相続放棄の上申書は事例ごとに内容が違う|3つのケースを説明

相続放棄の上申書
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通常の相続放棄に上申書の添付は不要ですが、特別な事情が存在する場合は事情説明書として上申書を添付しています。

なぜなら、相続放棄の申述書と戸籍謄本等だけでは、家庭裁判所に特別な事情が伝わらないからです。

  • 死亡を知った日から3ヶ月経過している
  • 被相続人の住民票や戸籍附票が取得できない
  • 再転相続人が相続放棄する場合

あなたの相続放棄に特別な事情があるなら、上申書を作成して説明しましょう。

今回の記事では、相続放棄の上申書について説明しているので、相続放棄の参考にしてください。

記事作成者
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司法書士 小嶋高士
大阪司法書士会 第4921号

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目次

1.相続放棄に上申書を添付する3つのケース

相続放棄の申述に上申書を添付するケース

相続放棄の申述書に上申書(事情説明書)を添付するのは、特別な事情を家庭裁判所に説明しないと、相続放棄が受理されない場合です。

つまり、一般的な相続放棄に上申書は不要です。家庭裁判所のホームページを確認しても、上申書は添付書類となっていません。

私の経験上、特別な事情を説明するケースは主に3つあります。

  • 死亡を知った日から3ヶ月経過している
  • 被相続人の住民票や戸籍附票が取得できない
  • 再転相続人が相続放棄する場合

上記の相続放棄をする場合、私も事情説明書を添付して家庭裁判所に提出しています。

1-1.死亡を知った日から3ヶ月経過している

上申書を添付する1つ目のケースは、被相続人の死亡を知った日から3ヶ月経過しているです。
※先順位相続人が存在した場合は除く。

具体的には、被相続人の死亡は知っていたが、相続財産の存在に3ヶ月経過してから気付いた場合が該当します。


▼家族構成

被相続人|父親
相続人 |長男・二男

▼被相続人の死亡

死亡日 |1月13日
知った日|1月13日

▼相続財産

預貯金|数百円
負債 |50万円
※7月22日に知った

父親は1月13日に亡くなったが、相続財産は預貯金(数百円)だけだったので、特に何もしていなかった。

ところが、7月22日に督促状が届いて、負債(50万円)の存在に気付いた。


通常、被相続人の死亡を知っていれば、死亡を知った日から3ヶ月以内が相続放棄の期間です。

ただし、相続財産に気付けなかった理由がある場合は、相続財産に気付いた日から3ヶ月以内が相続放棄の期間になります。

例えば、以下のような理由が考えられます。

  • 被相続人から借金は無いと聞いていた
  • 被相続人と交流が無く生活状況を知らなかった
  • 不動産の名義が被相続人ではなかった

上申書に相続財産に気付けなかった理由を記載して、相続放棄の申述書と一緒に家庭裁判所に提出してください。

1-2.被相続人の住民票や戸籍附票が取得できない

上申書を添付する2つ目のケースは、被相続人の住民票や戸籍附票が取得できないです。

相続放棄をする場合、戸籍だけでなく被相続人の住民票(戸籍附票)も添付する必要があります。

なぜなら、相続放棄の管轄(被相続人の最後の住所地)を証明する必要があるからです。

ですが、被相続人の死亡日が何十年も前だと、住民票(戸籍の附票)の廃棄により取得できないケースがあります。
※法改正前は5年で廃棄されていた。


▼家族構成

被相続人|父親
相続人 |子ども

▼被相続人の死亡

死亡日 |平成18年2月16日
知った日|令和7年4月21日

父親と子に交流はなく、市役所から届いた固定資産に関する書面で父親の死亡を知った。

ただし、父親の死亡が平成18年だったので、住民票も戸籍附票も廃棄されていた。


実務上では、最後の住民票が取得できない場合、その他の書面で住所を証明するか、住所不詳で東京家庭裁判所に提出するかのどちらかです。

上申書に住民票(戸籍附票)が廃棄により取得できなかった点と、代わりの書面または住所不詳についても記載してください。

1-3.再転相続人が相続放棄する場合

上申書を添付する3つ目のケースは、再転相続人が相続放棄する場合です。

相続人が相続の開始を知った日から3ヶ月経過する前に亡くなった場合、相続人の相続人(再転相続人)は再転相続による相続放棄が可能です。
※相続の開始を知る前に亡くなった場合を含む。


▼家族構成

被相続人 |A
相続人  |B(Aの弟)
再転相続人|C(Bの子)

▼被相続人の死亡

Aの死亡日  |令和6年7月15日
Bの死亡日  |令和7年4月21日
※BはAの死亡を知らずに亡くなった
死亡を知った日|令和7年9月5日
※CがAの死亡を知った

AとBは絶縁状態であり、Aの死亡を知らないままBも亡くなった。

その後、Cに債権者からの書面が届き、Aの死亡を知った。

CはAの死亡を知った日から3ヶ月以内であれば、再転相続人としてAの相続放棄ができます。


再転相続人が相続放棄する場合、申述書と戸籍等だけでは、再転相続の事情が分かりません。

そのため、上申書に再転相続の事情を記載して、家庭裁判所に提出します。

2.相続放棄の上申書に書き方の決まりはない

相続放棄の上申書に書き方の決まりはない

相続放棄を自分でする場合は、上申書の作成も自分でする必要があります。
※専門家に依頼した場合は専門家が作成。

上申書の書き方に決まりはないのですが、アドバイスを3つお伝えします。

  • 必要な情報が書いてあれば問題ない
  • 感情的な表現は避けた方が良い
  • 不安があるなら専門家を頼る

それぞれ簡単に説明していきます。

2-1.必要な情報が書いてあれば問題ない

上申書に必要な情報が書いてあれば、専門家以外が作成しても問題ないです。

専門家以外が作成したという理由で、家庭裁判所は相続放棄を却下しません。
※必要な情報の記載が条件。

例えば、「上申書」という題名ではなく、「事情説明書」という題名でも、必要な情報が記載されていれば問題無いです。

上申書の作成が必要な相続放棄を専門家に依頼すると、報酬も高くなりやすいです。金銭的に無理があるなら、自分で作成しましょう。

2-2.感情的な表現や攻撃的な表現は使わない

相続放棄の上申書は、特別な事情説明のために添付します。

ですので、感情的な表現や攻撃的な表現は、使わない方が良いです。

「3ヶ月という法律を教えていない国が悪い」

「家庭裁判所が相続放棄について説明しなかった」

「借金を相続したら生きていけない」

上記の文言は、私が相談を受けたケースで実際に書かれていました。
※削除するようにアドバイス。

相続放棄に関する事情を説明するだけなので、不要な記載はする必要がありません。

2-3.作成に不安があるなら専門家を頼る

上申書の作成に不安があるなら、相続放棄を自分する場合でも専門家を頼って大丈夫です。

実際、当事務所にも上申書の相談だけしたいと電話がかかってきます。

相続人

自分で上申書を書いたのでチェックしてほしい

相続人

自分のケースなら上申書に何を書けば良いのか

答えれる範囲になりますが、できる限り答えるようにしています。
※詳細な情報が分からないと答えにくいです。

すべての専門家が対応するわけではありませんが、不安があるなら試しに電話してみましょう。

3.上申書を添付しないと相続放棄は却下されるのか?

相続放棄の上申書を添付しないと却下されるのか?

相続放棄の手続きを自分でする場合、上申書を作成しないと却下されるのか不安に思う方は多いです。

私の考えになりますが、上申書を添付せずに申述書を提出しても、それだけで却下される可能性は低いでしょう。

3-1.家庭裁判所が却下する可能性は低い

申述書を提出する際に上申書を添付しなくても、家庭裁判所が却下する可能性は低いと考える理由を説明します。

  • 裁判所のホームページに書いていない
  • 戸籍の不足分は追加の提出を求められる

一般の方が自分で手続きする場合、家庭裁判所のホームページを読んで必要書類を確認します。しかし、上申書はホームページに書かれていないので、添付せずに申述書を提出しても不思議はありません。

また、必要な戸籍が足りていなかった場合、家庭裁判所は不足分の提出を求めてきます。いきなり却下するような対応はしていません。上申書と戸籍で対応を分ける理由も特にないです。

上記のことから、上申書を添付していなくても、それだけでは却下しないと考えています。

3-2.特別な事情は照会書(回答書)で確認する

家庭裁判所は知りたいことがあれば、照会書(回答書)を送ってきます。

特別な事情についても照会書で確認できれば、相続放棄の申述は受理されます。
※相続放棄の要件を満たしていた場合。

相続放棄について家庭裁判所が知りたいことを書くという点で、上申書と照会書の役割は同じです。

ちなみに、上申書を添付して提出しても、家庭裁判所によっては照会書を送ってきます。同じ内容を書くかもしれませんが、忘れずに返送してください。

4.相続放棄の申述書に関するQ&A

相続放棄と上申書について、よくある質問と回答をまとめました。

上申書の書き方は家庭裁判所で教えてもらえますか?

教えてくれないです。書き方が分からない場合は、弁護士や司法書士に相談してください。

上申書の文章が下手でも大丈夫でしょうか?

大丈夫です。文章が下手でも、必要な情報が記載されていれば問題ありません。

上申書の作成が必要な場合、専門家の料金は増えますか?

事務所によって違います。当事務所は定額料金なので変わりません。

相続放棄のQ&Aについては、上記以外にもあるので参考にしてください。

5.まとめ

相続放棄の上申書に関するまとめ画像

今回の記事では「相続放棄の上申書」について説明しました。

通常の相続放棄では上申書は必要ありません。

ですが、相続放棄に関して特別な事情が存在する場合は、上申書を添付して提出します。

  • 死亡を知った日から3ヶ月経過している
  • 最後の住民票が廃棄され取得できない
  • 再転相続人による相続放棄

上申書は専門家以外が作成しても問題ありません。

もちろん、上申書の作成に不安があれば、専門家に依頼するでも大丈夫です。

相続放棄に上申書が必要な場合は、今回の記事を参考にしてください。

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