遺言書の検認申立て手続きの流れを4つに分けて説明

検認手続きの流れ
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遺言書の検認手続きには、思っているよりも時間がかかります。

亡くなった人や相続人によっても違うのですが、少なくとも2ヶ月ぐらいはかかります。

遺言書の検認が終わらなければ相続手続きができないので、できる限り早めに申し立てしましょう。

今回の記事では、遺言書の検認手続きの流れについて説明しているので、遺言書を発見したなら参考にしてください。

目次

1.家庭裁判所に遺言書の検認申立て

検認の流れ1つ目は、家庭裁判所に遺言書の検認申立てをするです。

当然ですが、家庭裁判所に検認申立てをしなければ始まりません。

  • 遺言書の検認申立てができる人
  • 遺言書の検認申立先の家庭裁判所
  • 遺言書の検認申立に必要な書類
  • 遺言書の検認申立に必要な費用

それぞれ説明していきます。

1-1.遺言書の検認申立てができる人

家庭裁判所に遺言書の検認申立てができる人は、法律により定められています。

(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

出典:e-Govウェブサイト(民法1004条)
  • 遺言書の保管者
  • 遺言書を発見した相続人

遺言書の保管者がいない場合は、遺言書を発見した相続人が検認申立てをします。

検認申立ての期限は具体的には決められておらず、法律の条文でも「遅滞なく」としか記載されていません。

ですが、遺言書の検認が終わらなければ相続手続も進まないので、できる限り早めに申立てをしましょう。

1-2.検認申立先の家庭裁判所は決まっている

遺言書の検認申立てをする家庭裁判所は決まっています。

(管轄)
第二百九条 遺言に関する審判事件(別表第一の百二の項から百八の項までの事項についての審判事件をいう。)は、相続を開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

出典:e-Govウェブサイト(家事事件手続法209条1項)

相続を開始した地がどこになるかは、民法により定められています。

(相続開始の場所)
第八百八十三条 相続は、被相続人の住所において開始する。

出典:e-Govウェブサイト(民法883条)

遺言書の検認申立先は、亡くなった人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

遺言書を発見した相続人の住所地ではないので、間違えないように気を付けてください。

家庭裁判所の管轄は、裁判所ウェブサイトで確認できます。

裁判所ウェブサイト』に移行。

1-3.遺言書の検認申立てに必要な書類

遺言書の検認申立てには、複数の書類を用意する必要があります。

  • 検認申立書
  • 亡くなった人の戸籍謄本等
  • 相続人全員の戸籍謄本

検認申立書には相続人の住所を記載

検認申立書には相続人全員の住所を記載するのですが、相続人の中に住所不明な人がいる場合は、戸籍の附票を取得して確認する必要があります。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

遺言書の検認申立てには、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本を全て提出する必要があります。

なぜなら、全ての戸籍謄本を提出しなければ、相続人を確定できないからです。

子どもが相続人であれば人数を確認しますし、直系尊属が相続人であれば子どもがいないことを確認します。

亡くなった人の年齢等にもよりますが、戸籍謄本は複数枚必要になります。

相続人が兄弟姉妹なら直系尊属の出生から死亡までの戸籍謄本

相続人が兄弟姉妹であれば、直系尊属の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。

なぜかというと、直系尊属(父親・母親)の戸籍謄本を確認しなければ、兄弟姉妹の人数が確認できないからです。

相続人全員の戸籍謄本

相続人が生存していることを証明するために、相続人全員の戸籍謄本を提出します。

本来の相続人が亡くなっている場合は、当該相続人の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。

例えば、子どもが先に亡くなっていても、孫がいるなら代襲相続人となるからです。

代襲相続が発生しているなら、代襲相続人の戸籍謄本も提出します。

1-4.遺言書の検認申立てに必要な費用

遺言書の検認申立てに必要は費用は2種類あります。

  • 申立手数料
  • 予納郵券

検認申立手数料は800円

遺言書の検認申立手数料は800円です。

ただし、現金ではなく収入印紙で納めます。

遺言書の検認申立書に収入印紙800円分を貼付して提出します。

予納郵券は家庭裁判所により違う

検認申立てに必要な予納郵券は、提出する家庭裁判所により違います。

申立書を提出する前に、家庭裁判所に確認しておきましょう。

2.検認申立ての後は検認期日の調整

検認の流れ2つ目は、検認期日の調整です。

家庭裁判所に遺言書の検認申立てをすると、家庭裁判所から申立人に対して日程調整の連絡があります。

何も問題が無ければ、都合の良い期日を決めるだけです。

2-1.申立人は検認期日に出席する必要がある

遺言書の検認期日には申立人が出席する必要があります。

ですが、家庭裁判所の検認期日は平日の昼間なので、日程調整が難しい人もいます。

時間が取れない場合は、以下のどちらかを選ぶしかありません。

  • 別の相続人に申立てをしてもらう
  • 弁護士に検認申立ての代理を依頼

別の相続人に申立てをしてもらう

申立人以外の相続人は、検認期日に出席しなくても大丈夫です。

ですので、平日の昼間に時間が取れる相続人がいるなら、初めから検認の申立人になりましょう。

弁護士に検認申立ての代理を依頼

弁護士に検認申立ての代理を依頼すれば、検認期日にも弁護士が出席してくれます。

どうしても、検認期日に出席できる相続人がいない場合は、弁護士に依頼するしか方法がありません。

注意司法書士に申立書の作成は依頼できますが、検認期日の出席は依頼できません。

2-2.家庭裁判所から検認期日通知書の郵送

申立人と家庭裁判所の間で日程調整が済んだら、申立人と相続人全員に検認期日通知書が郵送されます。
※提出した予納郵券が使用されます。

家庭裁判所からの郵送物には、検認期日の出席回答書も同封されています。

ただし、申立人以外の相続人が検認期日に出席するかは任意です。検認期日に出席しないからといって、不利益が発生することはありません。

3.申立人が遺言書の検認期日に出席

検認の流れ3つ目は、申立人が遺言書の検認期日に出席するです。

検認期日当日は、遺言書と申立書に押印した印鑑を持参します。家庭裁判所から指示があれば、他にも用意しておきましょう。

申立人が指定された日時に家庭裁判所に行くと、出席した相続人立ち合いのもと遺言書が検認されます。

3-1.遺言書の検認では形式的な質問がある

検認の際には、筆跡や印および遺言書の保管方法について質問されます。分からない場合は分からないと答えて大丈夫です。

遺言書の検認は長くても30分ぐらいで終了します。

3-2.検認期日に出席しなかった相続人

家庭裁判所で遺言書の検認があるからといって、すべての相続人が出席するわけではありません。

  • 平日の昼間に時間が取れない
  • 検認の家庭裁判所が遠い
  • 遺言書の内容を知っている
  • 相続に関わるつもりがない

検認期日に出席しなかった相続人には、個別に検認済通知書が郵送されます。

4.検認終了後に検認済証明書を取得

検認の流れ4つ目は、検認終了後に検認済証明書を取得するです。

遺言書の検認が終了したら、検認済証明書(収入印紙150円)を申請して取得します。

実際には、遺言書の検認と検認済証明書の取得をセットで行うイメージです。

遺言書の検認手続きが終了すると、遺言書に検認済証明書を付けて返還されます。

検認済証明書を取得すれば、遺言書の検認は終了となります。

相続手続きでは、「遺言書」と「検認済証明書」をセットで使用するので、失くさないように注意してください。

5.さいごに

遺言書の検認までには、思っているよりも時間がかかります。

  • 家庭裁判所に検認申立て
  • 検認期日の調整
  • 検認期日に出席
  • 検認済証明書の取得

亡くなった人にもよりますが、検認申立ての準備をするのに1カ月ほどかかります。

また、検認申立てから検認期日までは、1カ月から2カ月程度かかります。

遺言書の検認が終わらなければ、相続手続きを進めることができません。

遺言書を発見した場合は、できる限り早めに申立てをしましょう。

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