなたが連帯保証人になっているなら注意してください。