自筆証書遺言の費用は作成費用だけではありません。
自筆証書遺言を保管する費用や、相続手続で使用するための費用も必要です。
自筆証書遺言は公正証書遺言に比べると費用は低いですが、トータルで計算すると一定額は発生します。
今回の記事では、自筆証書遺言の費用について説明しているので、遺言書を作成する際の参考にしてください。
目次
1.自筆証書遺言を作成する費用
自筆証書遺言の費用1つ目は、自筆証書遺言を作成する費用です。
厳密に言うと、自筆証書遺言を作成するのは自分なので、遺言書の内容を考える費用になります。
- 自分で考える
- 専門家に相談する
1-1.自筆証書遺言の内容を自分で考えるなら無料
自筆証書遺言の内容を自分で考えるなら無料です。
遺言書の内容が簡単であれば、自分で考えて作成する人も多いでしょう。
ただし、遺言書の内容以外の部分については、専門家に相談しておくことをお勧めします。
遺言書の内容に問題が無くても、相続手続でトラブルが発生する可能性もあるからです。
1-2.自筆証書遺言の内容を専門家に相談するなら有料
自筆証書遺言の内容を専門家に相談するなら有料です。
専門家報酬は事務所により違うのと、遺言書の内容によっても変わります。財産の多さや相続人の人数によっても違います。
専門家に依頼するなら、前もって報酬額を調べておきましょう。
2.自筆証書遺言を保管する費用
自筆証書遺言の費用2つ目は、自筆証書遺言を保管する費用です。
自筆証書遺言を作成しても、相続発生時まで保管しておく必要があります。
- 自筆証書遺言を自宅で保管する
- 自筆証書遺言を法務局で保管する
専門家や銀行等にお金を払って保管してもらう方法は、選ぶメリットが少ないので除外しています。
2-1.自筆証書遺言を自宅で保管するなら無料
作成した自筆証書遺言を自宅で保管するなら、費用は発生しません。
ただし、自宅で保管する場合のデメリットには注意してください
- 自筆証書遺言の紛失
- 相続人が発見できない
- 相続人に破棄される
たとえ自筆証書遺言を作成していても、相続人(受遺者)の手に渡らなければ意味がありません。
2-2.自筆証書遺言を法務局で保管する費用
自筆証書遺言を法務局で保管する制度がスタートしています。
法務局で保管することにより、紛失や破棄される危険が無くなります。
- 保管手数料(3,900円)
- 住民票の取得費用(約300円)
※自分の住民票
自筆証書遺言を法務局で保管すると、相続発生後に検認する必要がなくなります。
関連記事を読む『遺言書を法務局に保管する費用は低額です【一律3900円】』
3.自筆証書遺言を使用する費用
自筆証書遺言の費用3つ目は、自筆証書遺言を使用する費用です。
亡くなった人が自筆証書遺言を残している場合、相続人は自筆証書遺言の保管状態により、以下の手続きをする必要があります。
- 法務局に保管していない:遺言書の検認手続き
- 法務局に保管している:遺言書証明情報の取得
上記の手続きをしなければ、自筆証書遺言を相続手続きで使用することができません。
3-1.自筆証書遺言の検認手続き費用
自筆証書遺言を法務局に保管していない場合、家庭裁判所の検認手続きを済ませなければ、相続手続きを進めることができません。
自筆証書遺言の検認手続き費用は2つに分かれます。
- 検認申立て費用
- 専門家に依頼する費用
遺言書の検認申立て費用
遺言書の検認申立て費用として、以下が必要になります。
- 申立手数料(800円)
- 予納郵券(家庭裁判所により違う)
※相続人の人数により増える - 戸籍謄本の収集費用
具体的な費用は、相続人の人数によって変わります。
関連記事を読む『遺言書の検認申立て手続きの流れを4つに分けて説明』
検認申立てを専門家に依頼する費用
遺言書の検認申立てを専門家に依頼すると、専門家報酬が費用になります。
相続人の年齢等によっては、自分で検認手続きをするのが難しいかもしれません。
3-2.法務局で遺言書証明情報を取得する費用
自筆証書遺言を法務局に保管している場合、相続人は法務局で遺言書証明情報を取得する必要があります。
なぜなら、相続手続では遺言書証明情報を使用するからです。
※遺言書証明情報は検認不要。
保管所・保管番号が判明している場合
亡くなった人から保管証のコピー等を渡されている場合は、法務局で遺言書証明情報を取得するだけです。
- 収入印紙(1,400円)
- 遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票(作成後3カ月以内)
相続人の人数によって戸籍謄本等の取得費用も変わります。
関連記事を読む『遺言書情報証明書を遺言書の代わりに使用する』
保管所・保管番号が分からない場合
法務局で遺言書証明情報を取得するには、保管所・保管番号が必要になります。
したがって、保管所・保管番号が分からない場合は、先に遺言書保管事実証明書を取得します。
遺言書保管事実証明書には保管所・保管番号が記載されているので、確認した後で遺言書証明情報を取得します。
- 収入印紙(800円)
- 被相続人の戸籍謄本(死亡記載)
- 相続人の戸籍謄本
遺言書保管事実証明書は全国の法務局で取得できます。
関連記事を読む『遺言書保管事実証明書を取得すれば保管の有無が分かる』
4.さいごに
自筆証書遺言の費用は3つの段階で発生します。
作成 | 自分で考える | 専門家に相談する |
保管 | 自宅で保管 | 法務局に保管 |
使用 | 検認手続き | 遺言書証明情報 |
自筆証書遺言の費用といえば、作成費用だけを考える人が多いです。
ですが、自筆証書遺言を保管する費用や、相続手続で使用するための費用も知っておく必要があります。
作成費用が安いだけで自筆証書遺言を選ぶのではなく、相続手続きまで考えて遺言書を選んでください。