デザイン変更に伴い、表示が一部崩れています。

相続放棄は家の片付けをしても大丈夫?【3つのポイント】

相続放棄と家の片付け
  • URLをコピーしました!

家の片付けをすると、相続放棄できなくなると不安に思い調べている人もいます。

結論から言えば、家の片付けをしても相続放棄は認められる可能性が高いです。

主な理由は、以下の3つです。

  • 家の片付けは相続財産の処分に該当しない
  • 家の片付けは相続財産の保存行為に該当する
  • 家の片付けは相続財産の調査に含まれる

ただし、家の片付けとは、整理整頓やゴミの処分を対象にしています。家の取り壊しは対象外となります。

今回の記事では、相続放棄と家の片付けについて説明しているので、相続放棄の参考にしてください。

1.家の片付けは相続財産の処分に該当するのか?

相続放棄と家の片付け1つ目のポイントは、家の片付けは相続財産の処分に該当するのかです。

相続財産を処分すると、単純承認とみなされて相続放棄できなくなります。

(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。

出典:e-Govウェブサイト(民法921条1項)

相続人のする家の片付けが、相続財産の処分に該当するのか考えていきます。

1-1.家の片付けが整理整頓なら相続放棄できる

まず初めに、家の片付けの内容が整理整頓なら、相続財産の処分には該当しないでしょう。

なぜかというと、家の中を整えているだけで、何も処分していないからです。

相続財産を処分していない以上、家の片付けをしても単純承認に該当しないので相続放棄できます。

1-2.家の片付けをする際にゴミを処分している

家の片付けをする際に、不要なゴミを処分していても相続放棄はできます。

なぜなら、相続財産とは金銭的価値がある物であり、家の中にあるゴミは相続財産には該当しないからです。

また、家の中のゴミを処分したからといって、相続人が利益を得るわけでもありません。

したがって、家の片付けをする際に不要なゴミを処分しても、相続放棄することはできます。

 

2.家の片付けが保存行為なら相続放棄できる

相続放棄と家の片付け2つ目のポイントは、家の片付けは保存行為に該当するのかです。

家の片付けが保存行為に該当するなら、相続放棄することができます。

(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

出典:e-Govウェブサイト(民法921条1項但し書き)
保存行為
財産の価値を現状のまま維持する行為のこと

保存行為に該当する家の片付けには、以下の行為があります。

  • 冷蔵庫の中にある物を処分
  • 生ゴミ等の処分
  • 部屋の掃除
  • 庭の草むしり

上記以外の家の片付けであっても、保存行為に該当するなら問題なく相続放棄できます。

 

3.相続放棄前に相続財産を調査できる

相続放棄と家の片付け3つ目のポイントは、家の片付けは相続財産の調査に含まれるのかです。

当然ですが、相続人は相続放棄前に相続財産を調査することができます。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 (省略)
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

出典:e-Govウェブサイト(民法915条2項)

相続財産の調査をしたうえで、相続放棄の判断をすることが可能です。

そして、相続財産の調査には、家の片付けをすることも含まれると考えられます。

なぜなら、家の片付けをすることで、相続人が知らなかった預金通帳や債権者からの督促状等を見つける可能性があるからです。

実際、亡くなった人の書類等を整理していたら、借金の督促状を発見したという例はあります。

家の片付け(相続財産の調査)をしても、相続放棄はできるので安心してください。

 

4.家の取り壊しは片付けの範疇を超えている

家の片付けをしても、常識の範囲内であれば相続放棄できます。

ただし、家の取り壊しは片付けの範疇を超えているので、相続財産の処分に該当します。

人によっては、古い家を取り壊すのは片付けだと思うかもしれませんが、相続放棄するのであれば家の取り壊しは止めておきましょう。

あくまでも、家の片付けとは、家の中を整理整頓するイメージになります。

 

5.さいごに

一般的な家の片付けとしては、整理整頓とゴミの処分が考えられます。

そして、相続放棄は家の片付けをしても認められる可能性が高いです。

主な理由としては、以下の3つがあります。

  • 家の片付けは相続財産の処分に該当しない
  • 家の片付けは相続財産の保存行為に該当する
  • 家の片付けは相続財産の調査に含まれる

上記のどれに該当するかは、家の片付けの内容にもよるのですが、相続放棄が認められる点は同じです。

ただし、家を取り壊すのは片付けの範疇を超えているので、相続放棄できなくなります。

亡くなった人の相続放棄を検討しているなら、法定単純承認に該当しないように注意してください。