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寡婦年金の金額はいくら?【夫の老齢基礎年金×4分の3】

寡婦年金の金額はいくら
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寡婦年金の支給額がいくらになるかは、夫が受給するはずだった老齢基礎年金が関係します。

「夫の老齢基礎年金×4分の3=寡婦年金」

ただし、夫の老齢基礎年金を計算する際に用いるのは、第1号被保険者として納付期間のみです。第2号被保険者として納付していても、寡婦年金の金額には反映されません。

今回の記事では、寡婦年金の支給額について説明しているので、事例等を参考にしてください。

1.寡婦年金は夫の老齢基礎年金×4分の3

寡婦年金がいくら支給されるかは、夫が受給予定だった老齢基礎年金により決まります。

寡婦年金は夫の老齢基礎年金×4分の3

夫の老齢基礎年金×4分の3」が、妻に支給される寡婦年金の金額です。

以下は、国民年金法の条文です。

(年金額)
第五十条 寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第一号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、第二十七条の規定の例によつて計算した額の四分の三に相当する額とする。

出典:e-Govウェブサイト(国民年金法50条)

なぜ寡婦年金の支給額に、夫の老齢基礎年金が関係するかというと、保険料の掛け捨て防止です。

夫が国民年金を受給する前に亡くなると、納付した保険料が無駄になります。掛け捨てを防止する目的もあり、妻に寡婦年金として還元しています。

一方、夫が生前に国民年金(老齢基礎年金・障害基礎年金)を受給している場合、寡婦年金は支給されません。

寡婦年金の支給要件に関しては、以下の記事を参考にしてください。

 

2.寡婦年金の金額は第1号被保険者期間のみ反映

寡婦年金の計算に用いるのは第1号被保険者の期間のみ

寡婦年金の支給額は「夫の老齢基礎年金×4分の3」ですが、老齢基礎年金を計算する際に用いるのは、第1号被保険者としての期間のみです。

つまり、亡くなった夫が第2号被保険者として保険料を納付していても、寡婦年金の支給額には反映されません。

国民年金の加入者のうち、民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者を第2号被保険者といいます。

出典:日本年金機構ウェブサイト(第2号被保険者)

夫に第1号および第2号被保険者として納付期間がある場合、第2号被保険者の期間は除いて老齢基礎年金を計算します。

【例題1】
夫の保険料納付期間は、第1号が10年、第2号が10年。

寡婦年金の計算は第1号被保険者のみ用いる

寡婦年金を計算する場合は、第1号の10年だけを用いて老齢基礎年金を計算します。

【例題2】
夫の保険料納付期間は、第2号が20年。

寡婦年金の計算から第2号被保険者の期間は除く

第1号被保険者としての納付期間がないので、寡婦年金は支給されません。

【例題3】
夫の保険料納付期間は、第1号が9年、第2号が11年。

寡婦年金の支給には第1号被保険者の期間が10年以上必要

第1号被保険者としての納付期間が9年しかないので、寡婦年金は支給されません。
※納付期間が10年以上必要。

亡くなった夫の保険料納付期間が長くても、第1号被保険者としての納付でなければ、寡婦年金の支給額には反映されません。

 

3.寡婦年金がいくらになるか実際に計算

寡婦年金がいくらになるのか、複数の事例を元に計算していきます。

3-1 .納付済期間だけなら寡婦年金の計算は簡単

夫の保険料納付期間が納付済期間だけなら、寡婦年金の計算は難しくありません。

寡婦年金の計算(納付済期間だけ)

納付済期間を上記の式に当てはめて計算すると、寡婦年金の支給額が分かります。

【例題1】
第1号被保険者として納付済期間が480月の場合。

第1号被保険者として納付済期間が480月

795,000円×(480分の480)×4分の3=596,250円

寡婦年金は596,250円です。

【例題2】
第1号被保険者として納付済期間が360月の場合。

第1号被保険者として納付済期間が360月

795,000円×(480分の360)×4分の3=447,188円

寡婦年金は447,188円です。

【例題3】
第1号被保険者として納付済期間が240月の場合。

第1号被保険者として納付済期間が240月

795,000円×(480分の240)×4分の3=298,125円

寡婦年金は298,125円です。

【例題4】
第1号被保険者として納付済期間が120月の場合。

第1号被保険者として納付済期間が120月

795,000円×(480分の120)×4分の3=149,063円

寡婦年金は149,063円です。

保険料納付期間が納付済期間だけであれば、計算式に納付済期間を当てはめるだけです。

3-2.寡婦年金の金額には免除期間も反映される

夫の保険料納付期間に免除期間が含まれると、寡婦年金の計算が複雑になります。

寡婦年金の計算(納付済期間と免除期間)

なぜ計算が複雑かというと、保険料の免除時期によって、免除期間の反映割合が違うからです。

免除期間の反映割合
免除割合 平成21年3月
以前
平成21年4月
以降
4分の1免除 6分の5 8分の7
半額免除 3分の2 4分の3
4分の3免除 2分の1 8分の5
全額免除 3分の1 2分の1

免除期間の月数は、そのまま計算に含めるのではなく、反映割合に応じて計算に含めます。ただし、免除された時期によって、反映割合が違います。

言葉で説明するより、実際に計算した方が分かりやすいので、例題を参考にしてください。

【例題1】
納付済期間が240月、平成21年3月以前に4分の1免除期間が12月、平成21年4月以降に4分の1期間が12月の場合。

寡婦年金の計算に4分の1免除期間を反映

12×6分の5=10 (平成21年3月以前)
12×8分の7=10.5(平成21年4月以降)
10+10.5=20.5  (免除期間の月数)

240+20.5=260.5

795,000円×(480分の260.5)×4分の3=323,590円

寡婦年金は323,590円です。

【例題2】
納付済期間が240月、平成21年3月以前に半額免除期間が12月、平成21年4月以降に半額免除期間が12月の場合。

寡婦年金の計算に半額免除期間を反映

12×3分の2=8
12×4分の3=9
8+9=17

240+17=257

795,000円×(480分の257)×4分の3=319,242円

寡婦年金は319,242円です。

夫の納付期間に免除期間が含まれる場合、免除割合と時期が重要なので、間違えないように気を付けてください。

注意免除された部分以外を納付していなければ未納期間です。

 

4.付加保険料は寡婦年金の金額に影響しない

付加保険料が反映するのは死亡一時金

亡くなった夫が付加保険料を納付していても、寡婦年金の支給額には影響しません。

付加保険料
国民年金の第1号被保険者が、定額保険料に上乗せして納付する保険料

たとえ付加保険料の納付が何十年だったとしても、寡婦年金の支給額は増えません。

ただし、同じ国民年金制度の遺族給付であっても、死亡一時金の支給額には付加保険料が影響します。

付加保険料の納付月が36月以上あれば、死亡一時金に8,500円が追加されます。

死亡一時金の支給額については、下記の記事を参考にしてください。

 

5.まとめ

今回の記事では「寡婦年金の支給額」について説明しました。

寡婦年金の支給額は、夫が受給する予定だった老齢基礎年金の4分の3。

ただし、老齢基礎年金を計算する際に用いる期間は、第1号被保険者としての納付期間のみです。たとえ第2号被保険者として何十年納付していても、寡婦年金の支給額には影響しません。

寡婦年金の元となる老齢基礎年金を計算する際は、納付免除割合と時期に注意してください。年金に反映する月数に違いがあります。