死亡一時金がいくら支給されるかは、亡くなった人の保険料納付月数で決まります。
ただし、納付月数の計算に含めるのは、第1号被保険者としての期間です。第2号被保険者や第3号被保険者の期間は除きます。
最低36月以上の納付月数があれば、死亡一時金の納付要件を満たします。
今回の記事では、死亡一時金の支給額について説明しているので、悩みを解消する参考にしてください。
目次
1.死亡一時金がいくら支給されるか知るには?
死亡一時金がいくら支給されるか知るためには、亡くなった人の第1号被保険者としての、保険料納付月数を調べる必要があります。
なぜなら、保険料納付月数によって、死亡一時金の有無や支給額が違うからです。
以下は、国民年金法の条文です。
保険料納付月数は、「納付済期間」と「一部免除期間」を足して計算します。
関連記事を読む『死亡一時金とは遺族に給付される年金の一種【まとめ記事】』
1-1.保険料納付済期間はそのまま計算に含む
亡くなった人の保険料納付済期間については、そのまま保険料納付月数に含みます。
ただし、第1号被保険者と第2号被保険者(第3号被保険者)の期間がある場合は、第1号被保険者として納付した期間だけ計算に含んでください。
例えば、第1号被保険者として10年、第2号被保険者として10年、保険料を納付していた場合。
死亡一時金の計算に含むのは、第1号被保険者としての10年だけです。
亡くなった人に保険料納付済期間がある場合、第1号被保険者として納めているか確認してください。
1-2.保険料一部免除期間は一部だけ計算に含む
保険料一部免除期間については、一部だけ納付月数の計算に含みます。
なぜ一部だけかというと、死亡一時金は掛け捨て防止が目的なので、免除されている部分は無関係だからです。
保険料免除割合 | 計算に含む月数 |
---|---|
4分の1免除期間の月数 | 4分の3に相当する月数 |
半額免除期間の月数 | 2分の1に相当する月数 |
4分の3免除期間の月数 | 4分の1に相当する月数 |
全額免除の月数 | 含まない |
全額免除されている期間は、保険料を納めていないので、死亡一時金の納付月数には含みません。
【例題1】
4分の1免除期間が1年、半額免除期間が1年ある場合。
12月(1年)×4分の3=9月
12月(1年)×2分の1=6月
9月+6月=15月
保険料納付月数は15月となります。
【例題2】
4分の3免除期間が1年、全額免除期間が1年ある場合。
12月(1年)×4分の1=3月
12月(1年)×0=0月
3月+0月=3月
保険料納付月数は3月となります。
亡くなった人に保険料免除期間がある場合は、免除されている割合に気を付けて計算してください。
注意免除された部分以外を納付していなければ、一部免除期間ではなく未納期間です。
2.納付月数で死亡一時金の支給額が分かる
亡くなった人の保険料納付月数が分かれば、死亡一時金の支給額も分かります。
2-1.死亡一時金の支給額は納付月数により6段階
死亡一時金の支給額は、納付月数によって6段階に分かれています。
納付月数 | 金額 |
---|---|
36月以上180月未満 | 120,000円 |
180月以上240月未満 | 145,000円 |
240月以上300月未満 | 170,000円 |
300月以上360月未満 | 220,000円 |
360月以上420月未満 | 270,000円 |
420月以上 | 320,000円 |
亡くなった人の納付月数により、12万円から32万円と最大20万円の差があります。
2-2.死亡一時金の支給には最低36月以上必要
死亡一時金の支給には、保険料の納付月数が最低36月(3年)以上必要です。
納付月数を計算する際は、保険料が免除されている月数に注意してください。
【例題1】
保険料納付済期間が24月、4分の3免除期間が24月の場合。
24×4分の1=6(4分の3免除期間)
24+6=30
納付月数は30月なので、死亡一時金は支給されません。
【例題2】
保険料納付済期間が24月、半額免除期間が24月の場合。
24×2分の1=12(半額免除期間)
24+12=36
納付月数は36月なので、死亡一時金が支給されます。
保険料納付月数が36月以上あるかは、死亡一時金の支給にとって重要となります。
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3.付加保険料の納付月数により死亡一時金が加算
亡くなった人が付加保険料を納付していた場合、納付月数によっては死亡一時金が加算されます。
以下は、国民年金法の条文です。
国民年金法第87条の2第1項の保険料とは、付加保険料のことです。
亡くなった人が付加保険料を3年以上(36月)納めていた場合、死亡一時金の支給額に8,500円を加算します。
例えば、保険料納付月数が36月で、付加保険料の納付済期間も36月であれば、死亡一時金の支給額は12万8,600円。
気を付ける点としては、たとえ何十年付加保険料を納めていても、死亡一時金に加算されるのは8,500円という点です。
付加保険料の加算額は8,500円だけなので、計算する際は注意してください。
4.まとめ
今回の記事では「死亡一時金の支給額」について説明しました。
死亡一時金の支給額は、亡くなった人が第1号被保険者として保険料を納付した月数で決まります。
「保険料納付済期間」+「保険料一部免除期間」
ただし、保険料一部免除期間については、免除された割合を除いて納付月数に含みます。
保険料の納付月数が36月(3年)以上あれば、保険料の納付要件を満たせます。
また、付加保険料を納めた期間が36月(3年)以上あれば、死亡一時金に8,500円を加算します。
亡くなった人が第2号被保険者だったとしても、第1号被保険者として納付期間がある人もいるので、納付期間は調べておきましょう。