寡婦年金は常にもらえるわけではなく、受け取れないケースもあります。
- 妻以外の遺族はもらえない
- 停止期間中はもらえない
- 受給権が消滅するともらえない
- 請求しないともらえない
亡くなった人の妻であっても、支給要件を満たさなければもらえません。
妻が支給要件を満たしていても、支給停止期間中や受給権が消滅した場合はもらえません。
今回の記事では、寡婦年金がもらえないケースについて説明しているので、あなたが該当していないかかく
目次
1.妻以外は寡婦年金がもらえない
寡婦年金がもらえないケース1つ目は、遺族が妻以外の場合です。
寡婦年金を受け取れるのは、亡くなった人の妻だけです。妻以外の遺族は寡婦年金をもらえません。
1-1.夫や子どもは寡婦年金の受取人ではない
遺族基礎年金や遺族厚生年金については、夫や子も受取人になれます。
ですが、寡婦年金の受取人は、「寡婦」という言葉のとおり妻だけです。
※妻には事実上の妻も含みます。
亡くなった人に妻がいなければ、寡婦年金をもらえる人は存在しません。妻がいないからといって、子が代わりに受け取れるわけではありません。
1-2.妻も無条件では寡婦年金を受け取れない
寡婦年金を受け取れるのは妻だけです。
ただし、妻に関しても無条件で寡婦年金をもらえるわけではなく、複数の支給要件を満たす必要があります。
- 夫に第1号被保険者として納付期間が10年以上
- 夫が老齢基礎年金または障害基礎年金を未受給
- 夫に生計を維持されていた
- 婚姻関係が継続して10年以上
- 夫の死亡時に妻が65歳未満
上記の支給要件をすべて満たさなければ、妻であっても寡婦年金はもらえません。
支給要件の詳しい説明は、下記の記事を参考にしてください。
関連記事を読む『【寡婦年金の支給要件は5つ】夫と妻にそれぞれ要件がある』
2.停止期間中は寡婦年金がもらえない
寡婦年金がもらえないケース2つ目は、停止期間中の場合です。
妻が支給要件を満たしていても、停止期間中は寡婦年金がもらえません。
2-1.寡婦年金は妻が60歳未満の間はもらえない
寡婦年金の支給期間は、妻が60歳から65歳までの間です。
そのため、受給権の取得時に妻が60歳未満であれば、60歳になるまで寡婦年金がもらえません。
例えば、妻が40歳で寡婦年金の受給権を取得した場合、支給まで20年待つ必要があります。
ただし、他の要件により支給が停止されていると、60歳になっても寡婦年金はもらえないです。
2-2.妻が他の年金を受給中はもらえない
寡婦年金には年齢要件以外にも複数の停止要件があり、一つでも該当すると寡婦年金は支給停止です。
- 遺族基礎年金を受給中
- 遺族厚生年金を受給中
- 遺族補償による6年間の停止
妻が遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給中は、寡婦年金の支給が停止されます。
夫が業務上死亡した場合、妻に遺族補償が行われます。ただし、死亡から6年間は寡婦年金がもらえません。
関連記事を読む『【寡婦年金の支給が停止】4つのケースを図を用いて説明』
3.受給権が消滅すると寡婦年金はもらえない
寡婦年金がもらえないケース3つ目は、受給権が消滅した場合です。
妻に寡婦年金の受給権があっても、消滅すると寡婦年金はもらえません。
3-1.受給年数に関わらず65歳到達で終了
受給開始の年齢によって、寡婦年金を受給できる年数が違います。
なぜなら、寡婦年金の支給期間は、60歳から65歳までと決まっているからです。
たとえ寡婦年金の受給開始が64歳だったとしても、妻が65歳に達すると寡婦年金はもらえません。
ちなみに、夫が亡くなった時点で妻の年齢が65歳以上だと、寡婦年金の支給要件を満たせません。
3-2.妻の死亡や再婚等によっても受給権は消滅
妻が65歳に達する前であっても、寡婦年金の受給権が消滅するケースはあります。
- 妻が亡くなる
- 妻が再婚する
- 妻が養子になる
- 妻が老齢基礎年金を繰上げ受給
上記に一つでも該当すると、寡婦年金の受給権は65歳前でも消滅します。
注意が必要なのは、妻が60歳代前半に老齢基礎年金の繰上げ受給する場合です。気付かずに請求すると、寡婦年金の受給権が消滅します。
4.寡婦年金は請求しなければもらえない
寡婦年金がもらえないケース4つ目は、請求していない場合です。
亡くなった人の妻が寡婦年金の受給権を取得しても、請求しなければもらえません。
寡婦年金をもらうには、年金請求書(国民年金寡婦年金)に必要事項を記入して、市区町村役場の窓口に提出する必要があります。
年金請求書は市区町村役場や年金事務所等で取得できます。
請求書を取得する際には、添付書類についても確認してください。寡婦年金を請求するには、複数の書類(住民票や所得証明書等)も必要になるからです。
妻に寡婦年金を受給する権利があっても、請求しなければもらえないので、忘れずに請求しましょう。
5.まとめ
今回の記事では「寡婦年金がもらえないケース」について説明しました。
寡婦年金がもらえないケースは、4つに分けることができます。
- 妻以外の遺族はもらえない
- 停止期間中はもらえない
- 受給権が消滅するともらえない
- 請求しないともらえない
妻以外の遺族は寡婦年金がもらえません。ただし、妻に関しても支給要件を満たす必要があります。
妻が寡婦年金の受給権を取得しても、支給停止期間はもらえません。また、受給権が消滅した場合も、寡婦年金はもらえません。
寡婦年金は請求しなければもらえないので、忘れずに請求してください。