公正証書遺言の作成を検討しているなら、メリットだけで公正証書遺言を選ぶのではなく、デメリットも知ったうえで選んでください。
どんな制度にも良い面と悪い面があり、公正証書遺言も例外ではありません。
例えば、公証人が作成してくれる点はメリットですが、公証人手数料が発生する点はデメリットになります。
今回の記事では、公正証書遺言のメリット・デメリットを説明しているので、遺言書作成の参考にしてください。
目次
1.公正証書遺言のメリットは5つ
まずは、公正証書遺言の主なメリットを5つ説明します。
- 遺言書の信頼性
- 自分で書く必要がない
- 遺言が無効になりにくい
- 原本が保管される
- 遺言書の検認が不要
それぞれ説明していきます。
1-1.公正証書遺言は法的な信頼性が高い
公正証書遺言のメリット1つ目は、法的な信頼性が高いです。
公正証書遺言は公証人が、遺言者の遺言能力を確認したうえで作成します。
そのため、遺言者が自分で作成する自筆証書遺言よりも、法的な信頼性が高いです。
遺言書の法的な信頼性が高ければ、死後に争いが起る可能性も低くなります。トラブルを防止したいなら、公正証書遺言の作成がお勧めです。
法的な信頼性が高い点は、公正証書遺言のメリットになります。
1-2.公正証書遺言は自分で書く必要がない
公正証書遺言のメリット2つ目は、自分で書く必要がないです。
公正証書遺言は公証人が作成するので、遺言者は書く必要がありません。
たとえ遺言書の内容が複雑で長文だったとしても、公証人が作成してくれるので問題ないです。
自分で文章を書くのが苦手だったり、書き間違いのリスクを避けるなら、公正証書遺言を作成するメリットがあります。
1-3.公正証書遺言は無効になりにくい
公正証書遺言のメリット3つ目は、無効になりにくいです。
公正証書遺言と自筆証書遺言を比べると、自筆証書遺言の方が無効になりやすいです。
自筆証書遺言は本人が作成するので、成立要件を満たしていないケースがあります。また、遺言書作成時の遺言能力を否定されるケースもあります。
それに対して、公正証書遺言は公証人が作成しますし、本人の遺言能力も公証人がチェックします。
そのため、公正証書遺言は無効になりにくいです。
作成した遺言書が無効になりにくい点は、公正証書遺言のメリットになります。
1-4.原本が保管されるので紛失の心配はない
公正証書遺言のメリット4つ目は、紛失の心配がないです。
遺言書を作成しても紛失すると意味がありません。ですが、公正証書遺言には紛失の心配がありません。
なぜなら、公正証書遺言の原本は公証役場で保管されるからです。
遺言書作成後に遺言者に渡されるのは正本・謄本であり、原本は渡されません。
たとえ正本・謄本を紛失しても、公証役場で再発行できるので、遺言者や相続人等は困りません。
遺言書を紛失する心配がない点は、公正証書遺言のメリットになります。
関連記事を読む『公正証書遺言の原本はどこにある?遺言者も原本は持っていない』
1-5.公正証書遺言は相続発生後の検認が不要
公正証書遺言のメリット5つ目は、検認が不要です。
原則として、遺言者が亡くなると、遺言書の検認手続きが必要になります。検認手続きを終わらせなければ、相続手続きに遺言書が使用できません。
ですが、公正証書遺言は検認手続きが不要です。相続発生後、すぐに遺言書を使用できます。
検認手続きには手間がかかるので、検認が不要な点は公正証書遺言のメリットです。
関連記事を読む『【遺言書の検認】相続手続きを進めるのに必要な作業』
2.公正証書遺言のデメリットは3つ
次に、公正証書遺言の主なデメリットを3つ説明します。
- 作成に時間がかかる
- 作成費用が高い
- 証人が2人必要
それぞれ説明していきます。
2-1.公正証書遺言の作成に時間がかかる
公正証書遺言のデメリット1つ目は、作成に時間がかかるです。
自筆証書遺言と違い、公正証書遺言はすぐに作ることができません。
なぜなら、公証人が遺言の内容を確認したうえで、遺言書を作成するからです。どんなに急いでいても、今日作成することは不可能でしょう。
遺言書を一日でも早く作成したい場合は、自筆証書遺言を先に作成した方が良いです。
遺言書の作成に時間がかかる点は、公正証書遺言のデメリットになります。
2-2.公正証書遺言は作成費用が高い
公正証書遺言のデメリット2つ目は、作成費用が高いです。
公正証書遺言は自筆証書遺言に比べると、作成費用が高くなります。
なぜなら、遺言書を公正証書にするので、公証人手数料が発生するからです。また、証人を手配してもらう場合、証人手配料も発生します。
一方、自筆証書遺言は0円での作成も可能なので、費用面では大きな差があります。
公正証書遺言の作成費用が高い点は、公正証書遺言のデメリットになります。
2-3.公正証書遺言には証人が2人必要
公正証書遺言のデメリット3つ目は、証人が2人必要です。
公正証書遺言を作成するには、証人が2人必要になります。
以下は、民法の条文です。
証人には欠格事由も定められているので、推定相続人や受遺者は証人になれません。
遺言者が証人を用意できない場合は、公証役場に証人の手配を依頼できますが、手配料は発生するので注意してください。
証人を2人用意する必要がある点は、公正証書遺言のデメリットになります。
関連記事を読む『公正証書遺言には証人が2人必要!証人には欠格事由もある』
3.まとめ
今回の記事では「公正証書遺言のメリット・デメリット」について説明しました。
公正証書遺言の主なメリットは、以下の5つです。
- 遺言書の信頼性
- 自分で書く必要がない
- 遺言が無効になりにくい
- 原本が保管される
- 遺言書の検認が不要
公正証書遺言は公証人が作成するので、法的な信頼性が高く、無効になる可能性が低いです。原本も公証役場に保管されますし、検認手続きも不要です。
公正証書遺言の主なデメリットは、以下の3つです。
- 作成に時間がかかる
- 作成費用が高い
- 証人が2人必要
公正証書遺言を作成するには、公証人との打ち合わせが必要なので、作成までに時間がかかります。公証人手数料や証人手配料が発生するので、作成費用は高くなります。
公正証書遺言の作成を検討しているなら、メリット・デメリットを確認しておきましょう。