補助人とは|本人が同意した範囲内で援助する存在

法定後見制度の1つに「補助」という類型があります。ちなみに、残りの2つが「後見」と「保佐」です。

後見に関しては聞いたことがある方も多いと思いますが、「保佐」と「補助」を知っている方は少ないのではないでしょうか。実際の申立件数も補助は後見に比べれば圧倒的に少ないです。

補助について知っておけば、判断能力に不安がある時点から本人を援助することができます。

1.補助の対象となるのは

補助の対象となるのは「精神上の障がいにより事理を弁識する能力が不十分」な人です。

精神上の障がいには認知症だけではなく、「統合失調症」「高次脳機能障害」等や事故による脳の損傷も含みます。

事理を弁識する能力が不十分とは、重要な法律行為を1人で行うことは不可能ではないが、適切に行えるか不安がある状態のことです。

ただし、補助に該当するかは、家庭裁判所が医師の診断書等を検討して判断します。

2.補助開始の申立てには本人の同意

補助開始の申立てをするには、本人の同意が必要となります。なぜなら、本人の判断能力は依然として残っているからです。

補助に関しては本人が必要としない限り、申立てをすることはできません。

補助開始の申立てと後見開始の申立ては申請書も同じです。実際に申立てをされる際は、後見開始の申立てを参考にしてください。

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3.補助人の行使できる権利

補助人の行使できる権利は、同意権・取消権と代理権です。ただし、無条件で認められるのではなく、個別に申立てをして審判を受ける必要があります。

補助開始の申立てをする際に、「同意を要する行為の定め」または「代理権付与」のどちらか一方は同時に申し立てをします。つまり、補助開始の申立てだけをすることはできません。

3‐1.同意権の範囲は限られる

同意権を付与されるためには、「補助人の同意を要する行為の定め」の申立てをして、同意権付与の審判を受けなくてはいけません。

すべての行為が認められるのではなく、民法第13条第1項に定められている行為の一部についてです。

(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

出典:e-Govウェブサイト(民法13条)

保佐人は民法第13条第1項の行為について、自動的に同意権が付与されます。それに対して、補助人は個別に申立てをする必要があります。

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3‐2.同意を得ずにした行為は取り消せる

同意権が付与された行為を本人が補助人の同意を得ずにした場合、補助人または本人が取り消すことができます。

ただし、以下の場合は取消すことができません。

  • 本人が詐術を用いた
  • 補助人が追認した
  • 時効

本人(被補助人)が詐術を用いた

本人が自分は被補助人ではないと嘘をついて、相手方を誤信させた場合です。

補助人が追認した

同意を得ずにした行為であっても、補助人が追認をすれば有効な行為になります。

時効

補助人が行為を知ったときから5年経過、または行為から20年経過すると取消すことはできません。

3‐3.代理権は具体的に特定する

代理権付与の申立てをして代理権付与の審判がなされると、補助人は当該行為について代理権を行使することができます。

勘違いしやすい点としては、代理権が付与されていても本人は当該行為をすることができます。本人の行為に制限があるわけではないです。

4.補助人には義務もある

補助人には権利だけではなく義務もあります。

  • 善管注意義務
  • 身上配慮義務

4‐1.善良なる管理者の注意義務

補助人には通常の注意義務よりも高度な注意義務が課されています。注意義務を怠って本人に損害を与えた場合は、損害賠償責任が発生します。

4‐2.身上配慮義務

身上配慮義務とは、「本人の意思を尊重する義務」と「本人の心身の状態および生活の状況に配慮する義務」の2つです。

あくまでも本人を補助するのが目的となります。

5.さいごに

法定後見には「後見」「保佐」「補助」という3つがあります。ただし、補助は後見や保佐よりも範囲が狭いです。

後見のように代理権が当然に認められることもないですし、保佐のように重要な法律行為について当然に同意権が付与されるわけでもないです。あくまでも、本人が同意した範囲内で援助するのが補助です。

本人の判断能力が低下する前であっても、特定の行為についてのみ本人を支援することができます。法定後見の補助も検討してみてください。

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