【農地の遺贈】種類や受遺者によって3条許可の有無が違う

  • 2022年6月7日
  • 2022年6月7日
  • 農地

農地を遺言書により遺贈する場合、遺贈の種類によって農地法3条の許可に違いがあります。

相続人以外の第三者が特定遺贈により農地を取得するなら、農地法3条の許可を得なければ取得できません。

一方、相続人が特定遺贈により農地を取得する場合や、包括遺贈により農地を取得する場合は農地法3条の許可は不要です。

今回の記事では、農地の遺贈について説明しているので、遺言書を作成する際の参考にしてください。

1.農地を特定遺贈するなら3条許可の有無に注意

原則として、農地を取得するのは農地法3条の許可が必要です。

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限)
第三条 農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。

出典:e-Govウェブサイト(農地法3条)

農地を特定遺贈するなら、受遺者が重要になります。

なぜかというと、特定遺贈の受遺者によって、3条許可の有無が違うからです。

農地を特定遺贈するなら、誰が受遺者になっているか確認してください。

1-1.相続人以外が特定遺贈により農地を取得するなら許可が必要

特定遺贈の受遺者が相続人以外なら、農地を取得するのに農地法3条の許可が必要になります。

したがって、遺言書を作成する段階で、農地法3条の許可を得ることができるか確認しておいた方が良いです。

許可を得ることが難しいなら、遺言書の内容を変える必要があります。

どうしても農地を相続人以外に遺贈したいなら、包括遺贈も検討しましょう。

1-2.相続人が特定遺贈により農地を取得するなら許可は不要

特定遺贈の受遺者が相続人なら、農地を取得するのに農地法3条の許可は不要になります。

かつては、相続人が受遺者の場合も許可が必要だったのですが、法改正により変更になっています。

(農地又は採草放牧地の権利移動の制限の例外)
第十五条 法第三条第一項第十六号の農林水産省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
(省略)
五 包括遺贈又は相続人に対する特定遺贈により法第三条第一項の権利が取得される場合

出典:e-Govウェブサイト(農地法施行規則15条5号)

相続人に対する特定遺贈も相続と変わらないので、農地法3条の許可は不要です。

 

2.農地を包括遺贈するなら農地法3条の許可は不要

農地を包括遺贈により取得する場合は、受遺者が誰であっても農地法3条の許可は不要になります。

なぜなら、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するからです。

農地を相続により取得する場合は許可が不要なので、包括受遺者も同じように許可が不要になっています。

2-1.全部包括遺贈なら第三者も無条件で農地を取得できる

農地を所有している人が遺言書で全部包括遺贈をすると、受遺者が第三者であっても無条件に取得できます。

以下は、全部包括遺贈の記載例です。

遺言書

遺言者は、全財産をA(生年月日、住所)に遺贈する。

全財産に農地も含まれているので、Aが農地も取得します。

気を付ける点は、相続人の遺留分を侵害していると、遺留分侵害額請求を受ける可能性がある点です。

相続人が存在しなければ問題ないですが、存在する場合は前もって話し合っておく必要があります。

2-2.一部包括遺贈なら遺産分割協議により農地を取得できる

農地を所有している人が遺言書で一部包括遺贈をすると、受遺者を含めた遺産分割協議により農地の取得者を決めます。

以下は、一部包括遺贈の記載例です。

遺言書

遺言者は、全財産の3分の1をA(生年月日、住所)に遺贈する。

全財産の3分の1を取得する権利をAさんは遺贈されているので、相続人と遺産分割協議をして具体的に何を取得するか決めます。

そして、遺産分割協議により農地をAさんが取得することも可能です。

気を付ける点は、あくまでも遺産分割協議の結果によるので、Aさんが農地を取得できる保障はない点です。

 

3.農地を遺贈により取得した場合の登記原因日付

農地を遺贈により取得した場合も、所有権移転登記を申請することになります。

登記申請書には登記原因日付を記載するのですが、遺贈の内容によって日付が違うので気を付けてください。

3-1.相続人以外が特定遺贈で農地を取得した場合の日付

相続人以外が特定遺贈で農地を取得した場合は、以下の2つを満たした日が登記原因日付となります。

  • 遺言書の効力発生
  • 農地法3条の許可

通常、農地法3条の許可を得るのに1カ月はかかるので、登記原因日付を間違えないように気を付けてください。

3-2.包括遺贈や相続人が特定遺贈で農地を取得した場合の日付

包括遺贈や相続人が特定遺贈により農地を取得した場合は、遺言書の効力発生日(被相続人の死亡日)が登記原因日付となります。

農地法3条の許可は不要なので、被相続人の死亡と同時に農地を取得するからです。

ただし、遺贈による所有権移転登記の申請が終了したら、農業委員会への届出は必要なので注意してください。

 

4.遺贈により農地を取得したら届出は必要なのか?

原則として、農地を遺贈により取得すると、農業委員会への届出が必要です。

ただし、農地法3条の許可を得て農地を取得している場合は、農業委員会への届出は不要になります。

(農地又は採草放牧地についての権利取得の届出)
第三条の三 農地又は採草放牧地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得した者は、同項の許可を受けてこれらの権利を取得した場合、同項各号(第十二号及び第十六号を除く。)のいずれかに該当する場合その他農林水産省令で定める場合を除き、遅滞なく、農林水産省令で定めるところにより、その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。

出典:e-Govウェブサイト(農地法3条の3)

以下の遺贈により農地を取得した場合は届出が必要です。

  • 相続人が特定遺贈により取得
  • 相続人が包括遺贈により取得
  • 相続人以外が包括遺贈により取得

相続人以外の第三者が特定遺贈により農地を取得した場合は、農地法3条の許可を得ているので届出は不要になります。

届出先の農業委員会は、農地を管轄する農業委員会です。

ほとんどの市区町村には農業委員会があるので、〇〇(市区町村名)+農業委員会で検索すると見つかるはずです。検索しても見つからない場合は、農地を管轄する市役所等にお問い合わせください。

 

5.さいごに

遺言書で農地を遺贈することも可能です。

ただし、相続人以外に農地を特定遺贈する場合は、農地法3条の許可を得なければ遺贈の効力は発生しません。

前もって農業委員会に確認しておく等の対策が必要ですし、許可を得るのが難しいなら遺言書の内容を変える必要があります。

どうしても相続人以外に農地を遺贈したいなら、特定遺贈ではなく包括遺贈にする方法もあります。包括遺贈であれば相続人以外でも許可は不要になるからです。

包括遺贈や特定遺贈により相続人が農地を取得する場合、農地法3条の許可は不要ですが農業委員会への届出は必要になります。

農地を遺贈する場合は、遺言書を作成する前に法律等を確認しておきましょう。

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