亡くなった人の遺言書を発見した場合に、その後どのような手続きをするのかはご存知ですか。
銀行等の窓口で「先に検認を済ませてください」と言われた人もいるはずです。
あるいは検認という言葉自体は知っているかもしれません。
検認までには思っているよりも時間がかかるので、手続きの流れについて確認しておいてください。
1.検認申立てをする人
遺言書の検認申立てをするのは、以下のどちらかになります。
- 遺言書を発見した相続人
- 遺言書を託されていた保管者
相続人が亡くなった人の遺言書を発見した場合は、検認申立てをすることになります。
誰が相続人になるのかは『法定相続人』で確認できます。
保管者とは生前に預かっていた専門家等が考えられます。
あるいは、相続人ではない家族等。
1-1.申立先の家庭裁判所
検認申立先は亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
遺言書を発見した人の住所地ではないです。
2.申立てに必要な書類
検認申立てには書類を複数用意する必要があります。
- 検認申立書
- 亡くなった人の戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- その他
2-1.検認申立書
検認申立書は家庭裁判所のホームページから、ダウンロードすることもできます。
2-2.亡くなった人の戸籍謄本等
亡くなった人の戸籍をすべて集める必要があります。
なぜなら、すべての戸籍を集めなければ、相続人を確定することができないからです。
子どもが相続人の場合は、子どもの人数を証明します。
親が相続人の場合は、子どもがいないことを証明します。
亡くなった人にもよりますが、複数枚集めることになります。
2-3.相続人全員の戸籍謄本
相続人が生存していることを証明します。
相続人が多いと枚数が増えます。
2-4.その他
本来の相続人が亡くなっている場合は、当該相続人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本等が必要です。
たとえば、子どもが亡くなっていても、孫がいれば代襲相続人になるからです。
検認申立書には相続人の住所を記載するのですが、相続人の中に住所不明な人がいる場合は、戸籍の附票を取得して確認する必要があります。
3.検認期日の連絡
書類を用意して家庭裁判所に検認の申立てをすると、約1~2週間経過後に申立人に検認期日の日程調整の連絡があります。
申立人と家庭裁判所との日程調整が済んだら、申立人と相続人全員に検認期日通知書が郵送されます。
出欠回答書が同封されていますが、申立人以外の相続人の出席は任意です。
検認期日に出席しないからといって、不利益が発生することはないです。
4.検認期日
検認期日当日の持参物は、遺言書と申立書に押印した印鑑です。
他にも指示があれば持参します。
申立人が指定された日時に家庭裁判所に行くと、出席した相続人立ち合いのもと遺言書が開封されます。
裁判官が筆跡や印の確認を行いますが、その際に筆跡・印についてや遺言書の保管方法等について質問があります。
分からない場合は分からないと答えて大丈夫です。
遺言書の検認は30分ぐらいで終了します。
検認期日に出席しなかった相続人には、検認済通知書が郵送されます。
5.検認済証明書の申請
検認が終了したら家庭裁判所に検認済証明書を申請します。
検認済証明書が無ければ、銀行での払い戻しや相続登記をすることができません。
ですので、忘れずに申請しましょう。
検認済証明書の取得には収入印紙150円が必要です。
6.さいごに
遺言書の検認までには、思っているよりも時間がかかります。
亡くなった人にもよりますが、戸籍謄本等を集めるのに1ヶ月以上かかることもあります。
さらに、申立てをしてから検認期日までは、1ヶ月から2ヵ月程度かかります。
検認が終わらなければ相続手続が進まないので、遺言書を発見した場合は早めに行動した方がいいです。